◆◇労働安全衛生法をもっと知ろう!◇◆
新人薬剤師のための働く法律
第27回
『労働安全衛生法をもっと知ろう!』
2023年10月2日
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新人薬剤師の皆さん、おはようございます。
薬剤師ttです。
もう2年くらい前の話ですが、
職場のトイレの話がニュースになったのをご存じでしょうか。
新人薬剤師の皆さんは、
まだ学生だった頃の話なので知らないと思います。
職場のトイレは「男女別々」と定めてきた規則について、
厚生労働省が従業員10人以内なら「共用1個で良い」
とする例外規定を設けることを決めた、というニュースです。
このニュースを聞いて、
そもそもトイレに関して法律で定められていることを
知らなかったという人が多く、SNS等で話題になりました。
ニュースになったトイレに関する規則は
・事務所衛生基準規則
・労働安全衛生規則
ですが、この2つは労働安全衛生法に基づいて定められています。
そもそも、この労働安全衛生法を知らない人も多いと思うので、
今回は労働安全衛生法について簡単に紹介しようと思います。
知らないところで普段の仕事に関わっていて、
意外と面白い法律です(笑)
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労働安全衛生に関する法律は、もともとは
労働基準法の第5章『安全および衛生』に定められていました。
しかし1960年代の高度成長期に、
経済の発展の陰で多くの労働災害が発生し、
毎年6000人以上の労働者が死亡していました。
労働災害で毎年6000人以上が亡くなるなんて、
今の日本ではなかなか考えられないことですよね。
そうした状況を受けて、当時の労働省や専門家が
労働安全衛生に関する法令の整備に着手。
1972年に、労働基準法から分離するかたちで
成立したのが労働安全衛生法です。
労働基準法が
『労働に関する最低限の基準を確保する法律』
なら、労働安全衛生法は
『職場における労働者の安全と健康を確保し、
快適な職場環境の形成を促進する法律』
になります。
内容を全て細かく紹介するのは無理なので、
少しだけ抜粋して簡単に紹介します。
◆◇安全衛生管理体制◆◇
・業種によって、職場の人数が〇〇人以上の場合は
管理者を選任しましょう。
・○○人以上の職場は委員会を設置し、
月1回は開催しましょう。
こういった内容が定められています。
産業医なんかは聞いたことありますよね。
50人以上の職場では、産業医を選任する必要があります。
また、薬局を含む業種でも、
従業員が10人以上50人未満の場合には、
衛生推進者を選任し周知する必要があります。
もしあなたが10人以上の店舗で働いているなら、
衛生推進者は選任されていますか?
◆◇健康診断◆◇
・従業員を採用するときには、健康診断を受けてもらいましょう。
・年1回は定期健康診断を受けてもらいましょう。
こういった内容が定められています。
おそらく皆さん、会社から案内があり、
健康診断を受けていると思います。
その根拠となるのが労働安全衛生法です。
検査項目についても定められています。
薬剤師は関係ありませんが、
特定の業種については特定項目の
健康診断が必要だったりもします。
◆◇面接指導◆◇
・残業時間の多い従業員には、医師による面接指導を受けてもらいましょう。
このような内容が定められています。
具体的には、週40時間を超える労働時間が
月80時間超で疲労の蓄積がある場合、
労働者の申出により面接指導を受けさせる必要があります。
皆さんの職場には、残業時間が月80時間を
超えるような薬剤師はいませんか?
◆◇◆◇
この他にも、
・メンタル不調を事前に防止するためのストレスチェック制度
・受動喫煙の防止
なども定められています。
改めて読んでみると、身近な内容もあって
面白い法律です。
◆◇◆◇
ここまで労働安全衛生法について紹介してきましたが、
より細かい内容については
・事務所衛生基準規則
・労働安全衛生規則
のような省令に定められています。
トイレの件もそうですし、
『職場に救急箱を設置しましょう』
のような定めもあります。
当然、薬局やドラッグストアにも適用されますので、
興味があれば一度読んでみても良いかもしれません。
あとがき--------------------
いかがだったでしょうか。
あまり有名ではない労働安全衛生法ですが、
意外と普段の業務に関係していることが、
分かっていただけたかと思います。
次回のメルマガでは、健康診断について、
もう少し詳しく紹介しようと思います。
薬剤師として働いているので、
健康診断の内容については理解しやすいと思います。
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