このメールマガジンは、日頃書籍販売の現場でご尽力されている全国の書店員様同士のコミュニケーションの一役となれば、という編集者・箕輪厚介の想いから実現いたしました。 具体的な内容といたしましては、箕輪厚介による本の売り方についてのコラムや新刊インタビュー、書店員さんや編集者さんへのインタビューなどを掲載する予定で、月1回・無料での配信予定です。

箕輪書店だより

書店員向けメールマガジン【箕輪書店だより】2019年11月号 特別配信 3/3

2019年11月13日

【箕輪書店だより 11月号 特別配信】


毎月月末にお届けしている箕輪書店だよりですが、今回は、特別配信ということで、田中泰延さんのインタビューを3回に分けてお届けします。


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著者インタビュー
人のことなんて何もわからない。だから自分が『読みたいことを、書けばいい。』
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コピーライター、プランナーとして勤めた電通を退職し、“青年失業家”と名乗りWEBメディアを中心に執筆活動を続けてきた田中泰延さん。今年6月に上梓した『読みたいことを、書けばいい。』は、Amazonランキング「本」総合1位を獲得し、16万部を突破しました。そんな泰延さんに新刊の取材をさせていただくことになりました。



<1本のコラムを書くのにかける時間は?>

──泰延さんが書くコラムは、基本的に長文で全部面白いんですけど、これ1つを書き上げるのにどれくらい時間がかかりますか?

田中:それがやばいねん(笑)。
エンタメ新党を二十何本やってるけど、丸2年かかってるということは1本1か月かかってるんだよね。

──いやでも、それだけ調べたらかかりますよね。

田中:調べに行くもん。それで専門家が見るから、嘘を書いたり調べが足らんことには絶対つっこみがくるから、それは恥ずかしい。僕もエンタメ新党二十何回の間に、本当にその道の専門家からつっこみがきたところはすぐに直してますよ。

──そうなんですか。

田中:うん、それは。Twitterで指摘された場合はTwitterでお礼言います。例えば、『シン・ゴジラ』のコラムを書くときに、天皇の話、つまり日本神話の中から、天羽斬剣とかね、それからヤシオリ作戦とか、全部古事記、日本書紀に出てくるものだから、それについて調べたつもりのことを書いたんだけど、ちょっと誤りがあった。だからすぐ指摘が来たから、その人にはTwitterで、「すいません。ありがとうございました。直しときます」っていって、本文もごっそり変えました。

──そのレベルから調べてたら、時間がかかりますよね。普通の人がそれをやろうと思うと、儲からないですよね。

田中:そう。だから、逆なの。僕は会社員をしながら原稿書いたし、それも実質原稿料なし。あ、でもゼロじゃないよ。いつも言うんだけど……金額でやらしいけど、原稿料は出ます。ただ映画を2回見て、パンフレット買って、サントラ買って、キネジュン(キネマ旬報)買って、「映画秘宝」買ったら終わり。足してください、その金額です。それを1ヶ月やる。でも、電通社員やから。

以前、糸井重里さんに「田中さん、どうするの?会社辞めて」って言われたときに、「いやぁ、書くことで食おうと思ってるんすけどね」って言ったときに、「田中さん、田中さんは会社辞めたんだったら、コンビニエンスストアかガソリンスタンドで働きながら、書いた方がいい」って、はっきり言われた。つまり、書いて食おうと思ってるんですよっていうのが、もはや根拠不明のサクセスストーリーなんですよ。

だから、ライターになりたいって思う人も、皆それなんですよ。書いて食おうってまだ書けてないのに、どうやってそれ値段をつけて売るんだ、っていう。だから僕は最初の2年間、1円にもなってないですよ、書いても。会社辞めてから。だから結局「書いて」って言われてから4年くらいは100円にもなってない。いや。100円にはなったけど(笑)。
だからこの本が出るまでは全くお金になってない。そういうことでいいんじゃないの。

──それでも書きますかって感じですよね。

田中:「書いて食う」っていうのはおかしい。
もしね、その人が今この時点で、「誰々さんからこれについて書いて、10万円くれって言われてるんや」って言ったらそれは、書いて10万円もらおうと思うんやっていうのはいいけど、書いて食えるなんて保証はないじゃないですか。

箕輪さんのところにこうやって集まってるっていうのは書店の方が多いの?書店、編集、ライター?

