第162号★経営者保証ガイドラインをおさえて、経営者保証の解除を目指しませんか?/ビジネスで一番、大切なこと/こういうときだからこそ【税理士 神佐真由美】
今日もご開封いただき、ありがとうございます。
本日のメルマガの内容です。
-----------------------------------------------
1.経営者保証ガイドラインをおさえて、経営者保証の解除を目指しませんか?
2.現在公募中/これから公募予定の補助金/融資制度
3.おすすめ書籍 ビジネスで一番、大切なこと
4.セミナー情報
5.活動日記 こういうときだからこそ
-----------------------------------------------
1.経営者保証ガイドラインをおさえて、経営者保証の解除を目指しませんか?
会社で事業を営んでいる方に、
経営者保証ガイドラインを知っていただき、
金融機関からの借入の経営者保証の解除を目指しませんか?
というお話です。
経営者保証ガイドラインが作られて、もうすぐ10年になります。
経営者保証ガイドラインという言葉も、
少しずつ浸透してきたように思いますが、いかがでしょうか。
経営者保証ガイドラインとは何か?
会社が融資による資金調達をする際は、
連帯保証人として、経営者が個人で会社の債務を保証するケースが多いです。
この、「経営者による保証」があることで、
広い意味で経営者は全財産をかけていることになり、
経営への規律付けへの効果があるとされていたり、
会社が返せなくても個人から返してもらえる、という保証が期待され、
資金調達がしやすくなっているといえます。
一方で、経営者による保証があることで、
思い切った事業展開を阻害していたり、
それを重く感じている後継者へのバトンタッチができなかったり、
事業再生への早い決断ができなかったりと、
大きな弊害があることも指摘されてきました。
これらの課題の解決策として、
全国銀行協会と日本商工会議所が「経営者保証に関するガイドライン」を策定し、
平成25年12月に公表され、平成26年2月から運用が開始されています。
また、事業承継の際に
経営者保証が後継者候補確保の障害となっていることを踏まえ、
金融機関と中小企業者の双方の取組を促すため、
政府として「事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策」(令和元年5月から)を実施しています。
何ができるのか?ということですが、
活用できる局面は3つあります。
1)新規の借入のとき 既存の借入の借換えのとき
2)事業を承継するとき
3)会社で借入を返せなくなり、経営者による保証を履行するとき
(会社の連帯保証人である経営者が、会社の債務を返済するとき)
それぞれの局面で、どのように活用されるのかと、要件をみていきたいと思います。
1)新規の借入のとき 既存の借入の借換えのとき
2)事業を承継するとき
これらの局面で、一定の要件を満たせば、経営者保証を全部もしくは一部について、解除できる可能性があります。
・経営者保証ガイドラインの3要件は、下記の通りです。
1:資産の所有やお金のやりとりに関して、法人と経営者が明確に区分・分離されている
→たとえば、経営者の所有する不動産を会社に賃貸する際には、相場に近い賃料設定であること、個人と法人との取引がきっちり分けられていて、お金の管理も明確に区分できていること
2:財務基盤が強化されており、法人のみの資産や収益力で返済が可能である
→今は難しくても、将来的にしっかり利益を生み出せるように、事業を構築していく必要があります。
3:金融機関に対し、適時適切に財務情報が開示されている
→決算時、四半期(毎月はなおよい)に、金融機関に試算表などで経営状況が共有できていること
これらの3要件の全部または一部を満たすことができれば、
会社は、
経営者保証なしで融資を受けられる可能性がありますし、
すでに提供している経営者保証を見直すことができる可能性があります。
金融機関は、
要件の充足度合いに応じて、
経営者保証を求めないことや保証機能の代替の方法の活用を検討できます。
ただし、これらの要件を満たせば、必ず対応してもらえるものではなく、
「中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルール」と位置付けられており、
法的な拘束力はありません。
関係者が自発的に尊重し、遵守することが期待されていて、
経営者保証を解除するかどうかの最終的な判断は、金融機関にゆだねられています。
とはいえ、経営者保証に過度に依存しない融資を進めるべく、
活用実績なども公表されています。
経営者保証に依存しない新規融資の割合は、毎年増えています。
金融庁でも活用実績が公表されています。
「経営者保証に関するガイドライン」の積極的な活用について:金融庁 (fsa.go.jp)
https://www.fsa.go.jp/policy/hoshou_jirei/index.html
上記の3要件は、
会社の経営基盤を強化し、そして、金融機関との連携を深める取組です。
経営を、望ましい状態にもっていくことができれば、
経営者保証も外すこともできるかもしれない。
経営者保証のない融資を受けられるかもしれない。
目指す価値は、じゅうぶんにあるのではないかと思います。
うちは適用できるのかな?
