第347号★国の予算の概算要求から見えてきた!2027年、中小企業の3つのチャンスと3つの課題/あの若手はどうして辞めないのか 変わる社会と変わらない若者の本音/20年ぶりに新卒入社の会社:TKC栃木本社に行ってきました【税理士 神佐真由美】
税理士の神佐真由美です。
今日もご開封いただき、ありがとうございます。
本日のメルマガの内容です。
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1.国の予算の概算要求から見えてきた!2027年、中小企業の3つのチャンスと3つの課題
2.現在&これから公募の補助金
3.おすすめ書籍 あの若手はどうして辞めないのか 変わる社会と変わらない若者の本音
4.セミナー&イベント情報
5.活動日記 20年ぶりに新卒入社の会社:TKC栃木本社に行ってきました
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1.国の予算の概算要求から見えてきた!2027年、中小企業の3つのチャンスと3つの課題
職業柄でしょうか、8月が終われば、そろそろ概算要求のとりまとめの時期だな~と、
そんなことで季節を感じています。
先日、各省庁から2027年度(令和9年度)の「概算要求」が公表されました。
概算要求とは、各省庁が「来年度は、この政策にこれくらいの予算が必要です」と財務省に提出する、
いわば国の予算案の“たたき台"です。
今回の概算要求額は、各省庁合わせて143兆円という史上最大級の規模です。
もちろん、これから査定が行われるため、要求された金額や制度がそのまま実現するわけではありません。
しかし、概算要求を見ると、
「国がこれから何を重要な課題と考え、どの方向に企業を後押ししようとしているのか」が見えてきます。
税制の方向性や、補助金などの後押し施策も分かってきます。
今回は、この概算要求から見えてきた「中小企業の3つのチャンスと3つの課題」を考えてみたいと思います。
【チャンス1】AI・デジタル・省力化への投資
まず注目したいのが、AIやデジタルを活用した省力化です。
令和9年度の概算要求では、これまでの省力化投資やデジタル・AI導入支援を、
「省力化・デジタル化・AI投資」という形で一体的に支援していく方向が示されています。
中小企業基盤整備機構の運営費交付金として6,980億円が要求され、
その中には、省力化・デジタル化・AI投資のほか、小規模事業者の販路開拓、成長投資、
M&A・事業承継などへの支援が位置づけられています。
省力化補助金、AIデジタル化補助金などの補助金は、続行ということでしょうね。
人が採れないから事業を縮小するのではなく、
「今いる人数で、もっと大きな付加価値を生み出せないか」
を考える企業にとっては、大きなチャンスです。
AIについても、「使うか、使わないか」ではなく、どの仕事をAIやデジタルに任せ、
人は何に時間を使うのかを考える段階に入ってきています。
【チャンス2】新しい事業・成長への投資
もう一つ特徴的なのが、企業の「成長」への支援です。
概算要求では、新事業への進出やものづくり・サービス開発、大胆な設備投資など、
「今の事業を守る」だけではなく、「次の成長をつくる」ための支援が打ち出されています。
主要な補助金では、
売上高10億円を目指す「成長志向」の宣言が原則として要件化される方向です。
補助金活用に自社の成長計画の明確化が求められる場面が増えそうです。
ここから読み取れるのは、
「現状を維持するための支援」から、「変革や成長に挑戦する企業への支援」へ
という流れです。
新商品、新サービス、新しい販路、新しい設備。
これまで「いつかやろう」と考えていたことを具体的な投資計画に変えていく企業にとって、
2027年は一つの機会になりそうです。
【チャンス3】事業承継・M&Aを「成長」に変える
後継者不足も、中小企業にとって避けて通れない問題です。
令和9年度概算要求でも、M&A・事業承継に伴う設備投資や、
M&A後の経営統合(PMI)などを支援する方向が示されています。
事業承継というと、
「会社をどう残すか」
という話になりがちですが、これからは、
「誰に引き継ぎ、その会社を次にどう成長させるのか」
という視点も重要になります。
後継者がいないから廃業する、ではなく、第三者承継やM&Aも含めて会社の未来を考える。
これも一つの大きな選択肢になってきています。
ここまでが3つのチャンスです。
一方、概算要求からは、中小企業がこれから向き合わなければならない「3つの課題」も見えてきます。
【課題1】人手不足の中でも「賃上げできる会社」になる
政府の政策を見ていると、「賃上げ」は一時的なテーマではありません。
厚生労働省の令和9年度概算要求でも、「賃上げ環境整備・労働市場改革等」が主要な政策課題として掲げられています。
人手不足、採用難が続くなか、
「利益が出たら給料を上げよう」
だけでは、人材の確保が難しく、これからは、
賃上げする
→ そのために付加価値・生産性を上げる
→ そのために仕事のやり方や設備を変える
という逆算も必要になってきます。
賃上げは単なる「コストアップ」ではなく、経営戦略そのものになりつつあります。
