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第259号★103万円の壁問題を手当すれば、問題は解決できるのか?/「ネット世論」の社会学/子どもたちと振り返り&目標づくり会【税理士 神佐真由美】

2024年11月05日

んにちは!
税理士の神佐真由美です。
今日もご開封いただき、ありがとうございます。

本日のメルマガの内容です。
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1.103万円の壁問題を手当すれば、問題は解決できるのか?
2.現在&これから公募の補助金
3.おすすめ書籍 「ネット世論」の社会学
4.セミナー&イベント情報
5.活動日記 子どもたちと振り返り&目標づくり会をしています

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1.103万円の壁問題を手当すれば、問題は解決できるのか?


衆院選が終わって1週間。

政権与党の議席は過半数を下回り、ここにきて、いろんな議論が沸き起こっていますね。

特に、気になるのはこちらです。

「103万円の壁」見直し、来年度目指す 国民・玉木雄一郎代表インタビュー(時事通信) - Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/11ca580c68bc7ec6044d55e629930713f5bf3e73

103万円の壁を「178万円の壁」にすべきだと、そして、この議論をしないことには、

政権与党には協力しない、ぜひ12月の税制改正で実現させてほしいと、

急に国民民主党の主張が注目されています。


今回のこの主張では、税のしくみを知るのによい事例だと思いますし、

旬な話題でもありますので、今日はこのことを取り上げてみようと思います。


「手取りを増やす政策」のうち、年収の壁の103万円を178万円に引き上げるという政策です。

もともとは、103万円の壁があることで、収入を増やしたい学生が、それ以上働けないというところから

始まった政策のようですね。


配偶者が、配偶者控除を受けられる給与収入の上限でもあり、

扶養している方が、扶養控除を受けられる給与収入の上限でもある、103万円。

103万円のそもそもの内訳は、

給与所得控除 55万円 + 基礎控除 48万円 戸なります。


給与所得控除は、もらう給与から、一定の金額を控除して、所得として計算します、という、

給与所得者の「経費」代わりの金額と言えるでしょう。


基礎控除は、高所得者の方には受けられない方もいらっしゃいますが、

だれでも所得税の計算上、所得から差し引く「基礎控除」です。


給与所得控除 55万円 + 基礎控除 48万円 で 103万円です。


この103万円を178万円にしましょう、というものですから、

給与所得控除が引き上げられるのか、基礎控除が引き上げられるのか、

国民民主党の公約を確認したところ、

基礎控除を引き上げる、ということのようです。


ということは、

給与所得控除はそのまま55万円 + 基礎控除は 123万円

になるのではないかと(あくまで推測ですが)、思います。

基礎控除が増えるとなると、たいていの方の所得税・住民税は減るでしょう。

所得の多い方の方が、減税額は大きいことになります。



さて、もともとは、学生が103万円を超えて働けないから、ということで、

103万円の壁を引き上げよう、ということだったと思いますが、

学生の103万円の壁はどうなるのでしょうか?


学生の103万円の壁は2つの意味があって、

・103万円を超えると所得税がかかる

・103万円を超えると扶養している親が扶養控除が受けられず、親の所得税が増える

という2つの壁があると思われます。


しかし、学生の場合は、「勤労学生控除」という控除があり

103万円を超えて働いても130万円までは本人に税金がかかりません。

それにもかかわらず103万円を意識しているのは、

結局は扶養控除(親の税金への影響)によるものが大きいようです。


結局、基礎控除が引きあがることだけが変わって、

扶養控除の103万円の上限が変わらない限り、

もともと解決したかった、学生が103万円を超えて働けるようにする、

という問題は解決しないことになります。

扶養控除の給与収入の上限が変わらないと意味がありません。



配偶者の扶養で働く人はどうなるでしょうか?