どうなったら適用できるのかな?
と気になる方は、下記のリンクをご参照いただき、相談窓口に相談してみるとよいと思います。
金融機関の方に確認してみるのもよいと思います。
中小企業庁:経営者保証のガイドライン (meti.go.jp)
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/keieihosyou/#guideline
3つめの局面ですが、
3)会社で借入を返せなくなり、経営者による保証を履行するとき
(会社の連帯保証人である経営者が、会社の債務を返済するとき)
これは1)や2)とは少し場面が違います。
通常、借入があって、事業が立ち行かなり、借入が返せないということになれば、
・預金全額差し押さえ
・担保に入っていた自宅は競売に
・自己破産しない限り一生借入金を返済し続ける
ことになります。
しかし、経営者保証ガイドラインの適用を受けることができれば、
・年齢にもよりますが360万円は差し押さえ禁止(失業給付に相当する)
・99万円は差し押さえ禁止(引っ越し費用を確保)
・自宅は競売禁止
・借入金は最終的に免除
この適用を受けるには、「早めの相談」が必要です。
中小企業庁:経営者保証のガイドライン (meti.go.jp)
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/keieihosyou/#guideline
経営者保証があるからと、事業をやめられずに、損失を拡大させてしまうことを
防止するためのガイドラインです。
こうなることは、避けたいですが、これを知っておくだけでも、違うのではと思います。
今、大変な状況ではありますが、
だからこそ、知っていただきたい経営者保証ガイドラインです。
会社の経営基盤を強くして、金融機関との関係を良くして、
その先には経営者保証の解除を 勝ち取っていただきたいです。
事業承継をされる方には、ぜひ会社の”磨き上げ”を通して、
経営者保証を少しでも軽減して、後継者にバトンタッチできることを
目指していただきたいと思います。
具体的には何から始めたら?ということについては、また改めて書きますね。
ご質問、ご相談などありましたら、ぜひお気軽にお寄せください。
2.現在公募中/これから公募の補助金/融資制度
・経産省:ウクライナ情勢の変化に伴い中小企業・小規模事業者対策
https://www.meti.go.jp/press/2021/02/20220225002/20220225002.html
※特別相談窓口の設置・セーフティネット貸付の要件緩和
・事業復活支援金(1月31日から申請開始!)
https://jigyou-fukkatsu.go.jp/
・インボイス対応に!
パソコンやタブレットも対象に!IT導入補助金2022(予告チラシ)
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/2021/1224/003_seisansei.pdf
・業務改善助成金
https://pc.saiteichingin.info/chusyo/index.html
・事業再構築補助金(次は第5次公募!1月20日~3月24日)
https://jigyou-saikouchiku.jp/
・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(第10次公募 5月11日まで)
https://portal.monodukuri-hojo.jp/common/bunsho/ippan/10th/gaiyou_20220216.pdf
デジタル枠・グリーン枠・回復型賃上げ・雇用拡大枠が新設
・小規模事業者持続化補助金(第8回公募 おそらく2022年6月まで)
https://r1.jizokukahojokin.info/
・ 雇用調整助成金(新型コロナ特例)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html
(特例が6月末まで延長される見込み)
3.おすすめ書籍 ビジネスで一番、大切なこと
ビジネスで一番、大切なこと 消費者のこころを学ぶ授業
ヤンミ・ムン先生著 https://www.amazon.co.jp/dp/4478012849/ref=cm_sw_r_tw_dp_Y0PXV2PTK7NGC452K33Y
(本の紹介より)
プロフェッショナルとして知恵を絞れば絞るほど、消費者のこころを見失ってしまう。
「差別化の罠」
「マーケティング言語を流暢に操ることは、明らかに誇張力を磨くことだ」
「あくなき改善と進歩が感覚を麻痺させてしまう」
「細かな違いを見分けられるのは、プロだけ」
「いつのまにかどの会社も、同じ方角を向いて走る群れになっている」
「注目すべきは、グーグルがやったことではなく、やらなかったことだ」
ビジネスマンの誰もが抱えるジレンマを共に考え、共に解決の方向を探る
<これからの時代の、マーケティングの指針となる本>
★手に取ったきっかけ
師事している弓削一幸先生の私塾での課題図書でした。
ブランディングがテーマの回でした。
★おすすめポイント
ビジネスの世界では、”差別化”が大事ですが、
差別化を追い求める結果、
似たようなブランドを生み出すことになり、
かえって消費者を困らせていないか? という問題提起からの本です。
その問題に対して、本当の意味でいう「違い」を出したブランドについて、
・世の流れの逆を行く「リバース・ブランド」
・カテゴリ自体を書き換える「ブレークアウェー・ブランド」
・好感度に背を向ける「ホスタイル・ブランド」
の事例を出して、人のこころに、体験の全側面をとらえて、
ものづくり・サービスを考える必要性と考え方を説いています。
もっとよく、よりよく、を追い求めるあまり、
生活者を置いてけぼりにしていないか?
