第257号★2024年もあと2カ月!年末までに確認しておきたいこと 贈与・承継・助成金/データでわかる2030年 雇用の未来/聴きよい言葉よりも、振り返りと問題意識と方向性を【税理士 神佐真由美】
税理士の神佐真由美です。
今日もご開封いただき、ありがとうございます。
本日のメルマガの内容です。
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1.2024年もあと2カ月!年末までに確認しておきたいこと 贈与・承継・助成金
2.現在&これから公募の補助金
3.おすすめ書籍 データでわかる2030年 雇用の未来
4.セミナー&イベント情報 月次決算&予算管理セミナー
5.活動日記 聴きよい言葉よりも、振り返りと問題意識と方向性を
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1.2024年もあと2カ月!年末までに確認しておきたいこと 贈与・承継・助成金
もう10月も下旬となり、あれよあれよという間に、今年もあと2カ月ちょっと。
皆さんはどのようにお感じでしょうか。
税制や施策から見た、2024年末までに確認しておきたいことをまとめました。
関係あること・ないことがあるかもしれませんが、ご参考になることがありましたら幸いです。
1)2024年中の贈与はどんな扱いになるか?
2024年度の税制改正で、贈与税・相続税について、大きな改正がありました。
従前の税制では、
贈与者が亡くなると、相続開始前3年以内の贈与の額を、贈与者の相続財産に加算して相続税を計算しました。
これを、「生前贈与加算」といいます。
この生前贈与加算の期間が、2024年以降の贈与から7年に延長されました。
結果的に、相続財産が増えることになり、相続税の増税となります。
ただし、延長した4年分については、総額100万円まで相続財産に加算しません。
少しややこしくなりましたね。
従前の制度であれば、2024年中の贈与の額は、
2027年中までの相続にかかる相続税の計算上、財産の額に加算されていました。
相続の日から3年さかのぼって加算だったので、
例えば、2027年10月1日が相続の日だとすると、
2024年10月1日以降の贈与が加算されていたこととなります。
2027年中の相続までの影響でとどまっていたということになります。
今回の改正によって、2024年中の贈与は、2031年中の相続まで影響を及ぼすことになります。
例えば、2024年10月1日以降の贈与は、
2031年10月1日までの相続にかかる相続税の計算上、財産の額に加算されます。
2024年中の贈与は、2031年中の相続があったときに、相続税の計算上、相続財産に加算される、ということです。
贈与と相続税の関係が、大きく変わっておりますので、贈与をお考えの方は、この点を踏まえておく必要があります。
こちらのページの概要欄の表がわかりやすいです。
No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4161.htm
2)事業承継をお考えなら、年末までに確認しておきたいこと
次に、事業承継をお考えの方にご確認いただきたいことがあります。
事業承継を促進するため、特例事業承継税制という贈与税・相続税の猶予制度があります。
事業承継では、株式を後継者に引き継がねばならず、
株式はお金に換えることができない財産であるのに、
贈与をすると贈与税がかかるため、事業承継を阻害するとして、
引継ぎにかかる税を猶予してハードルを下げる、という税制です。
現在、特例事業承継税制という、期間限定の特例措置があり、
2026年3月31日までに、承継計画を都道府県に提出し、
2027年12月31日までに承継が完了すれば、
承継した株式にかかる贈与税や相続税が100%納税猶予されます、というものです。
猶予なので、様々な要件があり、要件を満たせないと、納税の義務が発生するのですが、
極力そのハードルも低くした特例が、期間限定で実施されている、というものです。
また、事業承継税制を使って、また次の世代に承継できれば、猶予された贈与税・相続税は実質免除されます。
法人版事業承継税制(特例措置) | 中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei_enkatsu_zouyo_souzoku.html
2026年3月31日までに承継計画を提出して、2027年末までに承継(経営権も、株式の承継も)をすること。
これが、要件なのですが、ひとつ落とし穴があります。
承継する要件に、「3年間役員を務めていること」という要件があるのです。
2027年末までに承継するには、【2024年中には、役員に】なっておかないと、
この特例を使う要件を満たせないことになります。
この税制を使いたい場合、使う可能性があるのであれば、
2024年末までに後継者が役員に就任しておかないと、
役員3年経験要件が満たせなくなってしまうのです。
まだ後継者が入社していない、あるいは役員になっていない会社にとっては、
実質的な締切って2024年じゃない?というお話です。
政府の新しい資本主義会議では、この3年ルールを見直そうという動きがあるので、
もしかすれば、年末に発表される税制改正大綱で、3年ルールが緩和されるかもしれませんが・・・
新しい資本主義実現本部/新しい資本主義実現会議|内閣官房ホームページ
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/index.html
グランドデザインの改定版 こちらも注目です。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/ap2024.pdf
従って、特例事業承継税制を使おうかな、とお考えの方で、
後継者候補の方がまだ入社していない、役員になっていない、という場合は、
少し急ピッチで考えて動く必要があるかもしれません。
ケースバイケースな特例税制ですので、ご質問がありましたら、お気軽におっしゃってくださいね。
3)業務改善助成金の締切が12月27日です
時給を一定額以上上げるのであれば、業務改善助成金が使える可能性があります。
申請期限は2024年12月27日です。
業務改善助成金は、
生産性向上に資する設備投資等(機械設備、コンサルティング導入や人材育成・教育訓練)を行うとともに、
事業場内最低賃金を一定額(各コースに定める金額)以上引き上げた場合、
その設備投資などにかかった費用の一部を助成するものです。
業務改善助成金|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html
この助成金を申請したいときに、力になってくださるのは社会保険労務士さんです。
助成金の申請の代行ができるのは、社会保険労務士の資格となります。
年末に向けて混み合うことが予想されるので、関心がある方はお早めにご相談くださいね。
いや~しかし2024年早いです!