──いろいろですけど、やっぱり編集室なので、ライターはそこそこ多いと思います。とはいえ、写真とか動画とかいろんなの人がいますよ。(浜田)

──その、プロはそんなにいないですかね。その実際、ライターだけでお金もらってます、っていう人は、そこまで多くないですかね。(奥村)

田中:最後は箕輪さんをリングで倒してもらわないと(笑)。

──HATASHIAIで(笑)。

田中:箕輪さんをいつかぶっつぶしに……。怖いよお。
まずはこの、目つきの悪さ(笑)。

──おお(笑)。

田中:これ俺の撮った写真。この顔でね、ワインちびちび舐めながら、「水道橋博士、ぶっ倒してやりますよ」。でもね、それでも試合前だからこうなってて、試合の後は握手してね、それは清々しかったね、すごい尊敬した。

あ、田端、これは綺麗なジャイアンみたいでしょ。

これは、俺のマイスイートハート・経沢香保子さん。


──楽しそうな会ですね。
で、これからは……、本がベストセラーになりましたし「高いんだぞ!」ってことなんですけど……。

田中:エクスペンシブ!

──エクスペンシブ!なんだけど、このペースで書いていくっていうのは……。

田中:全然考えてへん。だから、言われたことはやるけど、本は書かへんよ。だって、本の注文もないし。注文あれば考えるけど、その本を読んで、あの(編集の)今野さんが11ヶ月に渡って、ストーカーのようにつきまとったから本が出たんです、って書いてるから、ほとんどどこの編集者も誰も言ってこない。今、なんの話もない。

──コラムはどうですか?

田中:言われたからやる。イヤイヤじゃないですよ、奈良新聞さんも……。書きたい!すごい書きたい!

──でも1ヶ月くらいかけてみっちり調べて、書くっていう姿勢をこれからも貫くという。というか、調べてたらそうなるっていう。

田中:うん、調べてたらそうなりますよね。

──それをこれからも続けていくということだから……。

田中:だいたいめんどくさいことしか言って来ないですよね、言ってくる人は。「あれを読んだから、これについて調べて書いてください」って。ねえ、誰か「ポエムでいいです」とかないのかな。
「今の俺の気持ちは〜、天駆ける鳩のような〜」みたいなこと書いて。

──(笑)。
ここに書かれていることもそうだし、今日のお話もそうだけど、書く人は「書いて食べよう」っていうのは、それはそんなに簡単じゃない。しっかり書こうと思ったら、儲かることではない。でも好きで、楽しく書けるんだったら、書いたらいいんじゃない? っていうことですよね。

田中:そうなんです。

──箕輪編集室のライターたちにも何か言うとすれば、そういうことですよね。

田中:ボスはなんて言ってるの?

──ボスは……箕輪編集室はライターに限らずどんどん行動しよう、と。
圧倒的に行動して実践の数が多い人が成していくみたいな感じではおっしゃっていて。

田中:俺が次に本を出すなら、『言われたことだけやりなさい』と言うタイトルにする。

──いいですね。



<泰延さんが仕事で会いたい人は?>

──たくさんの方が田中さんに注目されていると思います。今後、お仕事で関わってみたい人はいらっしゃいますか?

田中:音楽業界の人かな。今、4回連続でいろいろと依頼を受けているのが、マキシマムザ亮くん。今度もちょっと会うんですけどね。

ミュージシャンって「俺の歌を聴け」を本当にやってる人たちじゃないですか。そして、ダイレクトに観客とやり取りをすることがあって。
歩道橋じゃなくて、何万人の前で歌うということができている人じゃないですか。そういう人の話が聞いてみたいですね。それは面白そう。

