◆◇副業するときに知っておきたい事◇◆
新人薬剤師のための働く法律
第25回
『副業するときに知っておきたい事』
2023年9月18日
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新人薬剤師の皆さん、おはようございます。
薬剤師ttです。
最近、副業について聞かれることが多いです。
私が新人薬剤師だった頃には全く考えなかった事ですが、
最近では新人薬剤師の頃から副業を意識するみたいです。
そこで今回は、副業する時に知っておきたい事を
簡単に紹介します。
副業がバレない方法等はネット検索すれば
すぐに出てきますので、自分で調べてください(笑)
なお、副業・複業・兼業・ダブルワークなど
色々な言い方がありますが、大きな違いはないので、
今回は「副業」という言葉でまとめさせていただきます。
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まず背景として、国は副業を認めています。
更に言えば、推進しています。
厚生労働省では『モデル就業規則』を公開していますが、
それまで原則として副業を禁止していたところ、
2018年の改定では原則として認めるものとなりました。
もちろん就業規則は会社が各自で作るものですが、
国として副業を認める意向を示したのは大きいです。
また、令和2年の労働者調査では、
働いている人の約10%が副業をしています。
今後、この割合がさらに増していくのは間違いありません。
◆◇労働時間の管理◆◇
まず副業をする時に知っておきたい事として、
労働時間は本業と副業を合わせて計算する
ということです。
1日の法定労働時間である8時間を超えた場合には
割増賃金を支払う必要があるということは、
以前のメルマガでも紹介しました。
このことに関して、副業をしていた場合には、
本業と副業を合計した労働時間が8時間を超えたときに、
割増賃金を支払うということです。
例として、
本業:8時間 副業:2時間
で働いていた場合、2時間については、
会社は割増賃金を支払う必要があるということです。
しかし現実問題として、副業先での労働時間を
正確に把握するのって難しいですよね。
また、割増賃金を本業と副業、
どちらの会社が支払うのかという問題もあります。
もちろん、厚生労働省からガイドラインが出ているのですが、
なかなか複雑です。
このように労働時間の管理が複雑になることから、
副業を認めない会社も多いです。
※フリーランスのような形で請負で副業する場合には、
労働者ではないので、この問題は発生しません。
◆◇労災◆◇
次に、労災があった場合についてです。
労災については2020年に法改正があり、
副業しやすいものとなりました。
労災があって仕事を休んだ場合、
それ以前の3ヶ月間に会社から貰った給与を基に
算出された「休業補償給付」が貰えます。
この「会社から貰った給与」というのが、
法改正前は、「労災が起こった会社から貰った給与」でした。
例として、
A社:月給25万円 B社:月給5万円
で働いていたとします。
ここで、B社で働いている最中に労災で怪我をし、
1ヶ月間、A社もB社も仕事を休むことになったとします。
この時、「休業補償給付」はB社の月給5万円を基に
算出されていました。
これだと収入が激減してしまうことが分かると思います。
◆◇
これが法改正により、
B社で働いている最中に起こった労災でも、
A社とB社の給与を合計した金額を基に、
「休業補償給付」を算出することとなりました。
この法改正は、
副業をする人にとってかなり大きいと思います。
※労災も労働者に対する補償ですので、
請負で副業する場合には補償がありません。
(一部の職種は請負でも労災に特別加入できますが、
薬剤師はできません)
◆◇社会保険◆◇
副業をする場合、副業先では社会保険の加入条件を
満たさないことが多いのではないでしょうか。
しかし、たまに本業と副業、両方で社会保険の
加入条件を満たす場合があります。
その場合には、両方の会社で社会保険料がかかります。
もちろん健康保険証は1枚ですので、
どちらの保険証を使うかは選択しないといけません。
◆◇雇用保険◆◇
一方で雇用保険は、本業と副業の両方で
加入条件を満たしたとしても、片方でのみ加入となります。
雇用保険料は給与に比例しますので、
給与の少ない副業の会社を選択できれば嬉しいのですが・・・
さすがにそれは出来ません(笑)
給与が多い方の会社で加入することとなります。
その場合には、副業の会社から貰う給与には、
雇用保険料はかかってきません。
この辺り、社会保険とは少し異なります。
あとがき--------------------
いかがだったでしょうか。
今回は、副業する時に知っておきたい事を紹介しました。
単に副業するといっても、
両方の会社で労働者の場合もあれば、
どちらかの会社では非労働者(請負)という場合もあります。
そして、それぞれの場合で、
社会保険や労働保険の扱いも変わってきます。
このように複雑で管理が難しいことから、
副業の容認に躊躇する会社も多いです。
もし副業に興味があり、何か気になることなどあれば、
お気軽に連絡ください。
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