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【母が育てた植物】No.549

2023年02月27日

実家には庭にも家の中にも
植物が沢山ありました。

亡父も亡母も植物が大好き
でした。

その影響もあったのでしょう。

私は中学生の時に盆栽が趣味
のひとつでした。
＜おやじ臭（笑）＞

子供は育った環境に
左右されるんですね。

面倒見がいいのか、
不思議なことに
実家の植物はみんな元氣でした。

生前、母がよく

「あんたのとこは枯らさんで
　上手く育てるねえぇって
　よく言われるんだゎ」

ちょっと自慢気な母の顔が
目に浮かびます。

たしかにそうでした。

また、こんな話を聞いた
ことがあります。

母は、若い頃、市役所に勤めて
いました。

仕事で偉い方のご自宅に自転車で
遣いに行った時の話です。

その時に可愛らしい花が咲く植物を
頂いたそうです。

よっぽど嬉しかったのでしょう。

母は家に持ち帰り、畑のそばに
植えたそうです。

父と結婚する時、
その植物もいっしょに
お嫁に連れて来ました。

私が生まれた家は、
猫の額ほどの中庭しかありません。

よくそんなところに植物を
持ち込んだものだと
今考えると不思議な感じがします。

その後、引っ越しをする際、
その植物も一緒に引っ越ししました。

母が亡くなる直前に、初めて聞いた
エピソードです。

犬や猫などペットの世話は大変です。

ネコは散歩に連れて行く必要はない
かも知れませんが、犬の場合、

毎日、水を飲み、食べ物を食べ、
排泄をし、散歩に行く必要があります。

家族なので苦にならないんでしょうね。

それに比べ植物を育てるのは、
まだ、世話は楽です。

ただ、植物はしゃべりません。

ですから氣にかけなければ
水やりを忘れ、
枯らしてしまう可能性があります。

昨年の夏、
実家を売却しました。

維持管理が大変なのと
我々夫婦がふたりで住むには
広すぎるからです。

狭い庭には沢山の植物が
ありました。

姉や妹や私の友人にも声をかけ
それぞれ分けて持ち帰りました。

母が７０年位世話をしてきた
あの植物も今となっては、
所在不明です。

そう考えると少し寂しい
ような氣がします。

でも、実家を空き家にしたまま
よりはよかったと思っています。

来月、いよいよ新しい家族が
引っ越して来られます。

先週、実家を買っていただいた
会社の担当者から

"ゴミ出しの場所を教えて欲しい"と

問い合わせがありました。

引っ越しされる家族には
４月から中学生になるお子さんが
いらっしゃるそうです。

母が育てた植物は行方不明
になってしまいましたが、

家には新しい家族の想い出が
刻まれることになるでしょう。

父母は７０代で家を建て直して
います。

大黒柱が母の自慢でした。

その家に若い家族が住むことに
なります。

父も母も喜んで見守ってくれる
そんな氣がしています。

ではでは