◆◇1年は仕事を続けるべき理由◇◆
新人薬剤師のための働く法律
第44回
『1年は仕事を続けるべき理由』
2024年2月5日
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新人薬剤師の皆さん、おはようございます。
薬剤師ttです。
2024年も1か月が経ち、2月になりました。
最近は寒い日が多いですね!
皆さんが働き始めて、
もうすぐ1年が経とうとしています。
仕事は順調ですか?
辞めようとはしてないですか?
「とりあえず3年は続けた方が良い」
なんて言われた時代もありましたが、
「辞めたいなら早く辞めるべき」
といった意見も多い気がします。
しかし私は、
「最低でも1年は仕事を続けるべき」
と考えています。
今回は、私がそう考える理由を2つ紹介しようと思います。
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「1年間で一通りの仕事を覚えて・・・」
だとか、
「1年は働かないと転職に不利・・・」
といったフワッとした理由ではありません。
私が1年は働くべきと考える理由は、
主に雇用保険。
雇用保険の中でも
①育児休業給付
②教育訓練給付
に関係します。
◆◇①育児休業給付◆◇
育児休業は聞いたことがあると思います。
子が1歳(一定の場合は最長で2歳)まで、
申出により育児休業の取得が可能です。
休業については育児介護休業法に規定されています。
一方で、育児休業中の収入減少を緩和する目的で
支給されるのが育児休業給付です。
金額としては、働いていた時と比較して、
180日目までは67%、それ以降は50%です。
こういった育児休業給付については、
雇用保険法で規定されています。
育児休業:育児介護休業法
育児休業給付:雇用保険法
◆◇
さて、育児中の金銭面を大きく助けてくれる
育児休業給付金ですが、支給を受けるためには
いくつか要件があります。
その1つが、
『育児休業を開始した日前2年間に
被保険者期間が12か月以上必要』
ということです。
ちょっと言葉が難しいですが、
ようは12か月は働いて雇用保険に加入してないと、
育児休業給付は支給しないということです。
これ関しては、妊娠中も働くことで、
12ヶ月という要件は満たしやすくなります。
しかし、
『働いた日が10日以下の月は1ヶ月とカウントしない』
という細かいルールもあります。
・次の仕事が見つかるまでに時間がかかった
・体調不良で11日働ける月が少なかった
こういった理由から、意外と12ヶ月という要件を
満たせないことがあったりします。
もし妊娠・出産の可能性があり、
その後に育児休業を取る予定であれば、
念のため1年間は働いておくべきでしょう。
実際に、12か月という要件を満たせず、
辛い思いをした人もいるので・・・
◆◇②教育訓練給付◆◇
教育訓練給付はご存知でしょうか。
教育訓練を受講・修了した場合に、
その費用の一部が教育訓練給付金として
雇用保険から支給されます。
教育訓練という言葉がイメージしにくいかもしれません。
教育訓練とは簡単にいえば、
スキルを身につけたり資格を取得するために、
学校や予備校に通うことです。
今から看護師の資格を取るために
学校に通う場合。
資格の大原やユーキャンで、
何か他の資格を取る場合。
そういった場合に、学校や予備校の費用の
20%~70%が支給されます。
これが教育訓練給付です。
◆◇
この教育訓練給付にも種類があり、
更に受給要件がいくつかあります。
その1つが、
『受講開始日の時点で、
雇用保険の支給要件期間(加入期間)が3年以上』
とあります。
「3年以上じゃ関係ないな」
と思うかもしれません。
しかし一部の教育訓練給付については、
初めての場合のみ、
支給要件期間が1年以上に短縮されるのです。
これが、私が1年は働くべきと考える2つ目の理由です。
退職後、薬剤師とは別の仕事に就きたいと
考える人がいます。
そこまででなくても、すぐには就職せず、
じっくり何かの勉強をしたいと考える人もいます。
そういった時に、教育訓練給付を貰えると
非常に助かるのです。
退職後に色んな選択肢を持つためにも、
とりあえず1年は働いておくことをオススメします。
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以上、今回は、1年は仕事を続けるべき
2つの理由を紹介しました。
今はあまり関係ないかもしれません。
しかし、意外なところで、
働いていた期間が重要になることがあるのです。
もちろん、精神を病むほどに、
無理に仕事を続ける必要はありません。
しかし、そうでないなら、
もし何かあったときに給付を貰うためにも、
できれば1年間は仕事を続けることをオススメします。
また、実はもう1つ、1年は仕事を続けるべき
大きな理由があるのですが、
それについては次回のメルマガで紹介します。
最後になりますが、育児休業給付も
教育訓練給付も、紹介した以外にも
細かな受給要件があります。
もし気になる点などあれば、
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