ムン先生の人間味あふれる語り口が、よくあるビジネス本と違い、
また、読み返したい本になりました。
4.セミナー情報
★大阪産業創造館様 主催セミナー 登壇予定★
2022年3月9日14時~16時30分(現在キャンセル待ち)
【はじめての○○セミナー】きちんと押さえたい!経営者のための資金繰り基礎知識
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=36011
★企画検討中:ローカルベンチマーク作成ワークショップ@オンライン
第161号★金融機関との取引をスムーズにする”ローカルベンチマーク”作成のすすめ
https://mail.os7.biz/b/JaJ8/1479373
前回のメルマガでお話した、”ローカルベンチマーク”の非財務情報をつくる
オンラインのワークショップを企画検討中です。
この機会に、ローカルベンチマークを作ってみませんか?
ご興味ある方は、このメールに「興味あり」とご返信ください。
5.活動日記 こんなときだからこそ
悲しいことに、ウクライナで戦争が始まってしまいました。
犠牲になる人が少しでも少ないことを祈るばかりです。
新聞もニュースも 心がざわざわします。
SNSを見ると、映像や写真、そして、状況を伝える投稿・・・
ざわざわが共鳴して、ついつい目を、心を奪われてしまいます。
でも、こんなときだからこそ、
自分が今できることに集中することって大事だなと思いました。
こういうときこそ、地に足つけて日常を生きること。
仕事は本当にありがたいです。
今日のメルマガは以上です。
本日もお読みいただき、ありがとうございました。
今週もたくさんいいことがありますように!
いってらっしゃい!
神佐 真由美
このメルマガの内容の転載は、大歓迎です。
ご感想・ご意見も大歓迎です。
このメールにご返信いただいたら、私に届きます。
このメルマガをおすすめされたい方がいらっしゃいましたら
こちらのURLをご紹介ください。
https://mail.os7.biz/add/JaJ8
バックナンバーはこちらからお読み頂けます!
https://mail.os7.biz/b/JaJ8
メルマガの購読をやめたいときは、こちらから停止手続をお願い致します。
解除専用ページURL
発行責任者:神佐 真由美
住所:京都市伏見区桃山水野左近東町81-9 角谷会計事務所内
連絡先:m.kanza@nifty.com
記事一覧
第260号★意外と多いご相談・・・従業員さんのマネーリテラシー向上の取組み/正しい家計管理/年収の壁問題はどうなるのか?【税理士 神佐真由美】
こんにちは! 税理士の神佐真由美です。 今日もご開封いただき、ありがとうございます。 本日のメルマガの内容です。 ------------------------------------------
2024年11月18日
第259号★103万円の壁問題を手当すれば、問題は解決できるのか?/「ネット世論」の社会学/子どもたちと振り返り&目標づくり会【税理士 神佐真由美】
んにちは! 税理士の神佐真由美です。 今日もご開封いただき、ありがとうございます。 本日のメルマガの内容です。 -------------------------------------------
2024年11月05日
第258号★想像を超えるAIの進化「知識から知能へ」今後10年私たちのビジネスはどうなる?/「創造する経営者」おすすめです/人にやさしく、成果にこだわる組織へのステップ【税理士 神佐真由美】
こんにちは! 税理士の神佐真由美です。 今日もご開封いただき、ありがとうございます。 本日のメルマガの内容です。 ------------------------------------------
2024年10月28日
第257号★2024年もあと2カ月!年末までに確認しておきたいこと 贈与・承継・助成金/データでわかる2030年 雇用の未来/聴きよい言葉よりも、振り返りと問題意識と方向性を【税理士 神佐真由美】
こんにちは! 税理士の神佐真由美です。 今日もご開封いただき、ありがとうございます。 本日のメルマガの内容です。 ------------------------------------------
2024年10月21日
第256号★帳簿はいつ付けるもの?帳簿は「お金の日記帳」/運 ドン・キホーテ創業者「最強の遺言」/感謝!弊所20周年記念セミナー&懇親会【税理士 神佐真由美】
