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HRキュレーション by 社会保険労務士法人SUCCESSION

社会保険労務士法人SUCCESSIONメールニュース【読み物編】(メルマガvol.43)

2023年10月19日




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ようやく秋が訪れました。燕は春に日本に到来し、
巣を作り子育てを行います。

子育てが終わると、燕たちは巣を離れ、集団となって
過ごします。その規模は数千羽から数万羽。
水辺のヨシ原などにねぐらをつくり、たくさんの餌を
食べて渡りに備えます。

そして、秋になると南へ移動します。
その距離2000~5000km。彼らの驚異的な移動能力と、
目的地まで迷わない高度な方向感覚には感嘆させられます。

九州、沖縄を経て海を越え、台湾やフィリピンなどの南方
へ時速40~50kmの速さで飛ぶようです。太陽のある方向を
目指し、山並みや海岸線など特徴的な地形を記憶している
という説もあるそうです。

燕たちが遠くへ飛び立つように、私たちも新しい季節を
迎えます。燕の渡りと共に、穏やかな秋を迎えましょう。



さて、今回のメルマガは・・・


┏━[CONTENTS]━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

 ◆今月の経営格言

 「大変な目標だ だからこそ、チャレンジするんだ」

  本田宗一郎
 (本田技研工業株式会社創業者)

 ◆コラム
『毎年10月は年次有給休暇取得促進期間です』

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――――――――――――――――――――――――――――
◆今月の経営格言

 「大変な目標だ だからこそ、チャレンジするんだ」

  本田宗一郎
 (本田技研工業株式会社創業者)

  出所:「本田宗一郎語録」(小学館)
――――――――――――――――――――――――――――
冒頭の言葉は、

「どんなときも、自分を鼓舞し、あえて大きな目標に挑戦しな
 くてはならない」

ということを表しています。

1946年、小さな町工場としてスタートした本田技研は、1951年
にオートバイ「ドリームE型(1949年に発売された「ドリーム
D型」を改良したもの)」、翌1952年に自転車の小型軽量エン
ジン「カブF型」を発売し、いずれも大ヒットとなりました。
技術向上に余念がなかった本田氏は、当時の金額で4億円を超
える非常に高額な工作機械を海外から購入し、更なる品質向上
を目指しました。

こうして順調に成長を遂げていた本田技研ですが、やがて大き
な試練が立ちはだかります。改良によって生じた不具合から、
ドリームE型とカブF型の売れ行きがぴたりと止まり、本田技研
の業績が大きく低迷したのです。その上に、高額な工作機械の
代金の支払いも重なり、深刻な経営危機に直面しました。

1954年、本田技研の存続さえ危ぶまれる危機的状況にあって本
田氏が宣言したのは、何と英国で開催されるオートバイレース
「マン島TTレース」への出場でした。これには多くの人々が非
常に驚かされました。しかし、本田氏には、世界的なレースで
優秀な成績を上げない限り、技術力の高さを示すことはできな
いという考えがあったのです。

宣言通り、本田氏は専門の研究部を設け、マン島TTレース出場
に向けて技術開発に取り組みました。そうした本田氏を陰で支
えたのが、唯一無二のパートナーである藤澤武雄氏です。藤澤
氏は資金繰りに奔走するなど、経営・営業面で本田氏をサポート
しました。

そうしているうちに、本田技研はなんとか危機を脱することが
でき、本田氏はさらにレース出場に向けての研究に専念しまし
た。そして、1959年、本田技研はついにマン島TTレースに出場
することとなります。本田技研は健闘し、初出場ながら「チーム
賞(チームのタイムの合計が最も短いチームに与えられる賞)」
を獲得するという快挙を成し遂げました。その後も本田技研は
世界のオートバイレースに出場を重ね、1961年のマン島TT
レースでは2クラスで1位から5位を独占するという圧倒的な勝利
を収めました。こうして、本田技研は名実ともにオートバイの
世界でトップの座を獲得することとなりました。

マン島TTレース出場宣言を行った際、本田氏は次のように
語っています。

「全従業員諸君!本田技研の全力を結集して栄冠を勝ちとろう。
 本田技研の将来は一にかかって諸君の双肩にある」

本田氏がマン島TTレースへの出場を宣言したとき、本田技研は
世界ではまだ無名のアジアの1メーカーにすぎませんでした。
しかも、当時、本田技研は大きな苦境に立たされていました。
それでも本田氏は、「会社が苦境に立たされているこのときこ
そ、あえて高い目標を掲げ、それを目指して全社を挙げて危機
を乗り切ろう」と考え、従業員を鼓舞するべくマン島TTレース
出場を宣言したのです。