私の場合は、いきなり大地震から始まり・・・豪雨被害もあり、かたときも能登のことを忘れることがない2024年です。
それだけではなく、取り巻く経営環境の変化が加速したようにも思います。
為替相場も大きく動きましたし・・・企業への与える影響も少なくありません。
経営のかじ取りはいろんな変化を敏感につかんで、対応していかなければならなくなりましたね。
日本だけでなくアメリカの選挙の影響も今後は計り知れません。
1日1日は変化がないように思えても、こうしてみると、大きな動きを感じざるをえません。
皆さんはいかがでしょうか。
残り2カ月と少し。
暦年というのは、連続した時間の区切りに過ぎないとはいえ、振り返りのきっかけを与えてくれますね。
年末バタバタとしないように、悔いのない2024年にすべく、考えて動きたいと思います!
2.現在&これから公募の補助金
・IT導入補助金2024 (今年度分は終了しました)
・中小企業省力化投資補助金(随時受付)
https://shoryokuka.smrj.go.jp/
中小企業等のみなさまの売上拡大や生産性向上を後押しするため、
IoT・ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品の導入を支援いたします。
↓カタログの内容が増えています!↓
https://shoryokuka.smrj.go.jp/product_catalog/
・中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化などの大規模成長投資補助金 (第3次公募はいつ?)
https://seichotoushi-hojo.jp/
補助上限が50億円で、10億円以上の投資が対象となります。
・省エネルギー投資促進に向けた支援補助金
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/support/
・事業承継・引継ぎ補助金(次回公募 詳細未公開)
https://jsh.go.jp/r5h/
2019 年 9 月 17 日~2024 年 9 月 16日に事業承継をした
事業承継者の新しい取り組み支援(経営革新支援)や、
M&Aにかかる費用の支援(専門家活用型)があります!
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
(第19次締切はまだこれから)
https://portal.monodukuri-hojo.jp/schedule.html
・小規模事業者持続化補助金(第17回公募まだ もうないかも?)
https://s23.jizokukahojokin.info/
・支援情報ヘッドライン | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
https://j-net21.smrj.go.jp/snavi/index.html
地域の公募情報も手に入ります。
・令和6年度業務改善助成金(令和6年12月27日まで)
事業場内で、最も低い賃金(事業場内最低賃金)を30円以上引き上げ、
生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その設備投資等にかかった費用の一部を
助成する制度です(最大600万円)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html
3.おすすめ書籍
データでわかる2030年 雇用の未来
著:夫馬賢治さん
https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/24/06/17/01439/
(本の紹介より)
2030年、新たな産業革命が始まる。気候変動対策のためのエネルギー革命、サーキュラーエコノミー化、AIの進化、少子高齢化など、避けることのできない大きな波は、産業、雇用、社会や教育のあり方までを激変させるだろう。将来の大転換に備え、日本人にはどんな備えが必要になるか。データをもとにひもとく。
プロローグ 日本人の知らない21世紀の産業革命
第1章 21世紀の産業革命はいかにして起こるのか
第2章 気候変動対策が未来の雇用を一変させる
―カーボンニュートラルとエネルギー革命
第3章 農林水産業は新たな産業革命の第2の震源地
―カーボンニュートラルと農業・畜産業・水産業
第4章 農林水産業革命は雇用をどう変えるか
―ネイチャーポジティブと農業・畜産業・水産業
第5章 サーキュラーエコノミー化が変える未来
―素材革命で蘇る職人技能
第6章 AIとホワイトカラーの業務革命
第7章 少子高齢化がこれから職場にもたらす激変
― 人口減少とダイバーシティインクルージョン
第8章 未来の雇用に向けて何ができるか
★手に取ったきっかけ
日経新聞でのおすすめを見て。
また2030年は、もう5年後のことですし、
「最低賃金が平均1,500円にする」と言われている年と重なります。
未来観を持ち、自分なりの仮説をアップデートしておく必要があります。
★おすすめポイント
世の中の状況を「経済層」「社会層」「環境層」の3つに分類して、
そのつながりを表現したモデルを使用。
経済を追い求めると、環境への影響はマイナスに。
また、社会層も格差が助長される影響もある。
地球で費消できる資源には限りがある以上、
鉱物資源の採掘をへらしていくサーキュラーエコノミーの考え方が不可欠。
ごみを減らし、ごみを回収し、再び素材として循環させること。
そうすると、影響を受ける業種は、建設・不動産と製造業。
循環型経済を前提とした技術開発やスキル開発が必要では。など。
思ったよりもマクロ的な内容が多い印象でしたが、
どの分野で雇用が減り、増えそうか、俯瞰的に考えることができます。
4.セミナー情報&イベント情報
★大阪産業創造館様 主催セミナー★
・管理会計シリーズのセミナーが毎月開催!頑張ります!!
