税理士 神佐真由美が毎週発信する、会社経営や、家庭経営、そして、人生の経営にちょっと役立つメルマガです。 税務や会計を中心に、日々の仕事での気づきを混ぜながら。

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第61号★大廃業時代と会社を看取るおくりびと 「廃業支援」のうごきとチャンス/「売上を減らそう」 【税理士 神佐真由美】

2019年10月13日

こんにちは!税理士の神佐真由美です。

台風19号ハギビスの被害が広がらないことと早い回復を祈っています。

本日のメルマガの内容です。
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1.大廃業時代と会社を看取るおくりびと 「廃業支援」のうごきとチャンス
2. セミナー&イベント情報 
3.活動日記 「売上を減らそう」
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1.大廃業時代と会社を看取るおくりびと 「廃業支援」のうごきとチャンス


先日のNHKスペシャル。ご覧になられた方もいらっしゃるでしょうか。

「大廃業時代~会社を看取るおくりびと~」

廃業が増えている背景と、廃業を支援する人たち、これからの企業の選択肢についてのドキュメンタリーでした。


私もこの仕事に10年以上携わっているので、「会社を看取る」経験は少なからずあります。

事業を高く売却できたケースもあれば、

不動産や営業権を売却して借入を完済し、傷が少なくリタイアできたケース

負債の整理が追い付かず、事実上廃業をせざるを得なくなったケース。

廃業されても、それぞれにお元気にされていて、再出発をされていることがありがたいです。



廃業することになっても税務申告や届出など最後までお付き合いするのが、私たちの仕事です。

最近感じることは、企業を取り巻くしくみや考え方によって、廃業のしかたの選択肢が増えてきたということです。


リーマンショック後には、金融モラトリアム法をつくり、返済猶予を与えて、中小企業の存続を図ってきました。

再建できた企業もありますが、ほとんど改善できていない企業が多かったのです。

(このあたりは会計専門家の責任も大きいと思います。。)



それなら、企業の新陳代謝をよくし、廃業率も開業率も上げていこう、

廃業するなら、その企業の価値となる資産は引き継がれるようにしよう、

というふうに舵が切られているのです。


皆さんにとってはどんなチャンスでしょうか?


ポイントは次の通り。

1)近年は倒産は減り、廃業が増えてきている

2)小規模な会社でもM&Aができる時代に

3)決断が早いと「経営者保証ガイドライン」による救済が望め、生活再建もしやすくなる


1)近年は倒産は減り、廃業が増えてきている


企業の廃業件数はこの5年で20万件あるそうです。

日本にある企業の数は、420万社と言われていますから、

この5年の間に20社に1社くらいの割合で廃業していることになります。


一方で、倒産件数は年々少しずつ減っています。

倒産は借入金が返せなくなり、倒産手続きをとったものが倒産件数にカウントされます。


倒産のまえに自分で決断して廃業するケースが増えてきているということになります。

その理由は、後継者がいない、業績がよくない、自分の代で辞めようと思っていた、が多いです。



2)小規模な会社でもM&Aができる時代に


廃業することは、その地域の雇用や産業が失われることにつながります。

引継ぎ手がいない企業と、引継ぎたい人を結び付けようという動きが広がっています。


NHKスペシャルでは現役中小企業の社長が、次々に取引先が廃業していくことに危機感を感じ、

引継いで欲しい会社と、引継ぎたい人をマッチングする会社をつくったことが取り上げられていました。

トランビさんのHP
https://www.tranbi.com/


こちらの本は有名ですね。
0円で会社を買って、死ぬまで年収1000万円
個人でできる「事業買収」入門
https://honsuki.jp/stand/17247.html


公的なところでは、事業引継ぎセンターもありますし、

金融機関ルートで、経営手腕のある経営者のもとには、「こちらの企業を買いませんか?」という打診がアナログであるようです。



3)決断が早いと「経営者保証ガイドライン」による救済が望め、生活再建もしやすくなる


引き継ぐ方法があるとはいえ、既に追っている借入金や個人保証があると、二の足を踏んでしまうケースも多いようです。

しかし、今は「経営者保証ガイドライン」という指針があり、広く適用するようにというお達しがあります。


通常、借入があって、事業が立ち行かなくなり、借入が返せないということになれば・・・。
 
・預金全額差し押さえ

・担保に入っていた自宅は競売にかけられる

・自己破産しない限り一生借入金を背負っていく

 ことになります。


「経営者保証ガイドライン」の適用を受けることができれば、

・年齢にもよるが360万円は差し押さえ禁止(失業給付に相当する)

・99万円は差し押さえ禁止(引っ越し費用が必要)

・自宅は競売禁止

・借入金は最終的に免除

生活の再建も図れるし、借入がなくなることにより、再チャレンジもできます。


前者と比べると・・・天地の差ですね。


どうしたら、経営者保証ガイドラインの適用を受けた廃業や再生ができるのか?