──自分から「こういうの書いてみたい」っていうのはなく、全て依頼で来てるってことですよね。それが才能というか、向いてるってことですよね。すごいな。

田中:書きたい本とか、ないよね。創作する人じゃないから。その、浅生鴨さんとか燃え殻さんとか、最近よく飲みに行く、芥川賞作家の柴崎友香さんが言うんだけど、やっぱり彼らは「見える」っていうね。
じっとしてたら、キャラクターが喋り出し、映画みたいなものが上映されるから、「おおー、ちょっとちょっと待って」って、見えてるもの、聞こえてる声を書き留めていくっていう。
これはもう、一種の病気やからね。創作する人は。
やりたいっていうものじゃないと思うよ。そういう病気の状態から、見えちゃってる・聞こえちゃってる幻聴や幻覚みたいなものを一生懸命文字にする。
で、その見えてるものと表現との乖離があるから苦労するんでしょ。それは、病気との戦いですよ。

何にしても、タモリが言った通り、「やる気があるものは去れ!」ですよ。タモリがいっつもいうよね「やる気があるものは去れ」。

つまり、やる気のある人は、成功したいか、お金が欲しいんですよ。余裕がない。
成功すること、うまくいくことを考えてるから。

でもやる気のない人は周りを見回す余裕があるよね。あれが面白いから、調べに行こうかとか。山梨県にヒントがあるなら、山梨県に行ってみようかとか。それがやる気のない人。
やる気のある人は、東京のこのオフィスでどうやって一千万円儲けるか、必死で考えているわけでしょう。

──なるほど。

田中:嫌な奴じゃない?
合コンでもわかることやん。男女問わず、合コンに来て「今夜絶対、相手を見つけて、彼氏・彼女をゲットするとか、今晩やってやる!」と思ってる人って、嫌じゃない?ふらっと合コンに来て、なんか楽しそうな人いるっていう人の方が、好感持つでしょ。

やる気のある人は嫌い。「やる気があるものは去れ!」

──おお!今はコミュニティが成熟してきたから雰囲気は変わってるんですけど、箕輪編集室の初期の初期には「動かない者は去れ」というコピーがありました。

田中:はぁ。じっとしてても心臓は動いてますけど。これが止まった時が死ぬ時なんだから、誰だって十分動いてますよ。
動いてるのはね、アパレル業界くらいですよ。アパレル業界、わかります?(暴れている)あ、これ「アバレル業界」。

──面白い!

田中:あ、出たな。「誰々さん面白い!」これは俺いつも言うんですよ。誰かが何かやった時に「誰々さん面白い!」って「お前は審査員か」。一緒に暴れるか、別の「なになに業界」を持ってくるか。
よく言うんだよ。「超ウケる」って、審査員じゃないんだから。へえ!ボタン押さなくていいから。参加者でいいの。この参加する姿勢が、人生を楽しくする。審査員はあんまり楽しくない。審査員をやめろ。

「君、審査員をやめろ」

──わかりました。



<電通を辞めていなかったら?>

──もし、西島(知宏)さんから誘われて書き始めなかったら、今も電通社員を続けてるってことですか?

田中:電通はなんとなく向いてなかったから。24年経って向いてないことがわかったんですよ。ちょっと遅かったよね。3ヶ月くらいでわかるようなもんだけど。なんで辞めなかったと思う?

──お金……?

田中:大正解!僕はそんな下品な言葉は使わないよ。

──過去のインタビューを拝見してたら、何度も入院されていると言うことだったので。

田中:お金がね(笑)。
スケジュールって知ってる?便利な言葉なの。
広告作ってる時にクライアントが無理なこと言ってくるわけ。「今度のCMさー、ディカプリオなんかどうだろう?」って。俺たちは絶対否定したらあかんから、「いいですね、ディカプリオ!」でもね、ちょっとスケジュール(お金のジェスチャー)が合わないんですよね。ディカプリオ、4月はスケジュール(お金のジェスチャー)が合わないから…。

これ、一番役に立つ言葉ですよ。いっぱい業界用語がありますからね、逆さ言葉とか。「パイオツカーデー」とかよく言うじゃないですか。

一番僕が24年間で習得した業界用語は「カンカイキンネンセイコウ」。これはね「厚生年金会館」。これを噛まずに言えるようになるまで24年間。これを噛まずに言えるようになったから辞めました。

西島さんのその質問に戻ると、それは息抜きだったんですよ。Twitterでたまに映画のこと書いてるから、書いてみて。一行でいいっすよ。一行書いてみたら、一行じゃおもんないな、って思って。7000字、8,000字、10000字と増えていっただけで、自分の暇つぶしだったんですよ。

それでも、仕事にしようなんて思って無い。だってお金ないし、辞めてからも2年半はお金ないし。それって、僕にとっては書くって仕事じゃないんですよ。これからも仕事じゃないですよ。

書くことを仕事にしようなんて、思いすぎじゃないかな。だって、書くことだけで食えてる人なんて、日本に何人いる?

