第143号★2022年1月からどう変わるの?改正 電子帳簿保存法の重要ポイント/人事屋が書いた経理の本/「会社を変革する決意ができました」【税理士 神佐真由美】
今日もご開封いただき、ありがとうございます。
本日のメルマガの内容です。
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1.2022年1月からどう変わるの?改正 電子帳簿保存法の重要ポイント
2.現在公募中の補助金
3.おすすめ書籍 人事屋が書いた経理の本
4.セミナー情報
5.活動日記 「会社を変革する決意ができました」
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1.2022年1月からどう変わるの?改正 電子帳簿保存法の重要ポイント
「帳簿や請求書の保存方法が、変わるんですよね?」
「うちも関係あるんですか?」
と最近特にご質問いただくことが多い、改正 電子帳簿保存法。
いろんな会社がこれを機にうちのシステムを・・・!と営業をしているのもあり、
”何か変わるんだな”という認知が広まってきたと感じています。
でも、いまいち、何がどう変わるのか?何をしないといけないのか?
わかりにくいですよね。
私たちもサポートするべき立場。
限られた文面ではありますが、解説しますね。
まず、電子帳簿保存法ですが、
国税関係書類について、
書類の区分ごとに、保存する方法が定められています。
区分は3つ
1)電子的に作成した帳簿・請求書等の書類
2)紙で受領・作成した請求書等
3)電子取引
この区分ごとで取り扱いが決まっていて、改正によって2022年1月から変わりますよ、というものです。
区分ごとで見ていきましょう。
1)電子的に作成した帳簿・請求書等の書類
この区分での対象は、
会計ソフトで作成している会計帳簿や、
請求管理ソフトで作成した、自社発行の請求書などです。
これらは、出力した紙で保存することが原則ですが、一定要件を満たせば電子データで保存も可能です。
以前から電子データで保存する方法がありましたが、今回の改正で要件が大幅に緩和されました。
・事前承認制度を廃止
・3要件を満たせば電子データのまま保存可能
→システム関係書類の備え付け 出力が速やかにできる環境 税務調査の際などに速やかにダウンロードできること
・”優良な電子帳簿”として備え付ければ、過少申告加算税が5%軽減される
→3要件よりも多い一定の要件を満たして、事前に税務署へ届け出が必要
私どもの事務所では、多くのお客様に、仕訳帳・総勘定元帳について、電子帳簿をおすすめしてきました。
多くが”優良な電子帳簿”になる見込みです。
この区分では、もともと自社のPCで作った書類を電子保存 ”できる” という規定ですし、
システム関係書類についても、国税庁HPにサンプルがあるので、
参考資料(各種規程等のサンプル)|国税庁 (nta.go.jp)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm
適用は難しくないと考えます。
2)紙で受領・作成した請求書等
この区分の対象は、
取引先から紙で受領した請求書、領収書、紙で取り交わした契約書、手書きで発行した請求書、領収書などです。
この場合、紙のまま保存することが原則 ですが、
一定要件を満たせば、スキャンしたうえで電子データとして保存(スキャナ保存)することもOKです
以前からスキャナ保存が認められていましたが、改正で要件が大幅に緩和されました。
・事前承認制度の廃止
・タイムスタンプの付与期間が、最長2か月と7営業日以内に延長
→以前は受け取って3日以内にタイムスタンプが必要でした
・受領者がスキャナで読み取る際の自署が不要
・タイムスタンプの代わりに、訂正・削除履歴が残るクラウドでの保存が可能
・検索要件の緩和 取引年月日 取引金額 取引先のみ検索できればOK
・定期的な社内検査が必要でしたが、この要件も不要となりました
→スキャナした人と別の人が突合作業をするなどの確認が以前は必要でした。
だからすぐに書類を捨てることができなかったのですが、今回の改正で取り込んですぐの廃棄が可能に。
と、かなりの緩和がされて、領収書類をスキャナで保存する企業も増えることになると思います。
一定のスマホアプリで写メを取って、そのままクラウドに保存、そして仕訳に、ということも可能になります。