人は、苦境に陥れば気分が沈み、「ずっとこの状況が続くので
はないか」「もうここから立ち上がれないのではないか」など
弱気になります。しかし、その場にしゃがみ込んでしまっては
前に進むことができません。苦境に陥ったときこそ前を向き、
更なる高みを目指さなくてはなりません。苦境にあって昂然
と顔を前に向けるしたたかさこそが、経営者には必要なのです。



【本文脚注】
本稿は、注記の各種参考文献などを参考に作成しています。本
稿で記載している内容は作成および更新時点で明らかになって
いる情報を基にしており、将来にわたって内容の不変性や妥当
性を担保するものではありません。また、本文中では内容に即
した肩書を使用しています。加えて、経歴についても、代表的
と思われるもののみを記載し、全てを網羅したものではありま
せん。

【経歴】
ほんだそういちろう(1906~1991)。
静岡県生まれ。二俣尋常高等小学校卒。
1946年、本田技術研究所(現本田技研工業株式会社。本稿では
「本田技研」)設立。

【参考文献】
「本田宗一郎語録」
(本田宗一郎研究会(編)、小学館、1998年8月)
「一冊でわかる!本田宗一郎『世界のホンダ』を
 創り上げた男の『挑戦の軌跡』」
(梶原一明(編著)、PHP研究所、2009年10月)
「定本本田宗一郎伝飽くなき挑戦大いなる勇気」
(中部博、三樹書房、2001年5月)
「本田宗一郎夢を力に私の履歴書」
(本田宗一郎、日本経済新聞社、2001年7月)



――――――――――――――――――――――――――――
◆ コラム
 『毎年10月は年次有給休暇取得促進期間です』
――――――――――――――――――――――――――――
厚生労働省では、年次有給休暇を取得しやすい環境整備を
推進するため、毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」
として、集中的な広報を行っています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35470.html

政府の目標として令和7年までに年休の取得率を70%と
することが掲げられていますが、令和3年に58.3%と過去
最高となったものの目標には届いていない状況です。

同省では、「働く人のワーク・ライフ・バランスの実現
のためには、企業等が自社の状況や課題を踏まえ、年休
を取得しやすい環境づくりを継続して行っていくことが
重要である」とし、そのための取り組みの第一歩として、
「年休の計画的付与制度」と「時間単位年休」を挙げて
います。

両制度については、同省の「年次有給休暇取得促進特設
サイト」においても詳しく説明されています。
https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuuka-sokushin/

ご参考までに、同サイトに掲載されている「年休の計画的
付与制度」と「時間単位年休」の概要や事例等を一部抜粋
してご紹介いたします。

==========================
【1】年休の計画的付与制度
■概要
 年次有給休暇の付与日数のうち5日を除いた残りの日数
 について、労使協定を締結する等により、計画的に休暇
 取得日を割り振ることができる制度。

■導入のメリット
 事業主は労務管理がしやすく計画的な業務運営ができ、
 労働者はためらいを感じずに年休を取得できる。

■付与方式と活用事例
 ・一斉付与方式:全労働者に対して同一の日に付与する
 ⇒製造部門など、操業を止めて全労働者を休ませること
  のできる事業場等で活用されている。

 ・交代制付与方式:班・グループ別に交替で付与する
 ⇒流通・サービス業など、定休日を増やすことが難しい
  企業、事業場で活用されている。

 ・個人別付与方式:個人別に付与する
 ⇒夏季、年末年始、ゴールデンウィークのほか、誕生日
  や結婚記念日など労働者の個人的な記念日を優先的に
  充てるケースがある。

【2】時間単位年休
■概要
 年次有給休暇の付与は原則1日単位だが、労使協定を締結
 する等により、年5日の範囲内で、時間単位での取得が可
 能となる。

■取り組み事例
 三重県の製造業を営む会社(従業員数275名)では、社員
 の声をきっかけに、まず「1日単位と時間単位のどちらの
 方が社員の生産性が高いか、社員のモチベーションが向上
 したか」の検証が行われた。

 ⇒結果は時間単位の方であったため、ルール化された。
  2015年度に制度を改正し、2020年度の年休取得率は
  全従業員平均で69%になった。
==========================

同サイトでは年休取得推進における課題別の対策や、他の
推進施策等も掲載されているので、ぜひご参照ください。

年休の取得率の向上は、先に挙げた事例にも見られるように、
生産性や社員のモチベーション向上にも繋がる可能性があり、
企業と従業員の双方にメリットをもたらし得ると言えます。

単に取得義務を果たすだけでなく、働き方の質そのものを
向上させ、企業文化を豊かにするステップであるという観点
からも、制度設計等を検討されてみてはいかがでしょうか。


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