◆◇半日休み2回で1日休み扱いは違法ですか?◇◆
新人薬剤師のための働く法律
第35回
『半日休み2回で1日休み扱いは違法ですか?』
2023年11月27日
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新人薬剤師の皆さん、おはようございます。
薬剤師ttです。
薬局やドラッグストアでは、
『半日休み2回で1日休み扱い』
にしている会社が結構あります。
病院が『日曜休み+半日休み×2』にしていて、
薬局がそれに合わせているケースも多いです。
従業員としても、半日だけ用事がある場合など、
半日休み×2で1日休み扱いにできれば、
なかなか便利だと思います。
しかし、この扱いは法律的にどうなのでしょうか。
実は、場合によっては、
労働基準法違反となるケースもあります。
今回は、その辺りのことを簡単に紹介していきます。
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まず初めに、労働基準法では、
『暦日』という概念がよく用いられます。
『暦』は「れき・こよみ」と読みますが、
『暦日』の意味としては「こよみの上の1日」。
つまり、00:00~24:00の1日のことを言います。
そして労働基準法では、
休日に関して、暦日である必要があるとしています。
これは、00:00~24:00の間、
全く働かなかった時に、
初めて休日になるということです。
例えば、午前中だけ半日働いた場合、
当然ですが、この日は休日にはなりません。
そして、そのような日が2回あった場合に、
合わせて1日休みとして扱うこともできません。
これが労働基準法の規定です。
◆◇
もちろん、こういった休日の考え方にも例外があります。
例外の1つが、8時間3交代制勤務のような場合です。
このような場合において、
・番方編製による交替制が就業規則に定められている
・各番方の交替が規則的であって、
シフトによりその都度設定されるものでないこと
これらの条件に当てはまる場合、
暦日でなく24時間継続して働かなかった時に、
休日として認められます。
◆◇
もう1つの例外が、旅館の事業や
自動車運転手といった職種の例外です。
これらの職種でも、一定の条件を満たす場合には、
暦日ではなく24時間継続して働かなかった時に、
休日として認められます。
◆◇◆◇
さて、当然ですが、
薬局やドラッグストアで働く薬剤師には、
これらの例外は当てはまりません。
では、薬局やドラッグストアの薬剤師では、
半日休み×2=1日休みという扱いは
絶対に無理なのでしょうか。
実はそんなこともありません。
以前のメルマガでも書きましたが、
休日について、労働基準法では以下の通り定めています。
第35条
1.使用者は、労働者に対して、
毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。
2.1の規定は、4週間を通じ4日以上の
休日を与える使用者については適用しない。
この法律で定められた
毎週1回の休日を『法定休日』。
それ以外に会社で定めた、
週2回目以降の休日を、
『所定休日』あるいは『法定外休日』といいます。
そして、『暦日』での考え方が必要なのは、
『法定休日』のみとなります。
週2回目以降の休日は、そもそも労働基準法で
定めた休日ではないので、
会社で好きにして良いということです。
なので、1週間の中で、
1日+半日×2という休みは、
法律上問題ないということになります。
これが半日×4は、労働基準法上、
1日も休日が無いこととなり、
労働基準法違反となる可能性が高くなります。
あとがき--------------------
いかがだったでしょうか。
薬局やドラッグストアで時々見かける、
1日+半日×2という休みは問題ないということが
分かっていただけたかと思います。
とはいっても、法律上問題ないだけで、
1日+半日×2休みという働き方が
お勧めかというと、個人的にはお勧めできません。
よほど本人が希望しない限り、
1日+半日×2休みの薬剤師は、
長続きしないというのが個人的な印象です。
やはり1日休み×2の方が、
プライベートを充実させやすいのでしょう。
体力的にも辛いですしね。
私自身も、1日休み×2の方が好きです(笑)
労働基準法はあくまで最低限の基準を
定めた法律ということは、
今後もずっと覚えておいてほしいと思います。
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