(大きさの保存ができ、取引年月日・金額・取引先などを読み取るか、情報を付加できることが必要)
一方で、問題なくスキャンされているかの確認や、
領収書の使いまわしの防止のための原本保存など、実務的には必要かもしれず、
この改正に対応して、スキャナ保存する場合には、それなりのしくみづくりが必要になります。
会社の規模や形態によっては、導入できるケースもあると思いますが、
このしくみづくりがネックで、後回しにする中小企業も多いのでは?と思います。
3)電子取引
3つの区分のうち、電子取引への対応がいちばん大変だと思います。
この区分では、紙を通さずにやりとりする電子データになります。
請求書をメール添付したり、ダウンロードしたりすることが最近はよくありますよね。
電子で完結する取引全般です。
※メールでやりとりしたあとに原本の紙をやりとりするのは、電子取引ではありません。
最大の特徴は、改正後は「電子データで保存しなければならない」ということです。
これまではほかの紙の書類と同様に、紙に出力して保存しているケースが多いと思いますが、
改正後は、電子データでの保存が強制適用される、ということです。
これは全事業者に関係があることになります。
要件は次の通り
・PC・ディスプレイ・プリンタなど、表示・出力できること
・不正な改ざん防止策を講じること
・検索機能の確保
(取引年月日・金額・取引先)
です。
2つめの不正な改ざん防止策 これがもっとも注意が必要です。
具体的には、次のうちどれかを実施する必要があります。
<改ざん防止策>
・タイムスタンプが付された後の電子情報のやりとり
→相手にタイムスタンプを押してもらわないといけない
・速やかにこちらでタイムスタンプを付し、入力した人等を確認できるようにする
・データの訂正削除の履歴が残るシステムを使う
・もしくはデータの訂正削除ができないシステムを使う
・訂正削除の防止に関する事務処理規定の備え付け
→国税庁にサンプルあり
う~ん なんだか難しそう!
電子保存ということは、電子保存する場所も確保しないといけません。
フォルダやファイルの名前の付け方にも注意が必要でしょう。
・訂正削除ができないシステムを使う か 訂正削除の防止に関する事務処理規定を備え付ける
・ファイルの名前を工夫して、「20210928_㈱ABC_110,000」など検索機能を確保する
もしくは、国税庁のサンプル索引簿を利用して3つの検索機能(取引年月日・金額・取引先)を持たせる
参考資料(各種規程等のサンプル)|国税庁 (nta.go.jp)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/0021006-031.htm
などの方法が考えられます。
この3)電子取引については、
2022年1月1日以後に行う電子取引について、強制適用が開始されます。
今回の改正で、いちいち紙で出力しなくてよくなった分、
その置き場所をどうするか、検索可能性をどう確保するか、改ざん防止策をどう講じるか、ということが必要となりました。
全事業者に関係があることなので、今から会計事務所と相談して、しくみを作っていくことが必要です。
簡単にまとめると・・・
1)電子的に作成した帳簿・請求書等の書類
→ 任意適用 そして 適用がいちばん容易
2)紙で受領・作成した請求書等
→ 任意適用 そして 一定のしくみづくりが必要
3)電子取引
→ 強制適用 そして 一定のしくみづくりが必要
ということで、早めに対策を考えねば!というものは、3)の電子取引になります。
会計帳簿とも密接に関係することになりますので、年内に会計事務所と相談して、
「これでいこう!」というしくみを作られることをおすすめします。
私も、要件をしっかり満たしつつ、お客様にフィットする方法をご提案していきたいと思います。
2.現在公募中の補助金
・京都市限定★京都市中小企業等再起支援補助金(10/15まで)
https://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/page/0000282498.html
・京都府・京都市 MICE開催支援助成金
https://meetkyoto.jp/ja/wp-content/themes/mice_ja/pdf/mice_chirashi.pdf?0625
・事業再構築補助金(第4次公募締め切りおそらく11月末? 第5次公募まで予定)
https://jigyou-saikouchiku.jp/