日本に10人くらいしかいないんじゃないの?昔はもっといたと思うよ、昭和は。でも、2000年代に入って、本で大儲けした人はいないんじゃないかな。書くことを仕事にしようって言う人がいたら僕は、糸井さんと同じで仕事しながらやった方がいいと言う。

二人は、書くことで食えてるんですか?

──バイトしてます。(奥村)

田中:それがいい状態だと思いますよ。
(浜田さんは)書くことで家計を支えてるんですか?

──いや、支えられてるとは言えないですね。(浜田)

田中:そうやろ、それが普通なんです。で、本業として面倒な時給なり月給なりの仕事があるじゃないですか。それは超愉快とは言えないですよね。

だからこそじゃあライターもやってみようっていう時に、そっちも苦痛だったらもう人生どうするのっていう話ですよね。

そっちも依頼主の注文に応えて「これ刺さらないんだよねダイエットに。書き直して」て言ってリライトしてまた何か書かれて、とか嫌なことがいっぱいあって。
「どうもー。佳奈子です」って言うても「お前は佳奈子じゃない!」って言われて、それは辛いことしかないじゃん。

それだったらnoteでタダで書いてもいい。だから僕の場合は生活とは関係ない、でも人に言われてやるっていうベストなパターンだったわけよ。こういうものを見つけられるといいんじゃないですか。

いいこと言ったでしょ。でも忘れないで、今日は最終的には多宝塔をみんなに買わせる為に来ています!めっちゃ荷物やで。岐阜まで大変!

──新幹線乗らなきゃいけないのに。(氷上)

田中:それは別料金。一席分要ります。コントラバスと一緒。



<電通以外で入りたかった会社、就きたかった職業は?>

──電通以外で入りたかった会社か、就きたかったと思う職業はありますか?(遠藤)

田中:全くなくてね。僕は、学生時代、渋谷の街をうろうろしてたら、学生企業にスカウトされたんですよ。この話はどこでもしてるんですけど。
そこで30人ぐらいの集団の中でみんなが成功目指してたんですよ。

そこにいた人間たちが作った会社が GMO、DeNA、ザッパラス、インテリジェンスとか。今、東証一部上場企業の経営者たちなんですよ。その時は18、19、20歳くらい、みんな。おかしいでしょ、30人の集団でその中で10何人が上場してるわけだから。そういうグループにいたの。

でも、それもスカウトされたの「来てみないか」って。1年間やったけど、こいつらすごいなと思って。超人レベルなの、やっぱり物の考え方が。

その時に悟ったのは、18の時に従業員5000人、売上高5000億の 会社を作るって決めないと、もうそれは無理。それぐらい目標立てないと無理ですよ。絶対上場するって。

20代とか30代とかになって「私は成功する」とか、「僕はメソッドを学んでステップアップする」って思ってるやつは遅いってことよ。

日本には本当に成功したかったら、18歳の時に誰にでも東大に入れるチャンスがある。それに入ってない時点でぼやっとしてる。ぼやっとしている自分を認めずに30代とかになって「自分は成功する」って遅い。

ぼやっとしている人は、ぼやっとしている性質に生まれているから、ぼやっと生きた方がいいんですよ。幸せ度が高い。だって東大に入って35歳になってるやつと、ぼやっと生きてきて35歳になったやつとでは、全然道が違うよ。
もしくは5000億円企業を作るって決めたやつと、なんとなく勤めて35歳になったやつ、全然道が違うよ。じゃあもう乗り遅れてるんだから、ちっちゃい成功を必死になって追い求めたってしんどい。というのが僕の持論。

楽に生きよう。
スタート切ってるやつは子供の頃からリトルリーグに入って、メジャーリーグに行くわけだから、スタートが違う。
じゃあ仕事も一緒でその学生企業に1年いたけどこいつらにはついて行けない。メジャーリーグ級の資本主義の中で、メジャーリーガーになれるやつらやったやから、実際そうなったし。

