【自分が選ばれずにがっかりした時】お手紙ココロの学校 vol.107
僕は先週は「宣長」の共読会でした。
ちょうどこのところ宣長の
「源氏物語論」について書かれています。
彼は「もののあはれ」をとても大切にした。
そして、和歌の中で一つの形容詞として
使われていた言葉を
和歌の何に価値があるのかという
和歌論の基軸に「もののあはれ」を据えた。
それで、この「情意」というのは
ただの「欲」とは違うのだ、
叶わない・欲しいけれど手に入らない所で
そこに生まれる何かの感覚なんだ、とか
人は悩むとき、ああでもないこうでもないと
ぐるぐる考えてあっちにいったり
こっちにいったりする、
和歌はそれを素晴らしく切り取るけれど
「源氏物語」はそのひだを細やかに書いていて
和歌が出来上がるために
必要なことが分かるから素晴らしいのだとか
心の動きと表現論を
かなり精緻に考えたのだなと感動しました。
面白いなと思ったのが
文学の形式に深浅はあるかも知れないが、
(時代を遡るほど漢文は地位が高いしね)
情の動きに深浅はない、と言っているところ。
心理学の療法でも、
アプローチの深浅が議論されたことがあって
心の内省が大きなものは深い気づきがあるが
行動療法などの対症療法的な物は浅い、と
論じられたことがあります。
でも、今の悩みにアプローチできるなら
深い浅いは関係ないし、
クライエントの語る言葉の深さも
こっちが勝手に測るのは傲慢すぎる。
せいぜい話す量が多いか少ないかくらいでしか
言えないのではないかと考えられています。
そう考えても、宣長、先見的だなぁ。
今に残る人って本当に自分の頭で
よく考えている。
昔の人がそうってわけじゃないのです。
学者の家系で、習った事を覚えるだけだったり
以前の理論を鵜呑みにしたりということは
当時からあったから。
共読している人も感動していたのですが、
もう一人別のメンバーが
以前田辺聖子訳の源氏物語が
図書館でピックアップされていて
何気なく読んで衝撃を受けたことがある、と。
すごいドロドロした心の実際を
よくここまで表現できるものだと思ったそうで、
これは僕も読まねばなと思いました。
何気に源氏は仏教思想の影響も大きいので
その辺の書かれ方にも興味あるし。
さてさて、話が長くなりましたが本題です。
このところ立て続いて何人か、
表題のような「自分が選ばれなかった」ことが
何か思った以上に自分に衝撃を与えて
立ち直るのに時間がかかったという話を
聴くことがありました。
それはあるステージだったり、
職場でだったりしたけれど
立ち直るのに時間がかかる時、
何がそんなに衝撃なのかと考えてみると
いいかも知れません。
そのことが「自分が大切にしていること」と
関係している場合と、
一見「自分が大切にしていること」と
それほど関係がないときがあります。
前者の場合は衝撃を受けても
ある意味当然と言えます。
でもそうですね、
最近面白いと思ったのが
「あの夏の正解」(早見和真著)という
ノンフィクションです。
コロナで甲子園が無くなった球児たちを
追っていて、
甲子園が無いなんてあり得ない、意味がない
と言っていた球児たちも
代替試合が終わった時に涙を流した話が
載せられています。
それで、
甲子園がなかったからこそ楽しかったと
言った子もいたし、
甲子園がなかったから
それでも楽しかったのだということに
気づけたと言った子もいたのでした。
例え表彰台に上がれなくても
それを自分がやっていることの意味、
そういうものはあるはずだと思います。
もう一つ後者の
「自分が大切にしていること」と
それほど関係ないのにショックが大きい場合、
自分側の要因が考えられます。
小さい時から失敗したことが無かった人が
始めて何か受け入れられない経験をしたとか
失敗してはいけないと思い詰めてきた人
ある形の失敗に何かトラウマがあるような人は
それに触れることがあります。
もう一つは、
特に中年以降が多いと思いますが
自分の人生、積み重ねてきたもの自体に
ちょっと自分でこれで良かったのかと
自信がなくなっていたり
斜陽を感じたりしていると、
別の所で少し言われたことでも
自分自体がグラついてしまうことがあります。
その場合は自分の大切なものを
見つめ直す必要があるし、
大切なものをなくしていないはずだということに
気づき直すことが大切です。
○○さんは
最近がっかりしたことありましたか?
もしあれば、参考にしてみて下さいね。
それでは今日も最後まで
ありがとうございました^^
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