・IT導入補助金(3次公募 9/30まで)
https://www.it-hojo.jp/applicant/
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(第8次公募 11/11まで)
https://portal.monodukuri-hojo.jp/schedule.html
3.おすすめ書籍 人事屋が書いた経理の本
人事屋が書いた経理の本
協和醗酵工業 さん著
https://www.amazon.co.jp/dp/4881660012/ref=cm_sw_r_tw_dp_HR44QQE2JC02D3G4GCCS
■□■会計書ベストセラー■□■
1978年の発売以来、いまなお読まれ続ける会計書の古典的名著。
本書は、MG(マネジメント・ゲーム)の講義マニュアルであるとともに、会計をまったく知らない人にも、様々な視点で経理の基本を学ぶことのできる入門書として最適です。
会計をビジネスに活かすための教科書として、学校や研修で多く採用されています。
★手に取ったきっかけ★
「中小企業の会計をわかりたかったら、この本を読むといいよ」
と、新卒で入った会社で上司に勧められた本のひとつです。
出版はなんと1978年なんですね。
40年前の本ですが、今も売れ続けているロングセラー本です。
★おすすめポイント★
協和発酵工業さんの研修用で作られた教材をベースに書かれている本です。
人事屋が~とある通り、新入社員でも、簿記を知らなくても理解できるように書かれています。
難しい分析はなく、図を多く使って、数字から会社を理解し、改善するポイントがちりばめられています。
損益とお金の動きは違う、どのように着目したらよいのかなど、実務になじむ内容です。
簿記を知らなくても決算書を理解したい経営者の方に、
また、経理担当者からCFOにステップアップしたい方にもおすすめ。
4.セミナー情報
★大阪産業創造館様 セミナーシリーズ★
月次決算セミナー 10月19日14時~16時30分
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=34703
部門別会計セミナー 11月8日14時~16時30分
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=34704
5.活動日記 「会社を変革する決意ができました」
8月25日と9月8日の2日間で、大阪産業創造館さまで、
「図式で分析!損益計算書から考える経営改善」セミナーの講師を務めました。
実際に自社の決算書を持ってきていただいて、
手を動かしながら、会社の状況や問題点、課題、改善策を見つけていきます。
2時間半×2回では、すべては網羅できないのですが、
これからの描き方、そして、日々の活動を管理する指標(KPI)の決め方についてもお話しました。
記録 と 記憶 をこれからに生かしていただきたい。
そんなお話をしたと思います。
産創館の中尾さんと一緒につくりあげた新しいセミナーなので、
どのくらい伝わるかなーとドキドキしていたのですが、
ありがたいことに満足度100%をいただきました。
でも、満足度が良くても、会社に戻られて活用されていなかったら、お役立ち度0%になります。
満足度も、お役立ち度も100%を目指しています。
セミナー後、今回どうだったかな~と気になっていたのですが、
アンケートに書かれた1つの文が目に飛び込んできました。
「会社を変革する決意ができました」
この言葉をいただいて、私自身 ハッとしました。
セミナーの役割って、考え方ややり方を教えることはもちろんのことですが、
もやもやっとしたお悩みの曇りをとって、解決できるかも、と希望をもっていただけることが大切なんだ、と。
こんな感想をいただいたのは初めてです。
とても嬉しく思いました。
10月も11月もセミナーが続きます。
今年はこれまででいちばん登壇回数が多いです。
勇気とやる気をいただいて、また頑張ります!
今日のメルマガは、以上です。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
火曜日配信になってしまいましたが、
今週も皆さまにいいことがたくさんありますように。
また、元気にお会いしましょう。
神佐 真由美
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