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新人薬剤師のための働く法律【2023年】

◆◇残業時間のルールを知ってますか?◇◆

2023年08月07日

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新人薬剤師のための働く法律

第19回
『残業時間のルールを知ってますか?』

2023年8月7日

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新人薬剤師の皆さん、おはようございます。
薬剤師ttです。

前回のメルマガで、法定と所定について紹介しました。

この考え方は残業時間・残業代の考え方にも共通ですので、
今回は「残業」について簡単に紹介しようと思います。

残業って、意外と知らないことが多いんです(笑)


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残業という言葉を頻繁に耳にすると思いますが、
実は労働基準法に、残業という言葉は出てきません。

労働基準法における、
似たような意味の言葉には「時間外労働」があります。

しかし残業という言葉の方が一般的なため、
厚生労働省でも一般の人に分かりやすく説明する時には
残業という言葉を使っています。


◆◇


残業(時間外労働)は、
「所定時間外労働」と「法定時間外労働」に分けられます。

ここで所定と法定という言葉が出てきましたが、
前回紹介した内容を覚えていますか?

法定:法律で定めているもの

所定:会社で定めているもの

です。


ここでいう法定時間とは、これまた前回紹介しました

労働基準法第32条
1.使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて労働させてはならない。
2.使用者は、1週間の各日については、労働者に休憩時間を除き1日について8時間を超えて労働させてはならない。

この1週40時間と1日8時間が法定の労働時間となります。


例えば、1日7時間で働く契約のところ、
残業をして9時間働いた場合、

7時間から8時間までの1時間が所定時間外労働
8時間から9時間までの1時間が法定時間外労働

となります。


そして、おそらく聞いたことのある
「残業代は1.25倍」
という言葉。

これは、法定時間外労働に対して当てはまります。


どういうことかと言うと、
例えば時給2000円で働いてる場合。

このとき、7時間から8時間の1時間は時給2000円のまま。

8時間から9時間の1時間は
時給2500円(2000円×1.25=2500円)となります。


もちろんこれは最低限の話で、
会社が「所定時間外労働も1.25倍で払う」
というルールを作るのはOKです。


◆◇


時給2000円という例えは、計算がすごく簡単です。

しかし多くの薬剤師は、時給ではなく月給で働いてますよね。

そこに色々な手当が付いてくると思います。


そうなってくると、
「どの手当が残業代の計算に含まれるのか」
などの問題が出てきます。

年間の休日数なども関わってきます。

変形労働時間制を導入してる会社も多いです

そうなってくると、残業代を正確に計算するのって、
実はすごく難しいんです。

もし不安があれば、
社労士に相談してみましょう(笑)


◆◇36協定◆◇


ここで36協定について簡単に紹介します。

第32条
1.使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて労働させてはならない。
2.使用者は、1週間の各日については、労働者に休憩時間を除き1日について8時間を超えて労働させてはならない。

とあるように、労働者は1週40時間あるいは1日8時間を超えての労働が禁止されています。

しかし周りを見ると、皆さん普通に残業をしてますよね。

ここに、36協定が関係します。


36協定は聞いたことありますか?

年に1回、各店舗で用紙を記入しているはずです。

会社が36協定届を労働基準監督署に届け出ると、
労働者が残業(法定時間外労働)をしても
第32条違反とはならなくなります。

ようは、残業が出来るようになるということです。

可能になるだけで、決して義務になるわけでは無いので注意してください。


◆◇残業時間の上限◆◇


36協定を届け出ることで残業が可能になるわけですが、
残業が可能な時間には上限があります。


割と最近のことですが、
大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から、
残業時間の上限規制が始まりました。

たとえ36協定を届け出ても、
臨時的な特別の事情がある場合を除いて、
月45時間・年360時間を超えてはいけなくなりました。

1月では45時間ですが、1年で360時間と考えると、
実質1月30時間になります。

30時間ならあっという間と考える人もいるかもしれません。


◆◇


36協定には「特別条項付き36協定」というものがあります。

前述の上限時間には、「臨時的な特別の事情がある場合」、
以下のような特別条項を付けることが認められています。

・1年の上限は720時間以内
・1ヶ月の上限は100時間未満
・2ヶ月ないし6ヶ月の時間外・休日労働の平均は月80時間以内
・ただし年6ヶ月まで

この特別条項を付けることで、
一応月45時間・年360時間の上限はありますが、
臨時的な特別の事情がある場合には、
上記の時間まで残業出来るということになります。

たとえば、突然に新型のウイルスがひろまり、
臨時的に残業時間を増やして対応する必要があるとか・・・


とはいっても、1ヶ月で100時間の残業とか、
なかなかハードですよね。


実はこの
・1ヶ月100時間
・2-6ヶ月80時間
というのは、過労死認定ラインと同じ時間になっています。


たとえ特別な事情があろうとも、
特別条項の上限時間には達しないような働き方を
模索していきたいですね。

過労死なんて絶対にあってはいけません。


あとがき--------------------

いかがだったでしょうか。

今回は「残業」について簡単に紹介しました。


残業については、法律で色んな決まりがあります。

残業代の計算方法も、意外と細かいルールがあります。
今回は紹介していないルールもあります。


皆さんの会社は、きちんと法律やルールを守っていますか?

もし気になることがありましたら、
気軽にお問い合わせください。



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