第172号★こちらが仮名で作った領収証で高等裁判所でまで争うことになったおはなし/データサイエンス入門/観光地の魅力度世界一の日本【税理士 神佐真由美】
今日もご開封いただき、ありがとうございます。
本日のメルマガの内容です。
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1.こちらが仮名で作った領収証で高等裁判所でまで争うことになったおはなし
2.現在公募中/これから公募予定の補助金/融資制度
3.おすすめ書籍 データサイエンス入門
4.セミナー情報 6/6★LINE公式アカウント初心者向けセミナー
5.活動日記 日本の観光地としての魅力は世界一
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1.こちらが仮名で作った領収証で高等裁判所でまで争うことになったおはなし
TKC近畿京滋会という所属する会において、
租税判例研究会という研究会の担当をしておりまして、
2か月に1回、税務訴訟の判例研究をしています。
全国の担当者が持ち回りで研究発表をしているのですが、
6月は私の番でして、
月末が研究発表の原稿の締切りで、
今月は3月決算もあって、必死のパッチです。
(苦しい言い訳してます)
研究をしている判例が、こんな事例です。
海産物の市場ではない場所での現金仕入れについて
領収証は仮名で仕入れた側が作っており、
それに基づいて、商品ごとの在庫受払表を作成し、
これを、仕入れとして経理した。
在庫受払表は、資料として、一般的に信用力があるものの
記載誤りが多く見受けられる。
だから、この現金仕入れは、すべて架空仕入れでしょう、
ということで、多額の更正(申告内容を税務署が直すこと)がされ、
多額の追徴の課税と、重加算税というペナルティも払うことになった、という事案です。
これを不服として、
会社側は、
国税不服審判所に訴えましたが、棄却されています。
その後、地方裁判所に訴え、全面的に敗訴しています。
高等裁判所に控訴して、
全体の20%のみ、架空仕入れとして追徴されることとなり、
残りの80%は、在庫受払表の信用力はないけれど、
だからといって、架空仕入れがあったという証拠にはならない、
という(だいぶ丸めてますが)結論です。
税務署側が、架空仕入れが存在したことを証明する義務があり、
全体的に信用力がないとしても、
具体的に説明できていないものは、
架空仕入れとは断言できないから、処分はできない、という結果となりました。
結果として、全面敗訴は免れたのですが、
平成18~24年頃の取引について、令和1年まで裁判しているのですから、大変です。
架空仕入れがあったのかなかったのか、
80%の取引については、あったとまでは言えない、という結論で、
ことの真偽はわかりません。
この裁判をすることになった発端は、
現金仕入れをしたという証拠が、
・仮名で、買主が作成した領収証等
・これに基づいた商品別の在庫受払表
(日付が前後したり、在庫がマイナスになったり、記載漏れが見られるなどの不備あり)
・現金仕入れの事実のこちら側の供述
(事実を補強するには至らなかったそう)
しかなかった、ということです。
すべてこちら側による書類や供述しかなく、
確かにその取引があったよね、といえる客観的な証拠がないことから、
この税務紛争は始まったのですね。
ここでいう客観的、というのは、
通常の一般人であれば、
確かにその事実があったよね、
という結論に至る、ということを指します。
わかりやすくいうと、
10人いたら9人が、そうだよね、と思うことです。
このような裁判になることは避けたいですし、
その前に税務調査で指摘されることすら、避けたいものです。
もし、帳簿にしか記載がなくて、
それを裏付けるほかの資料がない
これってとても危険な状態です。
取引があって、会計伝票を切ったら、
それを裏付ける資料も一緒に保存をしておく必要があります。
会食費(交際費)を支出したなら、
領収証をとっておくだけでなく、
事業の関係がある誰との会食なのかを、その都度記載する。
お祝い金として支出したら、
領収証をもらえません。
お祝いのもとになる案内をとっておき、
現金出納帳にタイムリーに記入しておく。
現金の残高も日々合わせる。
他の人が見ても、確かにその取引はあったよね、
そう言える証拠を残しておく。
私たち税理士や事務所スタッフが、
「これってどんな支出ですか?」
「もとになる契約書、ありますか?」
とお尋ねするのは、
決して疑っているわけではなく、
事実を確認し、事実に足る証拠を備えるためであり、
関与先様を守るためです。
とはいえ、限られた時間で
取引やその背景のすべてを確認できるわけではないので、
会社のしくみとして、客観性を確保できる体制が重要です。
日々きっちりされている会社は、守られるべき。
他の人が見ても、取引の事実があったといえる客観性。
客観性を確保できている会社では、
事実に基づいた業績管理もしやすく、
また、不正が起こる確率が低いと考えられます。
会社の根幹であるしくみに関わることなので、地味だし、目立たないところではあります。
だからこそ、いざというときに、胸を張れる、
客観性を確保できるしくみを作っておきたいですし、
税理士は、その土台づくりので力になれるのではと思います。
追い込まれている税務訴訟の判例研究から、お伝えしました。
現場からは以上です!
2.現在公募中/これから公募の補助金/融資制度/おすすめ情報
・経産省:ウクライナ情勢や原油価格高騰などにより影響を受ける中小企業・小規模事業者を対象とした相談窓口
https://www.meti.go.jp/ukraine/index.html
(ウクライナの人たちに早く穏やかな日常が戻ることを祈っています)
・事業復活支援金(6月17日まで延長 IDの発行は今月中に!)
https://jigyou-fukkatsu.go.jp/
・インボイス対応に!
