【母が逝った朝】No.729｜ソーシャルスタイル（前S-style）メルマガバックナンバー

【母が逝った朝】No.729

2024年07月30日

今日は、母の命日です。

妻と二人で墓参りに

行ってきました。

2021年7月30日朝８時過ぎ

母は自宅のベッドで姉と妹

そして私の３人が見守る中

静かに息を引き取りました。

6月12日の早朝

私がゴミ出しのため実家に

立ち寄った際、

母が倒れているのを発見しました。

足腰が弱りトイレまで辿り着けず

ベッドのすぐ横で倒れていた母。

3月19日に父が逝き、まだ

3か月経たない日のことでした。

揺り起こすと手で胸を押さえ

「痛い。

（姉の）幸子を呼んで！」と

声を絞り出すのがやっとでしたが、

その声は、強く、厳しいものでした。

「早く！早く！幸子を呼んで！」

幸い救急車はすぐに来てくれ、

姉も病院に駆け付けてくれました。

医師は、我々に

「肺炎で、入院が必要です」と

告げました。

その時は、肺炎が治りリハビリを

すれば戻れると考えていました。

しかし、姉と妹の３人で立てた

リハビリ計画は実現しませんでした。

6月30日、MRIで脳梗塞が見つかり

医師から「もうダメです」と

まさかの宣告を受たからです。

7月7日に出版した父の闘病と終活を

記した「笑顔の終活」を執筆したのは

ちょうどこの頃でした。

7月15日、きょうだい3人で協議し、

母を家で看取ることを決めました。

7月23日から7月30日までの8日間、

夜、母を見守る順番を決めました。

役割は、酸素マスク越しに聞こえる

わずかな息が途切れていないことを

確かめること

時々、痰がらみを吸引すること

そしてオムツの取り換えです。

我々が母にしてあげられることは

たったこれだけしかありません。

４日目の午後、訪問入浴サービスで

母はきれいに洗ってもらえました。

栄養のための管を抜いた7月20日から

既に１週間が経っています。

目をつむって何も話せませんが、

「あぁ～さっぱりした」と言っている

ような感じが伝わってきます。

ちょうどその日、

母にとって一番下の孫娘と

私の長男夫婦が子どもを連れて

相次いで来てくれました。

若い人が帰ってしまうと

また、静けさが身に染みます。

淡々と時が進みます。

張り詰めた時が進みます。

酸素吸入だけでも

老廃物はこんなに出るんだな

という印象が強く残っています。

３人の中でタンの吸引は

私が上手かったように思います。

しかし、

毎回うまく吸引できるとは限りません。

少し深く、吸引の管を喉に入れ過ぎたのか

母がとても苦しそうにして、

息がひどく弱り、止まってしまった

ことがありました。

このまま死んだら僕が殺したことになる

のかも知れないと思いました。

もう危ないかも知れないと

慌てて妻を呼び寄せましたが、

再び母は、か弱い息をし始めました。

亡くなる３日ほど前だったと思います。

母とその子３人で過ごした８日間は

静かで穏やかな時間でした。

母が家に戻った2021年7月23日は、

東京オリンピック開会式の日です。

2024パリオリンピック開会式に

心打たれた私に、たった３年前の

東京オリンピックの開会式の記憶が

ない理由がわかりました。

2021年7月30日の朝

母、とし子

享年89歳

「お父さんのところへ逝きたい」

と願った母の希望が叶いました。

死亡診断書に書かれた死亡時刻は

医師が現認した10時28分です。