こんにちは! 税理士の神佐真由美です。 今日もご開封いただき、ありがとうございます。 本日のメルマガの内容です。 ------------------------------------------
2024年10月14日
第255号★管理会計って?経営者がパッと見て経営のジャッジができる会計のこと/松下幸之助 5つの原則/能登へボランティアに行ってきました【税理士 神佐真由美】
こんにちは! 税理士の神佐真由美です。 今日もご開封いただき、ありがとうございます。 本日のメルマガの内容です。 ------------------------------------------
2024年10月07日
第254号★毎月の試算表、どんなタイミングで、どこまで活用できていますか?/複利で伸びる1つの習慣/メッセンジャーダイエット【税理士 神佐真由美】
こんにちは! 税理士の神佐真由美です。 今日もご開封いただき、ありがとうございます。 本日のメルマガの内容です。 ------------------------------------------
2024年09月30日
第253号★11月からの「60日ルール」はどんな取引が対象でどう対応すべきか?/IT導入補助金は最終回です/事務所旅行で能登へ行ってきました【税理士 神佐真由美】
んにちは! 税理士の神佐真由美です。 今日もご開封いただき、ありがとうございます。 本日のメルマガの内容です。 -------------------------------------------
2024年09月23日
第252号★郵便料金だけじゃない!10月以降変わることをおさえておきましょう!/ポスト・ヒューマニズム/自分では行けない場所へ行ったつもりになる【税理士 神佐真由美】
こんにちは! 税理士の神佐真由美です。 今日もご開封いただき、ありがとうございます。 本日のメルマガの内容です。 ------------------------------------------
2024年09月09日
第251号★あの補助金はなくなるのか?概算要求から読み解く来年の政策/中小企業の「値上げ」入門/台風被害のお見舞いを申し上げます【税理士 神佐真由美】
こんにちは! 税理士の神佐真由美です。 今日もご開封いただき、ありがとうございます。 本日のメルマガの内容です。 ------------------------------------------
2024年09月02日
第250号★売上の方程式 自社でコントロールできる要素はどれ?/世界は見ている、ここが日本の弱点/天草エアラインと四郎の初恋と天草大王【税理士 神佐真由美】
こんにちは! 税理士の神佐真由美です。 今日もご開封いただき、ありがとうございます。 本日のメルマガの内容です。 ------------------------------------------
2024年08月20日
こんにちは! 税理士の神佐真由美です。 今日もご開封いただき、ありがとうございます。 本日のメルマガの内容です。 ------------------------------------------
2024年08月13日
第248号★日銀が利上げを決定 経営に与える影響は?/月次決算セミナー配信/シンガポールへ行ってきました!【税理士 神佐真由美】
こんにちは! 税理士の神佐真由美です。 今日もご開封いただき、ありがとうございます。 本日のメルマガの内容です。 ------------------------------------------
2024年08月05日
第247号★郵便料金も値上げに!請求書はデータでやりとりする時代になります/コスト削減の最強戦略/往復はがきとフォームズ【税理士 神佐真由美】
こんにちは! 税理士の神佐真由美です。 今日もご開封いただき、ありがとうございます。 本日のメルマガの内容です。 ------------------------------------------
2024年07月26日
第246号★ものづくり企業における重要なレポートが経産省から発表されています/生産現場をカイゼンする「管理会計」/「学んだ」「理解した」と「知恵として使える」は全然違う【税理士 神佐真由美】
こんにちは! 税理士の神佐真由美です。 今日もご開封いただき、ありがとうございます。 本日のメルマガの内容です。 ------------------------------------------
2024年07月08日