さまざまな要件もありますが、簡単にいうと、

「このまま経営を続けて傷口を広げてしまうよりは、今、線を引いた方がよい」

と早く判断したときに、適用される可能性があります。  


一人で背負い込まずに、早めに専門家などしかるべきところに相談することが大切です。


10月10日の日経新聞にも「廃業支援」が大きく載っていました。

中小の「廃業支援」広がる 債務超過前に買い手探し 新陳代謝 促すカギに
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO50815770Z01C19A0TJ1000/


このチャンスをどう生かしましょうか?


税理士である私は、事業継続に悩む経営者さんにも、事業を引き継ぎたい経営者さんにも、

よりよい選択肢を持っていただくことができると思っています。


「知らなかった」ということで損や後悔はさせたくありません。

そのための情報収集やネットワークづくり、

それから、このような情報提供は欠かせない仕事です。



2.セミナーやイベント情報

★セミナー予告★年に1回の事務所主催セミナー!

私の所属する角谷会計事務所の経営支援セミナー@京都
11月26日(火)14時~17時@烏丸御池

今回はゲスト講師をお迎えすることになりました。

「いまの事業」を大切にしながら 時代に合わせて「会社を変え成長し続ける」シンプルなステップ
株式会社ビズラボ 人見康子氏にお話いただきます。

大きな会社なら、次々に金の成る木を育てていくことが可能ですが、
経営資源が限られる中小企業では、すでにある金の成る木を時代にチューニングさせながら、「長くもたせる」ことが必要です。じゃあどうやって?

どなたでもご参加いただけます。
少しでもご興味ありましたら、日程押さえていただけたら嬉しいです!



★一代で、なぜ1万社以上の会社をつくることができたのか?

1万社以上を育てるなんて、1人ではできません。任せられる人材を育てたのです。

では、どうやって「人を信じて、託す」ことができる人材を育てたのか?
日産コンチェルン総帥・鮎川義介氏の生涯を描く舞台プロジェクト「GISKE ギスケ」
11月16日(土)12:30~/17:30~
京都府立府民ホールALTI(アルティ)
https://ayukawayoshisuke.com/


★大阪産業創造館様で、決算書の基礎&応用&資金繰りの基礎セミナーをしています。

★専門誌「銀行実務」の特別コラムに寄稿させていただきました。
https://www.fujisan.co.jp/product/1223936/new/
特別コラム 事業承継税制を「親族外承継」で活用する際の落とし穴


3.活動日記 「売上を減らそう」


京都の西院に「佰食屋」という国産牛ステーキ丼専門店があります。

オーナーの中村朱美さんのご著書です。


1日に売るステーキ丼は100食。

有休取得率100%で17時45分には全員帰宅の超ホワイト起業。

お店にはいつも行列が絶えないというくらい大人気。


噂には聞いていましたが、読んでビックリ。

税理士的には非常識だらけだったからです。


・FLコストは売上の80%
 
 飲食店でいう指標で、材料と人件費が売上に占める割合です。

 通常は50%~55%を目安にしています。高すぎなんです。


・広告費はゼロ(だからFLコスト80%が可能)

・100食以上売れそうなのに、絶対に売らない

・これから広げるFC店舗は佰食屋1/2という50食限定のお店


「それでやっていけるの?!」ということばかりでしたが、

「どんなふうに働きたいか、働きたいと思える会社になるかを突き詰めていっただけのこと。」

そして、そこに妥協がないこと。


子どもとの時間を大切にしながら中村さん自身が働けて、

従業員さんにも働きたいと思える会社になるか。

どんな従業員さんにとって、働きたいと思える会社になるか。

ひとつひとつ突き詰めていった結果、常識を超えて、人気店となり、

働きたい人も集まってくる会社になった。


常識には一見外れているかもしれないけれど、

理想を起点をして「どうしたら可能になるか?」を現実路線に落とし込んでいく。

会社に人を合わせるのではなく、人に会社を合わせるやり方。

結果、理念が確立し、戦略ができ、組織づくりと人の育成ができ、結果お金がまわっている。

そんなよい循環が見えました。


さらなる人手不足が予測される中、どう働きたい人に来てもらうのか。

これからの経営のヒントになる1冊かもしれません。


今日のメルマガは、以上です。

今回も、長文をお読みいただき、ありがとうございました。


良き日曜日と週のスタートをお過ごしくださいね!


  神佐 真由美

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