じゃあ俺の場合はというと……。1年でそのグループを抜けてトラックの運転手になったんですよ。で、トラックの運転手をずっとやってる間になんとなく就職活動の時期が来たから就職活動した。で、なんとなく電通に入っただけなのよ。で、入ってみたらスケジュール(お金のジェスチャー)がすごいのよ。だから辞めなかった。 でも向いてないと思った。広告が得意なやつはいっぱいいるからね。どんな世界にも得意な人はいっぱいいるじゃないですか。

──それでも、長く勤めてましたもんね。

田中:スケジュールね。(ジェスチャーつきで)
だから質問にお答えすると全く目標がなかったので、何になりたいとかっていうのはなかったです。それも電通にたまたま受けに行ったら、内定って言われたから言っただけ。何もない。

だいたいね、何かになりたいっていう気持ちがあったらこんなに太ってるわけがない。人の体を見てものを言ってくれ(笑)。

──ありがとうございます。



<“ボケ”とは仮説を立てることである。>

──ライブ配信を見ている人から質問が来ていて、ひろのぶさんはいつ頃からボケ倒しているんでしょうか?ボケ倒す癖はどうやったら身につきますか?

田中:それはねボケ倒すのは子供の頃から。大阪の皆はボケ合戦だから。
それと、癖はさっき言ったように、身につきます。こないだもね電通の橋口幸生さんっていう人と対談をして言ったことなんだけど、何歳からでも面白くなれる。面白くなるにはさっき言ったように観察すること。面白いことを言ったやつをメモってでもいいから。あの、『メモの魔力』(笑)を発揮して。

「こういう時に言ってやろう」とか、小話でもいいですよ。小ネタでもいいから「これは使ってやろう」と思うこと。それからあとこれはいつも言うんだけど、「嘘を言うことで自分の信用を作る」。

つまり、「それは違うよ。僕はこう思うんだよ」とか、「君は知らないだろ、ほんとはこうなんだよ」って言うのは全部マウンティングやん。

じゃあ会う度にマウンティングするような奴に信用はあるか?って。その反対を考えてみましょう。会うたびにカワウソの話をする奴は、マウンティングをするやつより100倍信用があるわけですよ。

マウンティングする奴はみんな嫌でしょ。でもカワウソの話はまあ許せるでしょ?
じゃあ中途半端な知識で人に説教するよりも、カワウソがラッコであることを追求してることの方が信用があるんですよ。ボケるっていうのはそういうことです。

あとは、これはすごく大事な話。ボケるってどう言うことかと言うと、現状の認識があるじゃない、この世界の中に。ボケると言うのは、一つ仮説を立てるということ。「これはこうなんじゃないの?」と、ちょっとずれた仮説を立てること。(ペットボトルを見て)「え、これ検尿ちゃうん?」ってボケたとするじゃないですか。そしたらツッコミの人は「これは、おしっこなわけないだろう」って。これはわかってることだから。全く意味がない。

ツッコミとはそういうこと。ヒエラルキーが低い。ボケっていうのはつまり「これが尿じゃないか?」っていう仮説を立てる時点でボケが成立する。
でもおしっこじゃあ下品で面白くないから。次の人は「これは尿より面白い液体である」という次の仮説を立てるんですよ。これがボケということ。

仮説がずっと発展していって最後にここにいるみんなが、この液体が本当に何かわからなくなった時点がボケのエントロピーなんですよ、ゴール。全員が幸せになれる。

だからご質問に答えると、こうするとボケられるようになります。

・まずメモを取ること
・いつも通りの日常に仮説を立てましょう

ある仮説が面白いし、仮説をさらに被せていくのがボケを重ねるって事。ツッコミは不要。そして審査員になるな。 以上です。

──めっちゃいい。あ、「めっちゃいい」は審査員ですね。しまった!
お話ありがとうございました。






インタビュー 浜田 綾、奥村佳奈子
テキスト 今井慎也、安里 友芽、佐伯美香、塩谷麻友、原田美鈴
撮影 遠藤稔大
編集 浜田 綾、奥村佳奈子

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