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HRキュレーション by 社会保険労務士法人SUCCESSION

社会保険労務士法人SUCCESSIONメールニュース【読み物編】(メルマガvol.73)

2024年08月15日



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先月、20年ぶりに新しい紙幣が発行されました。
すでに手にされた方もおられるかもしれません。

世界で最初の本格的な紙幣は、10世紀に
高度な製紙技術と印刷技術を併せ持っていた
中国で作られたと言われています。

ヨーロッパで紙幣が作られるようになったのは15世紀後半、
日本では1600年頃になってからでした。
以降、それぞれの時代において、
各国が偽造防止技術を発展させてきました。

今回の新紙幣の偽造防止の目玉のひとつは3Dホログラムです。
3Dで表現された肖像が、見る角度によって回転して見える
最先端の技術で、背景の模様なども角度によって
変化するようです。これは世界初の試みです。

3Dホログラムが実際にどう見えるのか、
ぜひ手に取って試してみてはいかがでしょうか。


さて、今回のメルマガは・・・


┏━[CONTENTS]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

 ◆今月の経営者向け読み物

 『リアル人生ゲームに「応援イベント」を設けたタカラトミー』


 ◆コラム
 『働き方改革関連法施行から5年、現状の実態調査の結果は?』

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛


――――――――――――――――――――――――――――
◆ 今月の経営者向け読み物
 『リアル人生ゲームに「応援イベント」を設けたタカラトミー』
――――――――――――――――――――――――――――
“婚約者に巡り合い、ダイヤの指輪を500ドルで買う"
“結婚する"
“子どもが生まれ、みんなからお祝い500ドルをもらう"

これ、なんだかわかりますか? 「人生ゲーム(タカラトミー)」
のイベントです。マス目にこれらの文が書かれていたのを覚え
ている方も多いのでは。

1968年に初代が発売された人生ゲームは、現在8代目。変わった
のは「結婚観」です。これまでは、“結婚する"と書かれたマ
スには――たとえルーレットの数が余っても――必ず止まる。
結婚は皆が「する」もの。それがルールでした。

8代目は違います。結婚する・しないは、ルーレット次第。ルー
レットを回し、出た数が奇数だったら「しない」。偶数だったら
「する」。皆が結婚するとは限らない。このようなルールに変更
した理由は、多様性を意識したからです。タカラトミーの開発者
は以下のように述べます。

「今まで以上に、生き方が多様化している中で、結婚も今までみ
たいに絶対しなければいけないルールにしなくてもいいのではな
いか、という意見があった」

子どもについても表現を改めました。「子どもが生まれる」から
「子どもを迎える」へ変更し、養子縁組に配慮しました。そして、
今年7月には新たなイベントが!

“子どもを迎えて会社からお祝い200万円をもらう"

ゲームではありません。実際に、タカラトミーが社内に導入した
「出産育児祝い金」制度です。社員に子どもが1人生まれる
(迎える)たび、祝い金を支給する。出産だけではなく、養子
(や婚外子)も対象とする。さすがタカラトミー。ゲームと同じ。
しかも、祝い金は200万円! ゲームより多いかも?

子どもが生まれた(迎えた)後の制度も充実させました。短時間
勤務制度は、子どもが小学校を卒業するまで。この期間中は、最
大1日「3.5時間」勤務が短縮されます。

「これこそ異次元の少子化対策」「すごい」「こんな会社で働きたい」

賞賛の声がネットで相次ぎました。

しかし、この「3.5時間」の仕事を引き継ぐのは職場の「同僚たち」
です。彼ら(彼女ら)はどう思うか。

人生ゲームを思い出してみましょう。他のプレイヤーに子どもが
できたとき、こんな会話をしませんでしたか。

「やった! 『子どもが生まれた』。お祝い金ちょうだい」
「うわ、この出費は手痛い」
「またか。負け確定だなぁ」

プレイ上不利になるので、嬉しくはなかったはず。現実も同じ
――いや、はるかにシビア――です。

「子持ち様」という言葉をご存知の方も多いことでしょう。育児
で休んだり早退したりする人たちを揶揄するネットスラングです。
育児休業で仕事を押しつけられ、自分の時間は減るばかり。なの
に、感謝の言葉もないし、会社も評価してくれない。そんな不公
平感を持つ人たちがいます。