【課題2】値上げ・価格転嫁から逃げない
原材料、エネルギー、人件費など、多くのコストが上昇しています。
政府も価格転嫁・取引適正化を重要政策と位置づけており、
公正取引委員会は令和9年度概算要求で、「取引適正化による公正な取引環境の確保」に
約21.9億円を要求しています。
令和8年度当初予算の約9.9億円から大きく増える要求となっています。
これは裏を返せば、
「コストが上がっているのに、価格を変えない経営には限界がある」
ということでもあります。
自社の商品・サービスはいくらで売るべきなのか。
原価はいくら上がっているのか。
社員の給料を上げ、将来の投資もしながら利益を残すには、どれだけの粗利益が必要なのか。
これからは、数字を見ながら価格を決める力がますます重要になります。
【課題3】「何に投資するか」を自分で決める
そして、実はこれが一番大きな課題かもしれません。
補助金や支援制度が充実しても、
「あなたの会社は、この設備を買いなさい」
「この事業を始めなさい」
と国が決めてくれるわけではありません。
AIなのか。設備なのか。
人材なのか。新事業なのか。
事業承継なのか。
今回の概算要求から見えてくるキーワードは、成長、生産性向上、賃上げ、そして変革です。
だからこそ、補助金を探す前に、
「3年後、5年後、自社をどんな会社にしたいのか」
を考えておく必要があります。
制度ができてから考えるのではなく、やりたいことが先にあり、その実現に使える制度があれば活用する。
そんな順番が大切です。
そして、もう一つ意識しておきたい「金利」
2027年の経営を考えるうえで、もう一つ忘れてはいけない環境変化があります。
それが金利です。
日本銀行は2025年1月に政策金利を0.5%程度へ引き上げ、その後2025年12月には0.75%程度、
さらに2026年7月31日には1.0%程度へ引き上げました。
実際に企業の借入金利も上昇しています。
9月17〜18日の次回会合でさらに1.25%への追加利上げが行われる確率が高いと見られています。
国内銀行の新規貸出の平均金利(総合)は、2025年7月の1.280%から、
2026年7月には1.706%となっています。
長い間、日本では「金利はほとんど上がらない」という環境が続いていました。
しかし、これからは「金利のある世界」も経営の前提として考えておく必要があります。
例えば、借入金が1億円ある会社では、平均金利が1%上昇すると、単純計算で年間100万円の支払利息が増えます。
設備投資をするのか。
借入金をどこまで増やすのか。
固定金利と変動金利をどう考えるのか。
手元資金をどの程度持っておくのか。
投資によって得られる利益は、金利負担を上回るのか。
これまで以上に、資金調達と投資の採算性をセットで考える経営が重要になってきます。
変化が落ち着くのを待っても意味がない、ということになります。
今回ご紹介したものは、まだ「概算要求」の段階です。
実際の予算額や補助制度の内容は、今後の予算編成によって変更される可能性があります。
それでも、国がお金を使おうとしている方向を見ると、これから企業が直面する経営環境はかなり見えてきます。
人手不足。人件費の上昇。
物価高。AI・デジタル化。
後継者不足。そして金利。
おそらく、これらがすべて以前の状態に戻ることを期待して経営するのは難しいでしょう。
だからこそ、
「変化が落ち着いてから考える」のではなく、
「変わることを前提に、自社をどう変えていくかを考える」。
2027年に向けて、ぜひ一度、
「この先3年、5年で、自社はどこに投資し、どんな会社になっていきたいのか」
を考えてみてはいかがでしょうか。
【ご参考:令和9年度(2027年度)概算要求 中小企業経営者向けリンク集】
■ 中小企業庁
URL:https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r9/gaisan_point.pdf
ポイント:補助金、省力化・DX、賃上げ、価格転嫁、事業承継・M&A、資金繰りなど、中小企業政策を知るならまずここ。
■ 経済産業省
URL:https://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2027/index.html
ポイント:中小企業支援に加え、AI・ロボット、DX、GX、設備投資、スタートアップなど、今後の成長分野への国の投資方針が分かる。
■ 厚生労働省
URL:https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/27syokan/index.html
ポイント:賃上げ、人手不足、人材確保、リスキリング、働き方改革など、「人」に関する経営課題を考える際に重要。
■ 国土交通省
URL:https://www.mlit.go.jp/page/kanbo05_hy_003925.html
ポイント:建設、住宅、不動産、物流、運送、地域交通などの事業者に関係する施策を幅広く確認できる。
■ 観光庁
URL:https://www.mlit.go.jp/kankocho/yosan_zeisei/yosan/index.html