ITツールと同時導入でパソコンやタブレットも対象に!IT導入補助金2022
https://www.it-hojo.jp/2022/
・業務改善助成金(事業場内最低賃金をUPで設備投資資金を助成)
https://pc.saiteichingin.info/chusyo/index.html
・事業再構築補助金(第6回公募開始!6月30日まで)
https://jigyou-saikouchiku.jp/
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(第11回公募 8月18日まで)
https://portal.monodukuri-hojo.jp/schedule.html
・小規模事業者持続化補助金(第9回公募2022年9月下旬まで)
https://r3.jizokukahojokin.info/
・ 雇用調整助成金(新型コロナ特例)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
(特例が6月末まで延長)
・兵庫県限定 令和4年度中小企業新事業展開応援事業
https://web.pref.hyogo.lg.jp/sr07/chushokigyoshinzigyotenkaiouen.html
・長期優良住宅化リフォーム推進事業
住宅をリフォームするのに、最大250万円支給される補助金
https://r04.choki-reform.com/
3.おすすめ書籍 データサイエンス入門 第2版(データサイエンス大系)
データサイエンス入門 第2版 (データサイエンス大系)
竹村 彰通さん
https://www.amazon.co.jp/dp/4780607302/ref=cm_sw_r_tw_dp_YRKM4479Q13AD6Y5V4SQ
(本の紹介より)
データ分析の初歩から活用事例までを平易に解説したデータサイエンスのリテラシー醸成のための教科書。
第2版では、数理・データサイエンス教育強化拠点コンソーシアムより公表された
「数理・データサイエンス・AI(リテラシーレベル)モデルカリキュラム」に準拠する形で、「導入」および「心得」にあたる記述を補完した。
本書の特徴は、データサイエンスの応用事例としてマーケティング、画像処理、品質管理など様々な分野における実際のデータ活用の事例を紹介していることである。
これによって、データサイエンスが現代の社会においてどのような役割を果たしているかを具体的に示しており、データサイエンスの学習を続けるための出発点になっている。
★手に取ったきっかけ★
図書館で何気なく手に取った初版。
第2版が出ていると知って、手に取りました。
データサイエンスは気になる分野です。
★おすすめポイント★
著者は滋賀大学のデータサイエンス学部長の先生。
大学生向けの教科書的な著書ですが、だからこそ、基本から講義的にわかりやすく書かれています。
聞いたところによると、「データ分析を学んでいた」学生さんたちは、
従来その大学から就職実績がないような会社に就職が決まったりしているそうです。
それだけデータ分析の分野は人が足りていないのかもしれません。
管理会計の分野でも同じことが言えていて、
データはあるけれども、それを読み解き、活かせるノウハウがなかったり、
もったいないことが多いように思います。
この分野でも、私は貢献していきたいので、勉強を続けようと思います。
4.セミナー情報/イベント情報
★6月6日20時~@オンライン
LINE公式アカウント初心者向けセミナー
〜全国の店舗でLINEを指導している高岡さんに教えてもらおう! 〜
https://bizlab.co.jp/2022/05/17/2206/
お世話になっているはたブキサロンの定例会。
参加券をプレゼントできますので、
ご興味のある方はご一報くださいませ。
★大阪産業創造館様 主催セミナー★
【はじめての〇〇セミナー】
きちんと押さえたい!経営者のための資金繰り基礎知識(6月15日)
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=36821
【起業準備セミナー】
社長になる前に知っておきたい!会社経営に必要な「お金の実務」セミナー(6月20日)
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=36493
★房仙会書道 京都移動展@壬生寺★
日時 6月12日(日) 12時半~15時
場所 京都 新選組ゆかりの壬生寺
私の書も含め、一門の書を展示しております。
お気軽にお越しくださいませ。
5.活動日記 日本の観光地としての魅力は世界一
毎年行われる国際的な会議であるダボス会議を開催している、
世界経済フォーラムという国際機関が、世界の観光地魅力度ランキングを発表しました。
観光地として魅力 日本が初の世界1位 交通インフラなど評価 | NHK政治マガジン
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/83126.html
日本は、アメリカやスペインなどの強豪をおさえて、はじめて1位になったそうです。
具体的には、交通インフラの利便性や、自然や文化など観光資源の豊かさ、
それに治安のよさなどが高く評価されたそうです。
日本が1位!?私はビックリです。
一定の評価基準で計測された魅力が1位だからと言って、
世界一観光客が集まるわけではないですが、
アフターコロナは間違いなく日本への旅行が注目を浴びるのではないかと。
かといって、コロナ以前のオーバーツーリズムのように、
たくさん受け入れればよいというものでもなく、
住んでよし 訪れてよし
の観光の在り方が求められてくるのではないかと思います。
衣食住すべてに日本の文化が息づいていて、
せっかく来るなら、少しでも価値観に触れて、感じてほしいなと思います。
(私が海外に観光に行くなら、そうしたいと思うからですが)
「観光」という言葉は、
中国の「易経」の「国の威光を観察する」から来るそうで、
「観」に「行」くではないそうです。
漢字っておもしろいですね。
魅力度1位であることで、どんなチャンスが生まれるか。
活かさない手はなさそうです。
今日はお届けできてよかったです!
本日も長いメルマガをお読みいただき、
まことにありがとうございました。
今週もたくさんいいことがありますように!
神佐 真由美
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