第97号★管理会計って何を「管理」するの?「試算表はそのままでは役に立たない」/2020年6月30日にまたここで/対談動画に挑戦中 【税理士 神佐真由美】
今日もご開封いただき、ありがとうございます。
本日のメルマガの内容です。
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1.管理会計って何を「管理」するの?その1「試算表はそのままでは役に立たない」
2.おすすめ書籍 2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義
3.現在公募中の補助金情報
4.セミナー情報
5.活動日記 対談動画に挑戦中 動画ってすごい
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1.管理会計って何を「管理」するの?その1「試算表はそのままでは役に立たない」
ずっと帳簿はつけて、試算表も出してきたけど、今いち活用できていない気がする。
管理会計を導入したい。
何となく値付けして受注してきたけれど、本当にこれでよいのだろうか?
見える化したいので、管理会計のしくみが必要だと感じている。
そんなご相談が、ここ最近特に寄せられるようになりました。
それなら、早期の月次決算がまず必要、とお聞きしてみると、
ご相談を寄せてくださる方に限って、毎月試算表は作られています。
試算表は作れているけれど、今いち活用できていない。
つまり、どういうことなのでしょう?
試算表は作れているけれど、経営者の大切な仕事「意思決定」には役に立っていない。
試算表は作れているけれど、今の会社の状況が「手に取るように」はわからない。
でも、実は、これって「あるある」なんです。
会計は、会社の状況を利害関係者へ報告するためにありますが、最も大切な報告先は、経営者です。
ただ、いわゆる「試算表」は「経営者への報告用に向いていない形式」です。
毎年、決算申告のために作る決算書と同じような形式で「試算表」が作られていると思います。
たとえば、製造業なら、貸借対照表・損益計算書・製造原価報告書の試算表。
この3表(あるいは、貸借対照表と損益計算書の2表)を見ていても、わかりにくい。
「利益をあと100万円増やすには、いくら売上増やしたらいいんやろ?」
「来年社員1人増やしたいんだけど、いけるかな?」
「コロナの影響で売上が〇〇%減りそう。利益はいくらになるんかな。お金はいけるんかな」
こういう経営者の関心ごとには応えてくれません。
少し専門的な言葉を使わせてくださいね。
決算書や試算表は「財務会計」という考え方で作られています。
財務会計は、外部報告用です。
上場企業でいうと「IR情報」がこれにあたります。
中小企業でいうと、外部は金融機関や税務署です。
対して、
経営者が業績評価をしたり、意思決定したりするために必要な会計の考え方は「管理会計」です。
でも、普段目にする決算書や試算表は、管理会計用ではなく、財務会計用に作られています。
財務会計では、科目を細かに正確に分けて、正しく報告することが目的です。
だから、経営者にとっては、わかりにくい のです。
じゃあ、どうしたら管理会計にできるの?
それ用にシステム入れなあかんの?
上場企業では、日ごろの業績管理や意思決定のための数字と、外部報告用の数字は、
営業企画(管理)部門、経理部門、とそれぞれ違う部署が担当していますが、
中小企業ではそのように部署をわけることはできませんし、そこまでの人員をかけてられません。
日ごろの試算表を「組み替えて」応用すれば、
中小企業でも、経営者が意思決定ができる管理会計は十分可能です。
ステップとしては次の通り。
1)毎月の試算表の不要な「でこぼこ」を直す(月によって数字が暴れてないか)
2)変動損益計算書に組み替える
3)管理すべき指標を決める (ここ大事)
4)そしてPDCAをまわす (やりっぱなしにしない)
1)毎月の試算表の不要な「でこぼこ」を直す(月によって数字が暴れてないか)
ご相談いただく方の試算表を見ていると、ある費用科目の数字が「でこぼこ」していることがあります。
たとえば法定福利費。
社会保険料支払額 から 従業員負担分を差し引いた金額が表示される科目です。
月によって、数字がマイナスだったり、大きくプラスだったり、でこぼこ。
社会保険料の支払いは月末ですが、月末が土日で翌月にずれ込んだときがマイナスに。
5月の法定福利費は△50万円 6月の法定福利費が150万円
本来は 5月50万円 6月50万円が各月の負担の金額のはず。
このようにでこぼこしていると正確な判断が難しくなります。
ちょっとした経理の工夫で直せますから、まずはこの「でこぼこ」がないようにします。
2)変動損益計算書に組み替える
1)のでこぼこを直したうえで、試算表を「変動損益計算書」に組み替えます。
(すでにおなじみのお客様もいらっしゃるかと思いますが)
これをご活用いただくと、会社の業績評価がしやすくなり、経営者は意思決定に必要な関心ごとに応えやすくなります。
変動損益計算書のつくりかたについては、産創館さんのコラムに書かせていただきました。
https://www.sansokan.jp/mng/keiei-column/003/
図を交えてわかりやすくしているので、お読みいただけたら嬉しいです。
長くなるので、3)4)については次回のメルマガで書きますが・・・
3)管理すべき指標を決める (ここ大事)
変動損益計算書に組みなおし、会社の状況の全体像がわかったら、次はここです。
管理すべき指標を決めること。
KPI(Key Performance Indicator)とも言います。
客数や単価、稼働率、案件数、ネゴ数・・・いろんな数字が会社にはありますが、
あれもこれも追うことは難しく、現場は混乱。どれをどのように追っていくのか?
