退職届後の有給休暇(後編)【社労士事件簿Case4】(メルマガvol.88)
今回もSUCCESSIONに日々寄せられる相談を物語風にアレンジした「社労士事件簿」をお送りします。
現場でのトラブルを未然に防ぐための備えや心の準備にお役立ていただければ幸いです。
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【社労士事件簿Case4】退職届後の有給休暇(後編)
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※フィクションにつき、登場人物や会社名は現実のものとは一切関係ありません。
前回の続き、小さなサービス業「キャリアサポート」では、退職を決めた石田さんから「残っている有給を全部使いたい」という申請があり、総務の加藤さんは対応に悩んでいました。
そんな中、加藤さんは顧問の社会保険労務士法人SUCCESSIONにチャットで相談し、こんな回答をもらいました。
「結論から申し上げますと、退職届を提出したあとでも、退職日までの間にある有給休暇は基本的に取得させなければなりません。つまり、会社が『退職前だから』という理由だけで、一方的に有給休暇を拒否することはできないんです。」
加藤さんは、少し驚いた様子でチャットを打ち込みます。
「ええっ、でも引き継ぎが全然終わっていなくて、業務に支障が出そうなんです。そういう場合も拒否はできないんですか?」
担当社労士はさらに続けます。
「労働基準法第39条には、有給休暇を与える義務を会社が負うことが明記されています。
ただし、事業の正常な運営を妨げる場合には、会社は取得時期を変更してもらうことができるんですね。
しかし、変更する場合でも“退職日より後"には有給を移動できませんから、退職日までに消化できるよう、調整を図る必要があるんですよ。」
加藤さんはチャット画面を見つめ、何か思い当たる様子です。
「つまり、業務の引き継ぎが必要な場合は、日をズラしてもらうことはできるけど、そのまま退職日を越えて有給を消化させるのはダメなんですね…」
担当社労士がアドバイスを付け加えます。
「はい。さらに、退職時の引き継ぎについては就業規則や退職手続きマニュアルを整備して、
“退職前に必ず引き継ぎを行う"というルールを明示しておきましょう。
もし守られなかった場合の懲戒規定なども定めておけば、無断欠勤されるリスクの抑止にもつながります。
実際、退職時にまとめて有給休暇を取得するケースは増えているので、事前にルール化しておくのがベストですね。」
【結論:じゃあどうすればいいの?】
石田さんのケースでは、会社側は「退職前に何日間は出勤して引き継ぎを行ってほしい」と交渉し、残りの日数に関しては有給休暇を取得してもらうスケジュールで調整。
お互いに話し合いをした結果、スムーズに業務引き継ぎを済ませ、有給休暇も消化できたそうです。
「最初は全部拒否できるのかと思っていたけど、ちゃんと法令を理解して調整したおかげでトラブルなく済んだわ。」
加藤さんはほっと胸をなでおろしたのでした。
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【まとめ】
・退職届を提出後でも、有給休暇を拒否することは原則できない。
・ただし、事業運営に支障がある場合は取得時期を変更できるが、退職日を超えては変更不可。
・就業規則や退職手続きフローで“引き継ぎルール"を明確にしておくと、トラブル防止に役立つ。
・退職時に有給を一気に消化するケースが増えているので、事前にマニュアル整備がおすすめ。
【根拠法令】
労働基準法 第39条(年次有給休暇)
【お問い合わせは社会保険労務士法人SUCCESSIONまで】
社会保険労務士法人SUCCESSIONでは、
・退職時のトラブル対応
・就業規則・賃金規程の整備
・中小企業に特化した人事評価制度
など、各種ご相談を受け付けております。気になることがございましたら、お気軽にご連絡ください。
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