Sans les Britanniques, vous parleriez français
イギリスのチャールズ国王が、国賓としてアメリカを訪問しました。
ホワイトハウスでの晩餐会で行われたスピーチの一節が、
フランスのメディアで大きく取り上げられていたので、ご紹介しますね。
もちろんスピーチ自体は英語で行われたのですが、
今回はフランス語の記事から引用してみましょう:
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«Vous avez récemment déclaré, M. le président, que sans les États-Unis, les pays européens parleraient l’allemand.
Oserais-je dire que sans nous vous parleriez français», a glissé le souverain, déclenchant les rires de l’assistance.
「大統領、あなたは最近『アメリカがなければヨーロッパの国々はドイツ語を話していただろう』とおっしゃいましたね。
では、あえて申し上げるなら、我々(イギリス)がいなければ、あなた方はフランス語を話していたでしょう、と言ってもよろしいでしょうか」
そう国王はさりげなく述べ、会場の笑いを誘いました。
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これは、Donald Trumpが以前から繰り返していた発言への返しです。
トランプ大統領はしばしば、
「アメリカがいなければヨーロッパはドイツ語を話していたかもしれない」
と述べてきました。
これは、第二次世界大戦におけるアメリカの役割を強調する文脈での発言です。
それに対してチャールズ国王は、
いわば“L’humour british"で応じたわけです。
今では「アメリカ=英語の国」というイメージがありますが、
実は昔の北米は、イギリスとフランスが勢力を争う舞台でした。
フランスは17世紀から18世紀にかけて、
北米の広大な地域に勢力を広げていました。
たとえば:
・カナダ(ケベック)
・五大湖周辺
・ミシシッピ川流域(ルイジアナ)
これらの地域はまとめて、
「ニュー・フランス(Nouvelle-France)」と呼ばれていました。
一方、東海岸はイギリスの領土でした。
東海岸:イギリス
内陸〜カナダ:フランス
というように、北米は2つの大国がせめぎ合う場所だったのです。
ところが、1756年〜1763年に
Seven Years’ War(七年戦争)が起こります。
この戦争でイギリスが勝利し、
1763年のTreaty of Paris (1763)によって、
フランスはカナダやミシシッピ川以東の広大な領土を
イギリスに譲ることになりました。
この結果、現在のアメリカで英語が主流になっていく流れが決まります。
もしこの戦争でフランスが勝っていたら――
アメリカでは今でもフランス語が話されていたかもしれません。
こうした歴史を踏まえて、
チャールズ国王はあの一言を放ったのです。
ちなみにフランス語の文法もちょっと解説しますね:
● Oserais-je dire…
「あえて言わせていただくなら…」
● (Si vous étiez) sans nous, vous parleriez français.
「我々がいなければ、あなた方はフランス語を話していたでしょう」
ここでは現実とは異なる仮定を表すために、
Si + 半過去 → 条件法現在
という形が使われています。
「英語を話しているのは我々のおかげですよ」と、
さりげなく、しかし品よく返したチャールズ国王。
まさに、イギリスらしいウィットを感じる一言だったので、
日頃のあり得ないトランプの演説にうんざりしていた私は
ちょっと気分が良くなりました。
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