たとえば、夫の扶養で働く妻の場合です。

103万円の壁は、給与収入が103万円を超えたら、

夫の配偶者控除が受けられなくなる、ということから103万円の壁と言われています。

しかし、103万円を超えても、配偶者特別控除という控除があり、

夫の所得税は、妻の給与収入が150万円を超えるまでは同じです。


また、年収の壁は103万円だけではなく、

多くの働き控えは、「130万円の壁」で起こっているのが現実です。

130万円の壁は、社会保険の扶養(第3号被保険者)の収入の上限です。

年収130万円を超えるくらいの収入を見込むのであれば、

夫の社会保険の扶養に入ることができません。

自分で国民健康保険と国民年金を負担するか、

勤務する会社で社会保険に入り、保険料を負担するなど、

新たな負担がかかるため、130万円以内でおさえよう、とします。

130万円以内にするために、忙しい年末に仕事に入れなかったりと、

そういう弊害が実際には起こっています。


最近は年々最低賃金が上がっていますが、

130万円の壁はそのままですから、

働く時間が少なくなり、働き控えが起こるのです。

物価は上がっているのに、130万円までしか働けない(働かないことを選択)。

夫の扶養で働く妻にとっては、103万円は壁ではなく、130万円なんですよね。


また、最近では一定規模以上の会社で、106万円を超えて働くと、

社会保険に加入しなければならないということもあります。


106万円を超えて、勤める会社で社会保険に加入できれば、

将来の年金が増える、万が一の保障が増えるなどのメリットがあります。


しかし、一定規模以下の会社で、130万円を超えて働くと、

国民年金と国民健康保険の加入で支払が増えますが、

将来の年金が増えるわけではありません。


こうした理由で130万円の壁を超えると手元に残るお金が減るので、

130万円以内にして、扶養から外れないようにしよう、という方が多いのではないでしょうか。

税制改正によって、103万円の壁が178万円に変わったとしても、

この130万円の壁はそのままです。

ここに手を入れないことには、何の解決にもならないのでは・・・と思っています。


今時点での情報での推測なので、今後の議論次第でどうなるかわからないことではありますが、

・基礎控除を増やす のであれば、減税効果はある

・扶養控除のルール(扶養控除の所得上限を上げる)を変えられれば、学生はもっと収入を伸ばしやすいかも

・配偶者の扶養内で働く人が抱えている壁は、基礎控除の引き上げでは解決できないのではないか
→社会保険制度自体の見直しが必要ではないか?

と考えられます。


なので、178万円まで働けるようになるらしいよ、というのは誤解ですし、

何を具体的にどう変えていくのか、これからの議論をしっかり見ておくことが必要です。

基礎控除を引き上げるのか?

扶養控除の所得上限は引き上げるのか?

社会保険制度の改革はどうなるのか?

現実的に、今から12月発表の来年の税制改正案に盛り込むことは無理があるのではと思います。

どうなるかわかりませんが・・・。


12月半ば~下旬には、来年度の税制改正案が発表されますので、

皆さんと一緒に答え合わせをしていきたいと思います。


ということで、今話題になっている、103万円の壁について、解説いたしました。

もしわかりにくいところ、この場合はどうなるのなど、ご質問がありましたら、お気軽にメールくださいませ。

お読みいただき、ありがとうございました!


2.現在&これから公募の補助金


・IT導入補助金2024 (今年度分は終了しました)


・中小企業省力化投資補助金(随時受付)
https://shoryokuka.smrj.go.jp/
中小企業等のみなさまの売上拡大や生産性向上を後押しするため、
IoT・ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品の導入を支援いたします。
↓カタログの内容が増えています!↓
https://shoryokuka.smrj.go.jp/product_catalog/


・中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化などの大規模成長投資補助金 (第3次公募はいつ?)
https://seichotoushi-hojo.jp/
補助上限が50億円で、10億円以上の投資が対象となります。


・省エネルギー投資促進に向けた支援補助金
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/support/


・事業承継・引継ぎ補助金(次回公募 詳細未公開)
https://jsh.go.jp/r5h/
2019 年 9 月 17 日~2024 年 9 月 16日に事業承継をした
事業承継者の新しい取り組み支援(経営革新支援)や、
M&Aにかかる費用の支援(専門家活用型)があります!


・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
(第19次締切はまだこれから)
https://portal.monodukuri-hojo.jp/schedule.html


・小規模事業者持続化補助金(第17回公募まだ もうないかも?)
https://s23.jizokukahojokin.info/


・支援情報ヘッドライン | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
https://j-net21.smrj.go.jp/snavi/index.html
地域の公募情報も手に入ります。


・令和6年度業務改善助成金(令和6年12月27日まで)
事業場内で、最も低い賃金(事業場内最低賃金)を30円以上引き上げ、
生産性向上に資する設備投資等を行った場合に、その設備投資等にかかった費用の一部を
助成する制度です(最大600万円)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html


3.おすすめ書籍

「ネット世論」の社会学~データ分析が解き明かす「偏り」の正体
著:谷原つかささん
https://amzn.asia/d/cXdZfUs

(本の紹介より)
「民意」を作るのは、わずか0.2%のユーザだった!

