◆◇法定休日と所定休日について知ってますか?◇◆
新人薬剤師のための働く法律
第18回
『法定休日と所定休日について知ってますか?』
2023年7月31日
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新人薬剤師の皆さん、おはようございます。
薬剤師ttです。
前回のメルマガでは祝日について紹介しました。
祝日は休日になるといった内容でしたが、一般的に使用される「休日」と、
労働基準法でいう「休日」とでは、意味合いが若干異なります。
休日出勤の割増賃金などを考える時は、
労働基準法の定める休日について理解しておく必要があります。
そこで今回は、労働基準法の定める休日について紹介します。
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休日について、労働基準法では以下の通り定めています。
第35条
1.使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。
2.1の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。
ここで「あれ?」と思う方も多いかもしれません。
「週休2日じゃないの?」と思いますよね。
実は法律上は、週に1回の休日があればOKなんです。
では何故、週5日働いて2日休むのが一般的なのでしょうか。
それは、労働基準法には、労働時間の定めもあるからです。
第32条
1.使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて労働させてはならない。
2.使用者は、1週間の各日については、労働者に休憩時間を除き1日について8時間を超えて労働させてはならない。
つまり、休日の数としては週に1回でも問題ありません。
でも労働時間に関して1日8時間、週40時間を超えてはいけないため、
結果として、1日8時間×5日=40時間働いて2日休みというのが一般的になったのです。
◆◇休日労働◆◇
ここで関係してくるのが休日労働です。
労働基準法では、休日に労働した場合には
35%以上の割増賃金を支払わなくてはならないと定めがあります。
例えば時給2000円の人だと、
休日労働は時給2700円になるということです。
(35%以上なので、もっと高くするのは会社の自由)
では、時給2700円になる「休日」というのは、
いったいいつのことを指すのか。
月曜~金曜で働いて土日が休みの場合、
何曜日に働いたら時給2700円になるのか。
これは、残念ながら会社次第のところがあります。
◆◇法定休日と所定休日◆◇
ここで「法定」と「所定」について知っておく必要があります。
この「法定」と「所定」は残業代を考える時にも
必須となってくるので、知っておいて損はないと思います。
法定:法律で定めているもの
所定:会社で定めているもの
休日は週1日でも良いということは先ほども述べました。
ということは、週2日目の休日については
会社で定めているということになります。
なので、週2日休みの場合、
1日は法定、1日は所定となります。
では土日が休みの場合、どちらが法定でどちらが所定なのか。
ここが会社次第になります。
「法定休日は日曜日」のように固定してる会社もあれば、
「元々2日の休日に働いた場合に1日目は所定休日、2日目は法定休日」
のように規定にしている会社もあります。
薬局やドラッグストアだと後者がほとんどです。
なぜなら、シフト制で回している店舗が多いため、
曜日を固定してしまうと、かえって不公平感が出てしまうからです。
◆◇変形休日制◆◇
変形労働時間制は聞いたことがあっても、
変形休日制については聞いたことない人が多いかもしれません。
これは、休日についての定め
労働基準法第35条
1.使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。
2.1の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。
の2の規定によるものです。
週に1日以上ではなく、
4週間で4日以上の休日を与えることを変形休日制といいます。
特にドラッグストアなどでは、変形休日制を
採用している会社が多いのではないでしょうか。
変形休日制を採用するば、
24連勤4連休というシフトも可能です。
(休日の話であって、労働時間については別途考える必要があります)
しかし、変形休日制を採用するためには、
会社側に要件があります。
「就業規則等で4週間の起算日を明らかにし、
労働者に周知させなければいけない。」
会社側の都合で突然、
24連勤を強いることは出来ないということです。
あとがき--------------------
いかがだったでしょうか。
最近は労働者側の「休日」に対する意識が高まっていますが、
意外と「休日」のルールについて、
しっかり把握している人は少ない印象です。
「休日」に関するルールについてしっかり理解し、
休む時はしっかり休み、
働く時は生産性高く働けるように心がけていきましょう!
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