4)そしてPDCAをまわす
やりっぱなしにせず、振り返り・改善につなげるしくみが必要です。
3)4)は来週に、できるだけわかりやすく書きますので、どうぞお楽しみに。
どの会社も経理はしているのに、会計を活かしきれていないとすれば、
本当にもったいないなぁと思うと同時に、会計人として責任を感じています。
黒字で、かつ、経営者が本当にやりたいこと・会社が目指すことが実現できることを支援するのが私の役割です。
2.おすすめ書籍 2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義
今日のおすすめ書籍はこちらです。
2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義 (星海社新書) 瀧本 哲史さん著
https://www.amazon.co.jp/dp/4065194288/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_kZ96EbPTW7ZBG
経営コンサルタントでもあり、エンジェル投資家でもあり、教育者でもある瀧本さんの本。
「僕は君たちに武器を配りたい」で有名で、一貫して若者にメッセージを送り続けた方です。
「君たちは、自分の力で、世の中を変えていけ!
僕は日本の未来に期待している。支援は惜しまない」
この本の内容は、著者の瀧本哲史さんが東京大学で29歳までの若者に限定して講義を行った内容を収録したものです。
「これからの日本や世界のために何か行動しましょう、8年後、2020年6月30日で会いましょう!」
と締めくくってある講義ですが、瀧本さんは2019年に47歳の若さで亡くなられました。
・人の振りしたサルにはなるな
・自分の人生は自分で考えて、自分で決めるための思考の枠組みをとして教養が必要。
・バイブルやカリスマにすがるな。自分自身を拠りどころとするために学べ。
・正しい選択をし続ければ世界は変わる。
・弱者こそ交渉という武器を持とう。
・常に相手の利害を分析せよ。
・仮説を試せ。
講義を真空パックしたように熱量と内容が伝わり、すぐに読めます。
一度だけ講義を拝聴したことがありますが、切れ味抜群の話しぶり、
ロジックに裏打ちされた主張を積み重ねていますが、実はとても情の厚い魅力的な方です。
大きなことはできなくても、自分の大事なことを守りながらでも、自分のやれることをやって、
日本の未来をよくしていこう、熱いものを心に灯せる1冊です。(おすすめ!)
本ってすごいですね。
ご本人がいなくても、後世の人に想いを伝え、託すことができます。
3.現在公募中の補助金情報
中小企業支援サイトJ-Net21から情報を取ることができます。
https://j-net21.smrj.go.jp/
トップページ→少し下にスクロールして「支援情報ヘッドライン」→「補助金・助成金・融資」
→地域を選び、種類 プルダウンして「補助金・助成金」を選択して「検索実行」
日々更新されているので、ときどきチェックしておくとよいと思います!
日本財団 助成金情報 CANPAN
https://fields.canpan.info/grant/
マニアックな助成金が多いですが、こちらもぜひ。
4.セミナー情報
今年も大阪産業創造館様でセミナーをさせていただくことになりました。
定員がいつもの3分の1であることもあり、全日程キャンセル待ちになりました。
【キャンセル待ち】7/8 14時~16時30分
きちんと押さえたい!経営者のための資金繰り基礎知識
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=30630
【キャンセル待ち】8/5 14時~16時30分
<会計・基礎>ここから踏み出そう!経営者のための決算書入門
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=30478
【キャンセル待ち】8/26 14時~16時30分
<会計・応用>経営者目線の決算書の読み方と活かし方
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=30479
その他、SWOT分析などを用いた事業の方向性を考えるオンライン講座も考えています。
5.活動日記 対談動画に挑戦中 動画はすごい
最近、YouTubeチャンネルを開設する人が増えたり、Facebookライブをする方が一気に増えましたね。
私も動画作成には少し前から挑戦していますが、一人でしゃべるの難しい!
ってことで、対談動画に挑戦中です。
zoomがあるので、対談相手が離れていても対談動画が作れます。
今編集中なので、公開できたら、お知らせしますね。
公開する動画以外にも、動画の出番って増えてるなぁと思います。
お客様先で、数字の見方を説明するときに、
「動画で撮っていいですか?みんなにも説明したいんで」
と動画に納めていただいたり(緊張しますが、慣れてきました)、
システムの操作を伴うご質問でも、回答を動画に納めて限定公開のYouTubeにアップして、URLを送ります。
「メニュー1を選んで、真ん中くらいの印刷設定で「印刷しない」を選んで・・・」と
文字を書く必要がありませんし、動画の方がよく伝わります。
さらに、保存しているので別の方からの質問にも活用できます。
これを繰り返すと・・・マニュアル動画ができてしまうではないですか!
スタッフの育成にも使えそうと思いました。
ある会社さんは、成績のよい営業社員さんのロープレを動画に納め、
ポイントをまとめたうえで、営業研修に使っているそうです。そのうえで、OJTをすると効果的だと。
「商談に同行して、何かを感じ取って気づいてほしい、と期待していましたが、この方が本人の納得度も違いますね」
動画はプロモーションだけではなくて、社内のマニュアルにできたり、社員教育にも使えます。
学びの共有もしやすいですし、活用の幅は無限にありそうです^^
余談ですが、
10数年前でしたか、知り合った方が「これからは、動画だよ、採用活動にも動画が効果的」とおっしゃっていました。
そのときは「え?なんで動画?写真や文字で十分じゃない?」って思っていましたが、その通りになりました。
その方の先見性に、改めてすごいなって思います。次の10年はどうなるんでしょうね?
今日のメルマガは、以上です。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
よき週のスタートをお過ごしくださいね!
今週もたくさんいいことがありますように!
神佐 真由美
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