ネット上で多数派に見える意見は、必ずしも実際の支持率や選挙結果とは相関しない。
SNS時代の「常識」にも思えるこの乖離は、なぜ、どのように生まれるのか?
思い込みや偏見を排した定量的なデータ分析に基づき、日本における「ネット世論」の構造や実態を明らかにする。
国政選挙・首長選挙から、旧ジャニーズ事務所性加害問題までを徹底解剖した快著!


★手に取ったきっかけ
先日の衆院選挙のある選挙区では、
ネットでは現職への批判意見が多く飛び交っていたのに、
結果は現職の候補者が圧倒的に票を獲得していたのを見て、
賛成意見よりも反対意見の方が、ネットでは拡散されやすいのでは?
あるいは
私にはそのように見えるアルゴリズムが働いているのでは?(情報が偏っているのでは?
という疑問を持っていたため

★おすすめポイント
・従来の世論とネット世論の違い
 従来の世論は、たとえば世論調査により集計された回答の総和
 ネット世論は、聞かれてもないのに意見を発信して拡散したもの
 →言いたい人だけがいった意見
 →能動的かつ非代表的

・ネット世論から実際の世論を読むのは難しい
 ネット世論では少数派の意見が大きく見えるようになっている
 Xなどのアルゴリズムでは、不支持派の人のタイムラインには、同じようなコメントが表示される

・ネット世論と向き合うために必要な考え方
 事実に基づいて考える
 絶えず「出典」を問う
 感情的な投稿の方が伸びやすいなどの偏りがあることを知って付き合う

SNS時代、私たち自身が、ネット世論の偏りを知り、
オンライン・オフラインをバランスよく活用しながら、情報を扱っていく必要がありますね。


4.セミナー情報&イベント情報

★大阪産業創造館様 主催セミナー★


・管理会計シリーズのセミナーが毎月開催!頑張ります!!

■10/23無事終了しました!
【セミナー】<管理会計シリーズ>
数字を経営に活かす「月次決算」―翌月10日の決算で経営判断の精度を上げる!―
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=45031

■11/19開催
【セミナー】<管理会計シリーズ>
数値計画を実現させる「予算管理」 目標を実現させるためのポイント
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=45045

■12月17日開催
【セミナー】<管理会計シリーズ>
数字を戦略的に活かす「変動損益計算書」―収益構造を図解して経営改善につなげよう!
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=45470

まだサンソウカンHPには反映されておりませんが、日程が決定しています。
1/21(火) 部門別会計
2/18(火) 投資意思決定会計

いずれも14時~16時30分 の予定です。


・産創館には、お役に立つセミナーがたくさん企画されています。
https://www.sansokan.jp/events/?ym=2024-07



5.活動日記 子どもたちと振り返り&目標づくり会をしています


各SNSにも書いたのですが、子どもたちを巻き込んで、1カ月ごとに振り返りと目標づくりをやってみています。

昨日は(1-3日まで出張だったので)10月初めに立てた目標と振り返り、11月の目標づくりをしました。

方法はかんたんで、ルーズリーフの両面を使って、

片面は、振り返りです。

・よかったこと、うまくいったこと

・うまくいかなかったこと

・学んだこと、次はこうしようと思うこと

を書いていきます。


もう片面は、11月はどんな月にしたいかを考えて、

何をどう頑張るかを、ジャンルごとに書いていきます。


今回は、書いたことをお互いに発表していき、

協力できること、協力してほしいことを伝えあいました。


恥ずかしそうにしていた下の子(小5)も、

自分のことをしゃべるのは楽しいようで、話をしてくれました。

ちょっと難しい年代の上の子(中2)は、

こんな場だからこそのアウトプットで、考えていることが分かったり、

協力してほしいことをちゃんと言えるようになったり、いい時間になってきました。


これを始めたのは、自分ひとりでの振り返りだと、サボりそうだったので(笑)

誰かとやったほうがいいだろうと思って始めたことですが、

子どもたちを巻き込んだことで、思わぬ収穫ができて嬉しい限りです。


そのうち、振り返りをするのは、1カ月に1回じゃ長いよね、

半月に1回、立ち位置の確認ができたらいいよね、とか

週に1回になったり、毎日見るようになったりするといいなと思いますが、

今は欲張らずに、コツコツとよい習慣として続けていきたいと思います。


こういうこと、職場やチームでもできるとよいのかもですね!

お互いの目標を応援し合えることができたら、

個人としても、チームとしても、実現にさらに一歩、近づけそうですよね!


いつも、そして、本日もお読みいただき、ありがとうございました。

今週も皆さんにとって、たくさんよきことがありますように!

いってらっしゃい!


  神佐 真由美


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