第345号★「パートだから」は、理由になりますか? ― 10月から変わる同一労働同一賃金/モチベーション3.0 ― 持続する「やる気!」をいかに引き出すか/「書は生き方そのもの」師匠の喜寿記念個展にて【税理士 神佐真由美】
税理士の神佐真由美です。
今日もご開封いただき、ありがとうございます。
本日のメルマガの内容です。
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1. 「パートだから」は、理由になりますか? ― 10月から変わる同一労働同一賃金
2.現在&これから公募の補助金
3.おすすめ書籍 モチベーション3.0 ― 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
4.セミナー&イベント情報
5.活動日記 「書は生き方そのもの」師匠の喜寿記念個展にて
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1.「パートだから」は、理由になりますか? ― 10月から変わる同一労働同一賃金
今日は、10月から動く「人まわり」の大事なお話を。
2026年10月1日から、
パートや契約社員(有期雇用)の方に関わる「同一労働同一賃金」のルールが、一部改正されます。
「同じ仕事なら、正社員もパートも同じ給料にしないといけないんでしょう?」
そんなイメージを持たれることがありますが、必ずしもそうではありません。
まったく新しい制度が始まるわけでもなく、2021年に中小企業も対象になったルールが、5年を経て、
初めて大きく見直される、というものです。
今回のポイントを一言でいえば、こうです。
「正社員とパート・有期社員の待遇が違うなら、その違いを、きちんと説明できますか?」
正社員のAさんとパートのBさんがいるとします。
二人とも経理担当で、日々の仕事内容はよく似ている。
ところが待遇を見ると、Aさんには賞与も家族手当も夏季休暇もあるのに、Bさんにはない。
さて、これは問題ないでしょうか。
「Aさんは正社員で、Bさんはパートだから」
じつは、これだけでは理由として十分とは限りません。
同一労働同一賃金では、雇用形態が違うというだけでなく、
仕事の内容、責任の程度、配置変更(異動・転勤)の範囲などの違いを踏まえて、
待遇差が“不合理ではないか"を考えます。
今回の改正では、これまでの裁判例を踏まえ、その考え方がさらに具体的に示されました。
いくつか身近な手当で見てみましょう。
大切なのは金額をそろえることではなく、「その手当は何のために払っているのか」という“目的"です。
・家族手当
今回のガイドラインでは、契約更新を重ねるなど、相応に継続して働くことが見込まれるパート・有期の方には、
正社員と同じ家族手当を、という考え方が示されました。
「パートだから対象外」ではなく、手当の目的に立ち返る必要があります。
・住宅手当
これは直ちに「パートにも払え」という話ではありません。
たとえば「転勤に伴う住居費の補助」が目的で、正社員には全国転勤があり、パートには転居を伴う異動がない。
そうした違いがあれば、差に合理性が認められる可能性があります。
・夏季/冬季休暇
ガイドラインでは、原則としてパート・有期の方にも正社員と同じ休暇を、という考え方が示されています。
・賞与
これも「必ず同額」ではありません。
カギは目的です。
業績への貢献に応じて払っているなら、パートに貢献がある場合はその度合いに応じた支給を検討する必要があります。
一方、職務や責任に明確な違いがあり、それに応じて差を設けること自体が禁じられているわけではありません。
「正社員だからあり、パートだからゼロ」としか説明できない会社は、賞与の目的を整理し直すサインです。
今回の改正は、この“説明"に一歩踏み込みます。
2026年10月から、パート・有期の方を雇い入れるときや契約を更新するときに、
「正社員との待遇差について説明を求めることができる」旨を明示する必要が出てきます。
まずは労働条件通知書の見直しが必要かもしれません。
実際に説明する際の方法(資料を使った口頭説明や、分かりやすい資料の交付など)も示されています。
なお、この明示義務を守らないと、10万円以下の過料の対象になります。
ただ、本当に怖いのは過料よりも、「説明できないまま“不合理な待遇差"と判断されてしまう」ことです。
労働契約をどうすべきかなど、専門は社労士さんになるので、税理士の私からは、
そこから言える課題について触れておきたいと思います。
組織そのものを見直すことが必要になるかもしれませn。
「正社員と非正規で、仕事の内容・責任・異動の範囲が、実際どう違うのか」を言葉にして整理する。
ここが曖昧だと、待遇差の理由も説明できません。
裏を返せば、これは「この手当、そもそも何のため?」と制度を整え、パートさんの力をもっと活かす好機にもなります。
そして、人件費への影響です。
この改正で自動的に給料が上がるわけではありません。
ただ、これまで正社員だけに出していた手当を非正規の方にも広げるとなれば、当然コストは増え、
しかも会社負担の社会保険料もついてきます。
「どの手当を広げたら、年間いくら増えるのか」を今のうちに試算し、資金計画に入れておく必要があります。
現場でぶつかりやすい、三つの場面を想定してみました。
1つ目は、「もっと働きたい、正社員になりたい」というパートさん。
今回の改正は「正社員にしなさい」という制度ではありませんが、
