第147号★「教えること」を教わっていないベテランと幸福度倍増の低成長モデル 平和酒造さんのお話から/チャレンジはリターンを生む 【税理士 神佐真由美】
今日もご開封いただき、ありがとうございます。
本日のメルマガの内容です。
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1.「教えること」を教わっていないベテランと幸福度倍増の低成長モデル 平和酒造さんのお話から
2.現在公募中の補助金
3.おすすめ書籍 個が立つ組織
4.セミナー情報
5.活動日記 チャレンジしたことはリターンを生む
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1.「教えること」を教わっていないベテランと幸福度倍増の低成長モデル 平和酒造さんのお話から
酒蔵って聞くと、そこに働いている人にはどんなイメージを持たれますか?
ベテランの杜氏さん、蔵人さん。
どちらかというと、ご年配の方が多いというイメージをお持ちかもしれません。
先日、和歌山にある平和酒造株式会社 山本典正社長のご講演を聴くことがありました。
(というか、TKC近畿京滋会で、お呼びしたのは私です。役得です。お話を聞いてみたくて!)
昭和3年創業の平和酒造さんは、
全国で1200ある酒蔵のなか、
唯一、全社員を大卒新卒で採用している、非常にユニークな会社です。
働いている方は、40代の杜氏さんをはじめ、20~30代の若い方が中心。
働いている方は、それぞれSNSなどで発信されていたりするのですが、
とても仕事を楽しそうに取り組んでいるように見えます。
若い人の採用も、年々難しくなって、
しかも、
「なかなか育たへんねん」 「すぐ辞めてまうねん」という
お悩みを多く聴くだけに、
どうなってるの?ということがずっと気になっていました。
平和酒造さんでも、
せっかくたくさんの応募から、やる気のある人を採用しても、
数か月でやめてしまう、という悩みはあったそうです。
最初は、みんなやる気があって、
「いいお酒をつくって、日本酒業界を変えていこう!!」
と社長とがっちり握手をして、入社してくるのですが、
元気がなくなって、やめてしまう。
やる気のある人が、酒づくりをベテランの杜氏さんから学ぼうとしても、
「教えること」を教わっていないベテラン杜氏さんは、
教えることをせず、1年目でもできる仕事を指示してきます。
それを片付けたら教えてもらえる!と、手早く終えて、
ベテラン杜氏さんのところにいくと、大事な工程が終わっている。
「あっ 教えてもらえないんだ・・・」
というがっかりなことが連続して起きると、
やる気のある人もやる気をなくしてしまう。
そしてやめてしまう。
こういうことが起こっていたようです。
「やる気のある若い人を入れて、フレッシュな風を入れたら、
会社は変わると思っていたけれど、
本当に変わらないといけないのは、ベテランの方でした」
と山本社長。
そこから、ベテラン杜氏さんとも、何度も何度も何度も話をしたそうです。
・若い人に技術を教えても、あなたの立場は危うくなるわけではないこと
・酒造技術のマニュアル化と数値の共有をしていくが、決して職人の経験を軽んじているわけではないこと
・若い人が、早く1人前になるように、協力してほしいこと
そして、どうしても職人の世界は、下積みが大事、と言われていて、
石の上にも3年、5年の世界なのですが、若い人はそれがなかなか待てない。
仕事の厳しさだけが伝わってしまうと、しんどくなってやめてしまう。
だからこそ、厳しさも伝えながら、やりがいも持ってもらえるよう、
「技術は包み隠さず教えるよ」ということを約束したうえで、
”責任仕込み”といって、1つの酒造タンクを1人で責任を持つことを、早い段階でしているそうです。
杜氏さんたちは、アドバイスをするけれども口出しはしない。
1人で仕込むことで、責任感が生まれ、技術も学び、酒づくりの喜びを感じてもらえると。
そして、社員さん自らが考案し、酒づくりのない夏に、クラフトビールを開発して販売したり、
一人ひとりが輝く組織を 少しずつ作ることができているそうです。
冒頭の、”低成長モデル”というのは、
売上を追いかけることもできたかもしれないけれど、
それよりも、毎年、美味しいお酒をつくり続けられる、”ひとづくり”と”組織風土づくり”を優先。
厳しいけれどもやりがいをもって、楽しそうに働く人たちによる、酒づくりが実現できているそうです。
今年のIWCコンクール サケ部門では、グランプリを取られました。
酒づくりは、人づくりから始まるんだな、と感じました。
積み重ねる対話も、実績を出して本気を見せることも、もちろん大事。
「教えること」を教わっていないベテラン杜氏さん。
私のことか、とドキッとしてしまいました(;^_^A
仕事なんやし、教えんでも自分で学んでくるっしょ~と思っていた人です。
ついつい、自分の価値観を押し付けていないかな?と振り返らなければと思っています。
それでは若い人はついてこないですしね(;^_^A 気を付けます!
