相続・離婚・ローンなど「家を売る!」を考えたら読むメルマガ(No.43、2024年8月27日号)
◎相続空き家 / 住宅密集地、解体費割高に / 敷地いっぱいの建物、人件費が余分に / 自治体の補助金活用で負担感軽減も
相続後の空き家が増加している。総務省の調べによると、全国の空き家は18年に約850万戸となり、1998年に比べ5割弱も増加した。空き家は親が亡くなり相続で取得したり、要介護状態となり高齢者福祉施設に入所、誰も住まなくなったりしているなどの例がある。空き家の維持・管理費が負担で、定期的な手入れの際に必要な光熱費や水道代、万が一の火事に備える火災保険料などの費用が掛かる。
定期的な手入れができない状態が続くと、近所から市町村役場に苦情が入り、そのたびに対応に追われることになる。それならいっそのこと、建物を除去して更地にしてしまおうと考えるのだが、建物がない更地の場合、固定資産税が割高になるのだ。最終的に近所からの苦情と対応、定期的な手入れの時間・金銭面の負担を天びんに掛け、建物を取り壊して更地にする選択肢を選ぶケースが多い。自治体によっては建物解体費の補助制度があるので、上手に活用したい。
》》》》》空き家対策法関連で補助・助成メニュも
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◆23年4月スタートの新制度を上手に活用◆
相続した土地が不要な場合に、国に所有権を移譲できる「相続土地国庫帰属制度」が、23年4月からスタートした。制度の対象となるには多くの条件をクリアする必要があり、「更地」は重要な条件の一つとなっている。立地条件が悪く、賃貸や売却も難しい物件であれば、建物を解体するのも一つの方法でもある。
しかし、解体後の固定資産税は住宅が建っている土地の軽減措置を受けられなくなり、税額が割高になる。更地の方が老朽化した家がある場合に比べ、敷地の状況が分かりやすく、買い手が現れる可能性が高くなる。半面、解体費用の捻出を巡っては、さまざまな意見があるのも事実だ。
◆解体費用の目安を知ろう◆
解体費用については、規模が同じ建物でも、構造や立地で費用が大きく変化する。家屋の構造は主に木造、鉄骨(S)造、鉄筋コンクリート(RC)造があり、S造とRC造の建物は木造に比べ頑丈にできており、解体に手間が掛かり、工期も長くなる。
廃棄する建材量も多く、運搬・処理を含めた解体費は、木造に比べ高くなるのが一般的だ。その意味で、それぞれの構造で解体費用がいくらくらいなのか目安を知らないと、解体工事の発注方法や予算の検討すらできない。
建物構造別の具体的な解体費用は、2階建て延べ床面積約100㎡の参考解体費用概算は、①木造=住宅密集地:180万円前後、非密集地:150万円前後、②S造=住宅密集地:210万円前後、非密集地:170万円前後、③RC造=住宅密集地:280万円前後、非密集地:230万円前後――となる。住宅密集地とは全面道路の幅4㍍未満、隣家との距離60㌢未満となっているエリアで、状況により金額は大きく変動する。
◆解体時に注意したい「アスベスト」有無◆
解体費用が割高になる理由は、住宅密集地かどうかだ。密集地に明確な定義はないものの、建物の前面が接する道路が幅4㍍未満、隣家との距離が60㌢未満とする考え方がある。道路幅が4㍍未満と狭い場合は、一般的な戸建住宅の解体で使う中型重機を搬入できず、作業効率に影響が出る。多くの場面で小型重機を使うので、工期が長くなりがち。ましてや隣家との距離が狭ければ、人手を掛けた作業が必要で、費用も割高になる。
また、構造と立地以外の要因で解体費が増えるケースも。主要都市部の中心に広がるように、敷地いっぱいに家が建ち、重機を入れるスペースがまったくない場合。作業空間をつくるのに建物の一部をバールなどの工具を使い、手作業で解体しなければならない状況だと費用が増加する。
さらに、古い建築物の場合、建材にアスベスト(石綿)を使っている建物は、石綿の除去費が余分に発生する。石綿は吸い込むと、肺がんに罹患する恐れがあり、06年9月に含有製品の製造・使用が全面的に禁止になった経緯がある。石綿の使用禁止前に建てた家の多くは石綿を含むケースも多く、解体前の調査時に使用の有無を調べることになる。
ただ、新築後のリフォーム工事により、石綿が隠れてしまい、調査で発見できないケースもあり、解体中に偶然見つかり、その後の追加費用が膨らんだり、工期が延長になったりすることも。敷地に浄化槽といった埋設物や大きな木・石がある場合も、別途費用が必要となる。
◆安易な解体工事、特例除外で固定資産税が高くなる◆
解体工事に伴う費用負担を軽減する方策は何か――まずは解体工事業者に発注する際に、複数社から見積もりを取るのが有効だ。業者が保有する重機や作業員の人件費などで格差が生じ、各社の見積額にばらつきが出るケースが多い。場合によっては、指名競争入札を行ってもいいだろう。当社お勧めの解体工事業者選定方式は、「指名競争見積もり合せネゴシエーション方式」。
同方式は、入札後の価格交渉(ネゴ)が可能なので、解体工事後に不動産の売却を予定しているのであれば、活用したい方法の一つとしておすすめしている。また、工事の時期も気を付けたい。家屋付き住宅用地は200平方㍍まで特例で固定資産税が本来の6分の1になっている。しかし更地にすると特例除外となり、負担調整措置の適用で税額は3~4倍程度になる場合が多い。その意味で、早期に安易な解体工事に着手するのは禁物であると添えておきたい。
◆空き家の解体費用補助・助成、まずは自治体制度の調査を◆
一方で、解体工事費用に補助・助成制度を設けている自治体も多い。たとえば、仙台市や神戸市、東京都墨田区など、解体工事費用に補助金や助成金の制度を創設し、解体工事を行おうとしている住民を金銭面で支援している自治体も増えている。具体的には、神戸市では最大100万円を支給。適用条件や金額は自治体により異なるので、確認は必要だ。
また、さいたま市では建て替え工事の際に活用できる助成制度がある。建替え工事助成制度の対象となるのは、さいたま市内で昭和56年5月31日以前に建築した戸建住宅。戸建住宅の耐震診断を行った際に、倒壊の危険性が高いとの診断を受けた場合、同様の建築物に建て替えるときに活用できる。
制度を活用した際に、助成金額として受け取ることができるのは、建替え工事に掛かった費用の23%相当額で、60万円が上限となっている。手続き前の流れには各市町村のルールがあるので注意したい。今後、相続の発生件数の増加に併せ、空き家も増加する。公的な補助・助成制度を上手に活用し、解体費用の負担軽減策を講じるのが得策だ。
》》》》》解体費用を極力抑えたい
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