会社にはもともと、正社員へ移る“機会"を用意する義務があります。
ただし「機会を用意する」義務であって、「望まれたら必ず正社員にする」義務ではありません。
慌てて即決せず、転換の基準やルートを整えておきましょう。
2つ目は、「改正されたんですよね?」と待遇改善を迫られるケース。
会社には説明する義務がありますが、「求められた=上げなければならない」ではありません。
差を仕事や責任の違いで合理的に説明できるなら、応じる必要はない、ということです。
3つ目は、「正社員同士の差」も気になる、というケース。
法律上はこの制度の対象外です。
正社員が「隣の人と差がある」と言っても、この法律は適用されません。
ただ、待遇の棚卸しをきっかけに社内で“公平って何?"という意識が高まり、正社員の間からも不満が出やすくなる。
法律の話とは別に、組織の納得感の話として、頭の片隅に置いておきたいところです。
おすすめしたいのは、正社員とパート・有期の方の待遇を、横に並べてみることです。
基本給だけではありません。
賞与、退職金、家族手当、住宅手当、通勤手当、役職手当、慶弔休暇、夏季・冬季休暇、福利厚生……。
一つずつ「正社員にはあるけれど、パートにはないものは何だろう?」と確認し、
差が見つかったら「なぜ違うのか?」を考えてみる。
「昔からそうだから」「正社員だから」しか理由が出てこないものがあれば、説明できるようにしておく必要があるということです。
今回の改正は、「パートの待遇を正社員と同じにしましょう」ではなく、
「うちの手当や賃金には、それぞれどんな意味があるのか」を、
あらためて整理する機会と捉えていただくのが望ましいと思います。
来週は9月から国税庁で導入される、新たな基幹システムの導入とその影響についてお届けする予定です!
税務署もAIを活用して、調査先を検討するようになるようです。
2.現在&これから公募の補助金や融資制度
・令和8年熊本地震に伴う災害に関して被災中小企業・小規模事業者支援措置
https://www.meti.go.jp/press/20260729003.html
1日も早い復旧を祈っています。
熊本・九州以外の金融機関でも、熊本地震関連での相談窓口や融資制度を設けていることがあります。
・業務改善助成金|厚生労働省(9月1日から申請受付開始)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html
・・【大阪府限定】中小企業の賃上げ促進支援について
賃上げのための財源をつくるための取組を支援する補助金が複数あります。
https://www.pref.osaka.lg.jp/o110050/keieishien/chinagepackage.html
・https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m.html
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m.html
社会的、経済的環境の変化などにより、一時的に業況の悪化を来している事業者が経営基盤の強化を図るために活用する資金の融資制度です。
中東情勢、全東信破産手続き開始、熊本地震などの相談窓口もあります。
・中小企業新事業進出補助金 (次は第5次公募)
既存の事業とは異なる、新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資等を支援
https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/
・デジタル化・AI導入補助金2026(第5次9月29日締切)
https://it-shien.smrj.go.jp/
・中小企業省力化投資補助金(一般型は第8次公募10月中旬締切)
https://shoryokuka.smrj.go.jp/
中小企業等のみなさまの売上拡大や生産性向上を後押しするため、
IoT・ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品の導入を支援いたします。
カタログ型と一般型があります。
カタログ型は締切がなく、随時申請です。
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(第24次公募未定)
https://portal.monodukuri-hojo.jp/index.html
・小規模事業者持続化補助金(11月15日締切)
一般型
https://r6.jizokukahojokin.info/
創業型
https://r6.jizokukahojokin.info/sogyo/
・支援情報ヘッドライン | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
https://j-net21.smrj.go.jp/snavi/index.html
地域の公募情報も手に入ります。
3.おすすめ書籍
モチベーション3.0 ― 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
著:ダニエル・ピンクさん 訳:大前研一さん
https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000208023
(本の紹介より)
〈モチベーション3・0〉とは何か?