採用だけでなく、人材の教育。
これからますます採用が難しくなってきますし、
人を生き生きと育てていくことは、ますます重要になってきます。
たくさんご相談をいただくなかで、とてもヒントをいただいたと思いました。
このあたりの組織改革について書かれた書籍を、
おすすめ書籍にピックアップしているので、
気になる方はぜひ手に取ってみてくださいね。
2.現在公募中の補助金
・業務改善助成金
https://pc.saiteichingin.info/chusyo/index.html
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図るための制度です。
生産性向上のための設備投資(機械設備、POSシステム等の導入)などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成します。
・事業再構築補助金(第4次公募が始まっています!12月21日締切)
https://jigyou-saikouchiku.jp/
・IT導入補助金(4次公募 11/17まで)
https://www.it-hojo.jp/applicant/
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(第8次公募 11/11まで)
https://portal.monodukuri-hojo.jp/schedule.html
・小規模事業者持続化補助金(第7回公募 2022/2/4まで)
https://r1.jizokukahojokin.info/
3.おすすめ書籍
個が立つ組織 平和酒造4代目が考える幸福度倍増の低成長モデル
山本典正さん著
https://www.amazon.co.jp/dp/4296104969/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_IvLeEbXCAYYG9
1のトピックスでお話した平和酒造さんの著書です。
上意下達の旧態依然とした組織が
いかに「個が立つ組織」へと変化を遂げたか
1972年以降、市場規模が3分の1に縮小した日本酒業界で
持続的成長を続けた酒蔵の改革とは
☆手に取った理由
・「跡継ぎベンチャー」ともいわれる平和酒造さんの経営革新の内容が知りたい
・斜陽産業といわれる日本酒業界にいながら、若い人がどんどん集まってくる魅力があるなど、今中小企業が抱える課題のヒントがあると思った
☆おすすめポイント
たくさんの取引先が狙える問屋を使わず、お互いに共感できる「一生付き合える」小売店にしか売らない。
社員のやる気を活かすために、個々の社員にカスタマイズした仕事のつくり方。
業界のためにファーストペンギンになることを大切にする。
花形部門を作らない。そして、技術はすべて共有する。
売上を伸ばすことよりも、確実にお客様に喜んでもらえるお酒をつくることにこだわる。
中小企業の強みを生かしたこれからの経営のヒントが詰まっていると思います。
4.セミナー情報
★大阪産業創造館様 セミナーシリーズ★
【終了】月次決算セミナー 10月19日14時~16時30分
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=34703
(おかげさまで満足度95%超で無事に終了しました!)
部門別会計セミナー 11月8日14時~16時30分
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=34704
SWOTなどをつかってポストコロナの戦略をじっくり考えて
「あとはやるだけ」に!
事業の価値を再構築するオンライン講座(仮題)
もうすぐお伝えできそうです。
カミングスーン!
5.活動日記 チャレンジしたことはリターンを生む
平和酒造の山本社長は、数年前に京都大学のMBAに行かれていて、
20年前と比較して、外国人学生の多さに驚き、
「国際化は避けられない」と確信し、
2018年から年に12回の海外出張を自らに課したそうです。
「英語は全くダメなんですが、そうも言うてられないと思って」
と30か国へお酒と一緒に出張されていたそうです。
2020年、2021年はコロナ禍で行かれてないそうですが、
自ら海外を飛び回ったことが、コロナ禍の会社を救うことになったそうです。
特に欧米では、日本食と日本酒が伸びていて、
輸入したいという意欲が高まっているそうなのですが、
会ったことのない人・会社から買うことは難しく、
出張のときのコネクションで、優先的に選んでもらえたというラッキーがあったとのこと。
「KPIとしては間違っているかもしれないけれど、
チャレンジしてきたからこそ、得られたリターンだと思う」
とおっしゃっていました。
そう思うと、何が未来につながるか、わからないものですね。
今できるチャレンジをすることが、思わぬリターンを生むかもしれません。
私も、今できるチャレンジを、遠慮なくやってみようと思いました。
まずは・・・当選してしまった、大阪マラソン、から・・・!(;’∀’)
今日のメルマガは、以上です。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
今週も皆さまにいいことがたくさんありますように。
また、元気にお会いしましょう。
神佐 真由美
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