ポイント:宿泊、飲食、観光施設、インバウンド、観光DXなど、観光関連事業者の今後の支援策をチェックできる。
■ 農林水産省
URL:https://www.maff.go.jp/j/budget/r9yokyu.html
ポイント:農業だけでなく、食品製造、食品流通、外食、輸出、フードテックなど「食」に関わる中小企業にも要注目。
■ 環境省
URL:https://www.env.go.jp/guide/budget/
ポイント:省エネ設備、脱炭素、GX、再生可能エネルギーなど、今後の設備投資やコスト削減につながる施策を確認できる。
■ 総務省
URL:https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kanbo04_02000270.html
ポイント:地域DX、通信・デジタルインフラ、地方活性化など、地域企業を取り巻く環境変化を見るのに役立つ。
■ デジタル庁
URL:https://www.digital.go.jp/budget
ポイント:行政DX、デジタル化、データ連携など、今後の企業と行政との手続きやデジタル環境の変化が分かる。
■ 内閣府
URL:https://www.cao.go.jp/yosan/yosan.html
ポイント:地方創生、スタートアップ、防災、科学技術など、省庁をまたぐ政府の重点政策を確認するのに便利。
■ 財務省
URL:https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2027/index.html
ポイント:各省庁の概算要求を横断して確認できる「全体の入口」。国がどの分野に重点的に予算を配分しようとしているかが分かる。
長くなってすみません!ご参考になりましたら嬉しいです!
2.現在&これから公募の補助金や融資制度
・令和8年熊本地震に伴う災害に関して被災中小企業・小規模事業者支援措置
https://www.meti.go.jp/press/20260729003.html
1日も早い復旧を祈っています。
熊本・九州以外の金融機関でも、熊本地震関連での相談窓口や融資制度を設けていることがあります。
・業務改善助成金|厚生労働省(9月1日から申請受付開始)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html
・・【大阪府限定】中小企業の賃上げ促進支援について
賃上げのための財源をつくるための取組を支援する補助金が複数あります。
https://www.pref.osaka.lg.jp/o110050/keieishien/chinagepackage.html
・https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m.html
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/07_keieisien_m.html
社会的、経済的環境の変化などにより、一時的に業況の悪化を来している事業者が経営基盤の強化を図るために活用する資金の融資制度です。
中東情勢、全東信破産手続き開始、熊本地震などの相談窓口もあります。
・中小企業新事業進出補助金 (次は第5次公募)
既存の事業とは異なる、新市場・高付加価値事業への進出にかかる設備投資等を支援
https://shinjigyou-shinshutsu.smrj.go.jp/
・デジタル化・AI導入補助金2026(第5次9月29日締切)
https://it-shien.smrj.go.jp/
・中小企業省力化投資補助金(一般型は第8次公募10月中旬締切)
https://shoryokuka.smrj.go.jp/
中小企業等のみなさまの売上拡大や生産性向上を後押しするため、
IoT・ロボット等の人手不足解消に効果がある汎用製品の導入を支援いたします。
カタログ型と一般型があります。
カタログ型は締切がなく、随時申請です。
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(第24次公募未定)
https://portal.monodukuri-hojo.jp/index.html
・小規模事業者持続化補助金(11月15日締切)
一般型
https://r6.jizokukahojokin.info/
創業型
https://r6.jizokukahojokin.info/sogyo/
・支援情報ヘッドライン | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
https://j-net21.smrj.go.jp/snavi/index.html
地域の公募情報も手に入ります。
3.おすすめ書籍
あの若手はどうして辞めないのか 変わる社会と変わらない若者の本音
著:古谷星斗さん
https://publications.asahi.com/product/26085.html
(本の紹介より)
若手が「会社に残ること」を選ぶ理由は何か?
