相続・離婚・ローンなど「家を売る!」を考えたら読むメルマガ(No.52、2024年10月29日号)
◎遺産分割協議(下) / 登記義務、相続発生から3年以内に / 相続人申告登記制度の利用を / 利用のハードル高い相続土地国庫帰属制度
◆変更登記、相続発生済は27年3月末が期限◆
所有者不明土地対策には、①遺産分割協議の期間を10年間に設定、②相続した土地・建物の登記の義務化、③相続土地国庫帰属制度の利用――の三つの柱があることを指摘した。前回は遺産分割協議の期間を10年間に設定することにより、それまでに解決できない際には法定相続分割の割合となることも合わせて解説した。
今回は、第2の柱となる「相続した土地・建物の登記の義務化」。施行後は相続発生から3年以内に所有名義を故人から相続人に変更する必要がある。既に相続が発生している場合は、2027年3月末が期限となる。いずれも登記しなければ、10万円以下の過料になる場合があり、注意が必要だ。
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◆3年経過後も対象外の特例、登録免許税も非課税◆
故人から相続人への変更登記は現行制度では任意。変更手続きの期限もないので、登記を行わないケースが目立つ。登録免許税や司法書士への報酬といった登記費用の負担が嫌だとして、変更登記を怠る場合もあり、所有者不明土地の一因となっている。
これに対し、新たな制度では協議が難航、登記期限に間に合わない際には、同時に新設する相続人申告登記制度を利用する方法も。相続人の住所、氏名などを申し出れば、3年が過ぎても過料の対象にならない特例を設けている。登録免許税も非課税だ。
まずは法定相続割合での分割を避けるのであれば、10年の期限内に相続人同士で折り合う必要がある。しかし、期限内に家庭裁判所に調停・審判の申し立てをすれば、10年経過後も法定相続分以外の分割は可能だ。
また、期限が過ぎた段階で相続人同士が協議を進めて全員が合意すれば、特別受益などを考慮した分け方にすることができる。ただ、現実には家庭裁判所で提示された調停案で合意できず、審判に移行したとしても、「調停時の法定相続割合と同水準となるケースが多い」と指摘する向きもある。
◆条件が意外に厳しい国庫帰属制度◆
最後の三つ目のポイントは、相続土地国庫帰属制度の利用。相続する土地が売ったり貸したりすることが困難だったり、相続人が誰も相続する意思がなかったりした場合の「最後の砦(とりで)」となるのが、同制度の利用。国に引き取ってもらう土地は、多くの条件を満たす必要があり、ハードルは高いのが現実だ。
条件としては、利用申請時と法務局による審査時の2段階がある。まず申請時は建物があると申請受け付け不可となるので、建物部分を解体・撤去する必要がある。解体工事の費用は自己負担となるのが原則だ。また、土地や建物に担保権の設定があったり、隣地との境界が不明確で争いがあったりする場合も却下となる。
◆解体費用は自己負担、国に負担金の支払いも◆
審査段階では、土地に庭木を含む樹木や石灯籠などの工作物があったり、除去が必要なコンクリート片などが埋まっていたりすると引き取ってもらえない事態となる。地割れや陥没も同様な処分となるようだ。国への帰属が決まったら、申請者は管理費相当額として一定の負担金を納めることになる。
つまり、同制度を活用するのに、解体費用と国への負担金を支払う必要があるのだ。具体的には宅地、農地、森林といった土地の種類や面積ごとに決めることになっている。たとえば、都市計画法の市街化区域にある宅地で面積が「100平方㍍超200平方㍍以下」なら「面積×2,450円+30万3,000円」で算出。市街化区域外の宅地の負担金は面積にかかわらず、一律20万円となっている。(おわり)
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