相続・離婚・ローンなど「家を売る!」を考えたら読むメルマガ(No.51、2024年10月22日号)
◎遺産分割協議(上) / 10年間の期間設定 / 経過後は法定相続割合に / 相続不動産の登記を義務化
政府が所有者不明土地対策の一環として、相続人が財産の分け方を話し合う遺産分割協議に10年の期間を設ける改定民法が23年6月1日に施行となり、不要な土地を国が引き取る「相続土地国庫帰属制度」が始動、1年が経過した。土地・建物の登記を義務付ける改定不動産登記法の施行も24年4月に始まった。遺産分割に大きな影響を与える関連法制度のポイントとは何か――。
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◆九州全域面積の土地「所有者不明」の現実◆
親の家や土地を相続するのか、それとも処分するのか――早めに決めるのがポイントだ。決めないままで長期間経過すると、所有者不明土地対策の実施を受けて遺産の分け方で不利になったり、思わぬ費用負担を強いられたりする可能性がある。所有者不明土地は、不動産登記簿をみても誰が持ち主なのか分からない土地。被相続人が亡くなって相続が発生した際に、相続人が名義変更を行わずに、長期にわたって放置、発生した状態だ。
学識経験者を中心に構成する「所有者不明土地問題研究会」の推計では、全国の所有者不明土地の面積は2016年時点で約410万㌶となり、九州全域の面積を上回っている。2040年には約720万㌶になる見通しで、北海道全域(約780万㌶)に迫る面積を占める計算だ。
所有者不明土地をめぐっては都市再開発事業や公共事業で、土地の買収に時間がかかったり、廃棄物の不法投棄が発生したりするなど問題が表面化しており、政府が民有地の所有権に関わる登記義務化にまで踏み込む格好で、民法改定を行った経緯がある。
◆10年間の期限設定「遺産分割協議の期間」◆
所有者不明土地対策は、①遺産分割協議の期間を10年間に設定、②相続した土地・建物の登記の義務化、③相続土地国庫帰属制度の利用――の三つの柱で構成する。まず遺産分割協議に10年の期間を設定したことについては、相続開始から10年過ぎても分割協議がまとまらなければ、原則として法定相続割合で分割する流れとなる。
法定相続割合は、民法で定めた財産の分け方。たとえば、相続人が配偶者と子1人なら2分の1ずつとなる。配偶者と子2人なら配偶者が2分の1、子は4分の1ずつとする遺産の分け方となる。また、亡くなった人の遺言がない場合は、相続人は話し合いで「誰が、どの財産を、どれだけ引き継ぐか」を決める。遺産は法定相続分で分けてもいいし、相続人全員が合意すれば法定相続分とは異なる分け方でも構わない。
◆家裁に調停「法定相続割合を基本に調整」濃厚◆
ただ、遺産分割協議で分け方を巡り、相続人間で対立、まとまらないケースが多いので、専門家に依頼をするケースが多いのが現実だ。もちろん相続人だけで遺産分割協議書を作成し、相続人同士でまとめるのも可能だが、まとまらずに家庭裁判所に調停を依頼した場合の落としどころは、「法定相続割合」で決着するケースが多い。
特に、遺産分割協議が難航するのは、相続人のなかに故人から生前に財産を贈与されていたり、介護で故人に多大な貢献したりした人がいるなどのケース。各ケースとも特別受益や寄与分といった制度もあり、分割協議時にもめる要因になりやすい。遺産を単純に法定相続割合で分けると不公平になるわけだが、家裁での遺産調停や民事裁判での裁判でも、法定相続割合を基本にしているのが濃厚のようだ。
特別受益や寄与分を踏まえて決めるのがより公平な分け方になるものの、生前贈与の内容の把握や寄与分の認定などで、金額の算定に手間取り、協議は長引くことが多いのが実態。相続開始から10年過ぎた場合は、特別受益や寄与分を認めず、法定相続割合で分けるようにすることで、政府は所有者不明土地の発生に一定の歯止めがかかるとみています。半面、相続人は希望しなくても法定相続分で分けることになる。(つづく)
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