■10/23開催
【セミナー】<管理会計シリーズ>
数字を経営に活かす「月次決算」―翌月10日の決算で経営判断の精度を上げる!―
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=45031
■11/19開催
【セミナー】<管理会計シリーズ>
数値計画を実現させる「予算管理」 目標を実現させるためのポイント
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=45045
まだサンソウカンHPには反映されておりませんが、日程が決まりました!
12/17(火) 変動損益計算書
1/21(火) 部門別会計
2/18(火) 投資意思決定会計
いずれも14時~16時30分 の予定です。
・産創館には、お役に立つセミナーがたくさん企画されています。
https://www.sansokan.jp/events/?ym=2024-07
5.活動日記 聴きよい言葉よりも、振り返りと問題意識と方向性を
自民党の総裁選から、あっという間に衆議院解散となり、
27日の投票日が決まり、短い期間での選挙が始まりました。
仕事柄外出が多いのですが、街頭演説が活発です。
生の声は大事と思うので、時間があれば足を止めて耳を傾けるようにしていますが、
候補として立たれる方は、皆さん演説とても上手です。
話し手として参考になることも多いです。
自分の一票を誰に、どの政党に託そうか、と考えるときに、
どうやって決めるべきか、とても悩みますし、考えます。
選挙期間が短すぎて、候補者の考えをじっくり聴くこともままならず、
また、石破氏が総理大臣になってからいきなりの選挙で、成果に対するジャッジもできず、
今回はとても難しいなぁと感じています。
選挙は、現政権への評価の機会でもあるので、
現政権が以前に何を掲げてきて、どれだけ実現できてきたのか、繰越をしている課題は何なのかは、
せめて振り返りを、客観的にしてほしいと思います。
この日本をどんな国にしていきたいというビジョン、いうなればグランドデザインを掲げ、
対して、現状どんな問題意識をもっていて、どんな課題に取り組んでいくのかを伝えてほしいと思います。
企業経営であれば、毎年決算書や、数字の元になった事実に対して、振り返りを行う機会がちゃんとあります。
経営計画も立てていく必要があるし、数値計画は立てなくとも今期はこうする、という方向性をお持ちです。
日本という国をどのように経営していくのか、グランドデザインも示さずに、
また、これまでやってきたことの総括もせずに(公約の実現状況と取組状況の開示も必要ですよね)
聴こえのよい言葉だけで、人を動かそうとしていないか、いつも以上に注意を向けています。
テレビの報道も、例えば、原発の推進という個別の論点について、どの政党が賛成か反対か、という2軸対立です。
化石燃料が手に入りにくくなり、資源を持たない日本の10年後20年後、
エネルギー政策は、しいては国民の暮らしや産業の在り方はどうあるべきか、から論じないとと思います。
そのなかでどんな技術開発が必要となるのか、それをどう推し進めるのか・・・大きな話になるはずなのですが。
アメリカの先住民ネイティブ・アメリカン(インディアン)の教えで、
「どんなことも7代先のことまで考えて決めなければならない」という言葉があるそうです。
どんなことであっても、何かを決めるときには、
その影響を7代先にどうなっているのかを考えなければならないというものです。
7代先まで及ばなくとも、これからの日本のグランドデザインを示して、
ビジョンに向かって共に頑張ろう!と、
一人ひとりが当事者として思えることが大事ではないかと思います。
時間も材料も足りないけれど、消去法でもなく、悔いのない一票を投じたいと思います。
投票したい先がないときは「白票」で参加するのも意味があるそうです。
いつも、そして、本日もお読みいただき、ありがとうございました。
今週も皆さんにとって、たくさんよきことがありますように!
いってらっしゃい!
神佐 真由美
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