タカラトミーは、育児休業のしわ寄せがいく人たちにも配慮しま
した。

「『育児を応援する人』を応援する制度」

を導入したのです。制度名は「応援手当」(そのままですね)。
業務をカバーする従業員に手当を支給します。

そんな大盤振る舞いすると人件費が……と心配になりますが、手
当の原資は、休業する従業員の給与(の3割)を活用するとのこと。
休む側も、もらう側も納得できる合理的な手法ではないでしょうか。

同様の制度を、建設リースの大和リースが23年12月に、損保の三
井住友海上が23年3月から導入しています。

結婚する・しない。子どもを持つ・持たない。出世を望む・望ま
ない。ライフスタイルが「多様化」した現代では、「お互いさま」
が、あまり成り立たないのかもしれません。こうした制度は今後
も広がることでしょう。


(執筆 関谷中小企業診断士事務所 関谷 信之)


――――――――――――――――――――――――――――
◆ コラム
 『働き方改革関連法施行から5年、現状の実態調査の結果は?』
――――――――――――――――――――――――――――

労働時間の短縮、柔軟な働き方の推進、そしてワークライフ
バランスの改善を図ることを目的とした「働き方改革関連法」
が施行されてから、あっという間に5年が経ちました。

今、働く人々の実態はどのようになっているのでしょうか。

今回のメルマガでは、日本労働組合総連合会が同法の定着状況
や効果に対する労働者の実感を把握するために行った『働き方
改革(労働時間関係)の定着状況に関する調査2024』の結果か
ら、「残業」に関する回答をいくつか抜粋してご紹介します。

日本労働組合総連合会
『働き方改革(労働時間関係)の定着状況に関する調査2024』
https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20240719.pdf?7401
調査対象 :ネットエイジアリサーチ社のモニター会員を
      母集団とする15歳以上の正社員・正職員、
      契約社員・嘱託社員、派遣社員の形態で働く人
調査期間 :2024年5月30日~6月3日
有効回答数:1,000サンプル

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Q.時間外労働(残業)の上限規制についてどの程度知っているか
  ・内容も含めて知っている    :37.3%
  ・内容について少し知っている  :31.6%
  ・聞いたことはあるがよく知らない:19.4%
  ・聞いたことも無い、知らない  :11.7%

Q.職場では労働時間(残業時間含む)が管理されているか
  ・管理されている :86.6%
  ・管理されていない:13.4%

 <業種別上位>
  管理されている
   1位…情報通信業   :94.4%
   2位…医療、福祉   :91.7%
   3位…運輸業、郵便業 :91.3%

  管理されていない
   1位…教育、学習支援業:23.8%
   2位…公務      :23.2%
   3位…卸売業、小売業 :20.0%

Q.平均的な残業時間は、1か月あたりどの程度か
  全体平均…17.7時間
  ・10時間未満      :50.4%
  ・10時間~30時間未満  :30.5%
  ・30時間~60時間未満  :16.0%
  ・60時間以上      : 3.1%

 <業種別上位>
  残業平均時間(短)
   1位…医療、福祉    :12.6時間
   2位…卸売業、小売業  :14.4時間
   3位…情報通信業    :17.2時間

  残業平均時間(長)
   1位…教育、学習支援業 :30.4時間
   2位…運輸業、郵便業  :23.5時間
   3位…建設業      :20.1時間

※本調査では、他にも様々な設問回答が掲載されていますので、
 ご興味がございましたら、ぜひご覧ください。
---------------------------------

調査に関するコメントでは、「労働者に対する労働時間ルール
の認知・浸透にはまだまだ課題が残る」とまとめられています。
言い換えれば、法律や制度が制定されたとしても、企業ごとの
職場の実態を踏まえて推進することが出来なければ成果は表れ
にくいという事なのかもしれません。

労働時間を適切に管理し、残業削減を目指す取り組みは、仕事
を円滑に進める環境を構築し、生産性を向上させることにもつ
ながります。しかし、そのためには会社全体の協力による意識
改革のもと、適切な制度設計、周知・運用が重要であり、一朝
一夕で実現できるものではありません。

弊所では、上記の様な課題を抱えられている経営者様の頼れる
パートナーとして、2人3脚で目標達成に向けたご支援に取り組
んでおります。「これからの時代を見据えた組織作りを行って
いきたい」とお考えの経営者様は、ぜひ弊所までお気軽にご相
談ください。



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