コンピューター同様、社会にも人を動かすための基本ソフト(OS)がある。
〈モチベーション1・0〉…生存(サバイバル)を目的としていた人類最初のOS 。
〈モチベーション2・0〉…アメとムチ=信賞必罰に基づく与えられた動機づけによるOS。
ルーチンワーク中心の時代には有効だったが、21世紀を迎えて機能不全に陥る。
〈モチベーション3・0〉…自分の内面から湧き出る「やる気!=ドライブ!」に基づくOS。
活気ある社会や組織をつくるための新しい「やる気!」の基本形。
★おすすめポイント
著者は、人の動機づけには段階がある、と言います。
生きるための「1.0」、アメとムチ(報酬と罰)で動かす「2.0」、そして、自分の内側からわいてくる意欲で動く「3.0」。
おもしろいのは、こんな指摘です。
単純な作業ならアメとムチも効くけれど、考える仕事・創造的な仕事では、むしろ報酬をぶら下げるほど成果が下がることさえある、というのです。
人を本当に動かすのは、お金だけではない。
カギになるのは、自分で決められること(自律)、上達していく手ごたえ(熟達)、そして「何のためにやるのか」という目的。
手当や賞与を「いくら払うか」だけで考えるのではなく、「それが何のためにあって、働く人がどれだけ納得できるのか」。
同一労働同一賃金が問いかけているのも、突きつめれば、そこなのかもしれません。
待遇を“お金の多い少ない"としてだけでなく、“人の意欲"という視点から見つめ直したくなる、そんな一冊です。
4.セミナー情報&イベント情報
★大阪産業創造館様 主催セミナー★
◆8月24日14:00~16:30
【ものづくり企業の収益力改善プログラム】
製造業の財務分析入門 コストダウンの「種」を見つける!製造原価報告書の読み解き方 https://ebis.obda.or.jp/service/504795/detail
◆10月6日(火) 14:00 - 16:30
【セミナー】 <管理会計シリーズ>
数字を経営に活かす「月次決算」―翌月10日の決算で経営判断の精度を上げる!― https://ebis.obda.or.jp/service/505595/detail
◆10月22日(木) 14:00 - 16:30
【セミナー】 <管理会計シリーズ>
数値計画を実現させる「予算管理」 目標を実現させるためのポイント
https://ebis.obda.or.jp/service/505604/detail
11月以降も順次開催予定です!
・産創館には、お役に立つセミナーがたくさん企画されています。
https://www.sansokan.jp/events/
5.「書は生き方そのもの」師匠の喜寿記念個展にて
この週末のことを書きたいと思います。
書道の師匠である福田房仙先生の喜寿記念個展に、静岡県三島まで行ってまいりました。
ギャラリーを借り切っての個展、書道展とは思えないほど、語らいが多く、和やかな場でした。
先生は8歳のときに心臓弁膜症にかかり、20歳までは生きられないという診断を受けておられました。
出会った書道に打ち込まれ、病を克服され、喜寿を迎えられました。
展示された作品は、どれも見入ってしまうものばかり。
作品そのものと、添えられた釈文を読込みながら、作品1つひとつと語り合い、時間がどれだけあっても足りません。
1つひとつの書のなかに、先生の生き方がまるごと宿っていると感じました。
先生の生き方に共鳴した方々が、各方面から本当にたくさん集まっておられました。
喜寿をお祝いするパーティでは、関わってこられた方々が、先生とのエピソードを披露してくださいました。
書道の先生という枠を超えた、人と人との縁を何より大切にされるお話ばかり。
縁を大事にするとは、実際にどんな行動で示すことなのか、人としての生き方を、深く考えさせられました。
先生は、なかなかできないことを、さらりとされる方です。
困っている人がいれば、考えるより先に手が動く。
人が慕い、集まってこられるのは、きっとこういう普段の姿にあるのでしょう。
書を作品にするというのは、何を書くかも大事ですが、誰が書くか、なぜ書くのか、
それがすべて表現されて、作品になる、まさに、書は生き方がにじみ出るものです。
胸に迫る作品を書くには、それにふさわしい生き方が備わらないとできないことなのだと思います。
仕事でもそうなのかもしれない、と思いました。
何を言うか、も大事かもしれませんが、誰が言うか、がこのAI時代では、より重要です。
誰がというのは、その人がどんなことをしてきたのか、どんな思いを持ってやってきているのか。
そこが備わらない限りは、人に伝わり、人を動かすことはできないのかもしれません。
私は、誰が言うか、の「誰」になれているのだろうか。
このような自らを振り返る機会をいただきました。
「ふさわしい自分」であることを追求していきたいと思います。
いつも、そして本日もお読みいただき、ありがとうございました。
今週も、皆さんにとって、たくさんよきことがありますように!
いってらっしゃい!
神佐 真由美
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