安定や待遇、職場の人間関係、成長機会、あるいは、社会的な使命感、やりがいか──。
中途採用が増加し、転職が「合理的な選択肢」になりつつある中、
「退職していないがやる気はない」若手の存在が課題となっている。
どうすれば、目に見える「早期離職」と、
目に見えない「静かな退職」を防ぎ、積極的な若手を増やせるのか。
12の「辞めない理由」を手掛かりに、緻密なデータ分析と現地調査をもとにした解決策を提示する。
★おすすめポイント
「静かな退職」に慌てるのではなく、
「辞めない理由」に目を向けていくというアプローチに目からうろこでした。
単なる分析にとどまらず、「静かな退職」といった現象を踏まえた若手育成の解決策を提示している実践的な一冊。
若手の離職防止に悩む人事・経営者におすすめです。
自分自身がなぜこの会社で働き続けているのかを言語化したい若手・中堅社員にも、有意義だと思います
4.セミナー情報&イベント情報
★大阪産業創造館様 主催セミナー★
◆10月6日(火) 14:00 - 16:30
【セミナー】 <管理会計シリーズ>
数字を経営に活かす「月次決算」―翌月10日の決算で経営判断の精度を上げる!― https://ebis.obda.or.jp/service/505595/detail
◆10月22日(木) 14:00 - 16:30
【セミナー】 <管理会計シリーズ>
数値計画を実現させる「予算管理」 目標を実現させるためのポイント https://ebis.obda.or.jp/service/505604/detail
◆11月26日(木) 14:00 - 16:30
【セミナー】 <管理会計シリーズ>
数字を戦略的に活かす「変動損益計算書」 ―収益構造を図解して経営改善につなげよう! https://ebis.obda.or.jp/service/506302/detail
◆12月17日(木) 14:00 - 16:30
【セミナー】 <管理会計シリーズ>
課題を明確にする「部門別会計」 採算性を見極めて高収益に繋げよう!
https://ebis.obda.or.jp/service/506304/detail
1~3月もあります!
・産創館には、お役に立つセミナーがたくさん企画されています。
https://www.sansokan.jp/events/
5.20年ぶりに新卒入社の会社:TKC栃木本社に行ってきました
先日、株式会社TKCの栃木本社に行ってまいりました。
訪問した理由は、システム開発研究所の開発メンバーの皆さまに、
ユーザーとして、業務の中でシステムをどのように活用しているか、というお話をさせていただくためです。
普段、開発に携わっている社員さんたちは、ユーザーである税理士事務所や、企業の方と接する機会が少ないので、
毎年、このような研修をしているとのことでした。
今年は、TKCのOBの税理士に来てもらおうということで、お招きいただきました。
2003年に新卒で入社した会社です。
新人研修も、最初の1カ月は宇都宮にある本社で行われ、
その後も研修があるたびに、宇都宮まで行っていたものです。
2006年にTKCを退職しているので、もう・・・20年!?
20年ぶりに、栃木本社にお邪魔することになりました。時の流れにびっくりです。
研修会では、システムのユーザーとして、日ごろの業務と、システムの活用について、お話できました。
シス研の皆さんからは、たくさん質問の手が上がり、活発な意見交換ができました。
「もっとこうだったら、経営判断がしやすいとか、そういうところはありますか?」
「業務のここは、システムで支援したら、もっと生産性が上がりますか?」
「ただ目先の利便性を上げるだけではなくて、ユーザーである中小企業の経営者や税理士事務所の未来を
切り拓くようなシステム開発で期待を上回りたい」
というようなお声もあって、
ここまで、やりがいとプライドと、責任感を持って開発をしてくれているんだ、と心強く思いました。
これからの具体的な構想やリリース予定などもお話を聞けました。これから楽しみです。
TKCの経営理念は、「顧客への貢献」です。
「お客様の事業の成功条件を探求し、これを強化するシステムを開発し、その導入支援に全力を尽くします」
これが、普段接するシステムコンサルタントの担当者だけでなく、開発の皆さんにも浸透しているんですね。
経営理念があることだけでなく、それが行動に表れるようになるまで浸透することは本当に大事なことだと思いました。
お話をしに行ったのに、私が本当に勉強に、そして刺激になった、栃木本社訪問でした。
いつも、そして本日もお読みいただき、ありがとうございました。
今週も、皆さんにとって、たくさんよきことがありますように!
いってらっしゃい!
神佐 真由美
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