税理士 神佐真由美が毎週発信する、会社経営や、家庭経営、そして、人生の経営にちょっと役立つメルマガです。 税務や会計を中心に、日々の仕事での気づきを混ぜながら。

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第196号★結局、税制改正で贈与税と相続税はどう変わる?防衛費のための増税はいつ?税制改正大綱のポイント続編/ドラッカー先生の「現代の経営」/よいお年をお迎えくださいませ【税理士 神佐真由美】

2022年12月29日

こんにちは!税理士の神佐真由美です。
今日もご開封いただき、ありがとうございます。

本日のメルマガの内容です。

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1.結局、税制改正で贈与税と相続税はどう変わる?防衛費のための増税はいつ?税制改正大綱のポイント続編
2.現在&これから公募の補助金/融資制度
3.おすすめ書籍 ドラッカー先生の「現代の経営」
4.セミナー情報
5.活動日記 よいお年をお迎えくださいませ
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1.結局、税制改正で贈与税と相続税はどう変わる?防衛費のための増税はいつ?税制改正大綱のポイント続編


前回のメルマガで、12月16日に発表された自民党・公明党の税制改正大綱についてお話しました。

第195号★インボイス制度はどうなった?贈与と相続は?税制改正大綱が発表されました!
https://mail.os7.biz/b/JaJ8/1571722


税制改正大綱の全文はこちら
https://partsa.nikkei.com/parts/ds/pdf/20221216/20221216.pdf


自民党・公明党の税制改正大綱は、

「来年度の税制改正はこのような方向性でいきます!」という大枠を示したものであり、

まだ決定事項ではありません。

しかし、今の国会状況からすると、ねじれもありませんので、

おそらくこのままの内容で、審議を経て、決まるだろう、と言われているものです。



今日のメルマガでは、前回のメルマガでは触れなかったけれど、

税制改正の大事なポイントについて、お伝えしていきますね。


1)贈与税・相続税が変わるって言われていたけど結局どうなるの?

2)NISAが拡充するって?

3)中小企業経営強化税制は2年延長の一方、固定資産税の特例は縮小

4)スタートアップ企業を後押し!

5)インボイス・電子帳簿の緩和策のまとめ

6)防衛費対応の増税予定

以上についてお伝えしていきますね。


1)贈与税・相続税が変わるって言われていたけど結局どうなるの?


高齢化により、相続で資産を受け継ぐタイミングが遅くなり、また、

今の税制では、贈与税の税率が相続税の税率よりも高いので、

若い人に資産の移転がますます進まないことが課題として挙げられていました。


それを解決すべく、

贈与税も相続税も一体化してはどうか、

つまり、いつ贈与してもかかる税金は同じにしたほうがよいのでは?

という議論がありました。


これについて、どうなったのかというと・・・


・生前贈与について、相続財産に加算する期間が3年から7年に延長されます。


現行では、相続(お亡くなりになった)の日から3年前までに贈与された資産については、

相続税の計算上、相続財産に加算して、相続税を計算します。

支払った贈与税があれば、相続税から引きます。

つまり、亡くなる3年前の贈与は、贈与税ではなく、相続税がかかる、ということです。


この「3年前」が、「7年前」に変わります。

被相続人からの相続人(遺贈を含む)への贈与について

3年以内の贈与額全額+(4~7年の贈与額合計ー100万円)について

※4年前~7年前については100万円の贈与については、加算から除外

相続税の計算で、課税される資産の価格に加算します。

令和6年1月1日以後の贈与から適用される予定です。


今回の改正の趣旨は、

財産を渡す時期が違っても、課税に影響を与えない、ということです。

本当は7年をもっと延ばしたかったのだと思います。

ドイツは10年、フランスは15年、アメリカは生前全ての贈与が加算対象なのだそうです。


年に110万円までの暦年贈与については、基礎控除の範囲内なので、

贈与税はかからない、というのは現行のままとなりました。


110万円の基礎控除はそのままに、

亡くなる前7年間の贈与は相続税をかけるので、

贈与するならお早めにどうぞ、ということでしょう。



・相続時精算課税の拡充

贈与税のかけ方は、

暦年贈与の課税 といって、1年間の贈与された資産の合計で贈与税を課すもの と、

相続時精算課税 といって、贈与のときに、一定の枠(1人の人から2,500万円まで)までは贈与税を払わなくてもよいけれど、相続税の計算のときに合算して精算して課税するもの

があります。


例えば、父親から贈与を受ける際に、届出を出してから、生涯2,500万円までの贈与は、贈与税が一旦かからないかわりに、

父親が亡くなったときには、贈与した資産の合計を、相続税の計算に入れて、課税するというものです。


この制度について、拡充がされていまして、

60歳以上の被相続人と推定される方から 18歳以上の相続人への贈与について

相続時精算課税の適用を受ける場合は、

非課税限度額2,500万円とは、別枠で年間110万円の控除が可能となりました。

相続税の計算への加算は、年間110万円を差し引いて加算します。


相続時精算課税を選択する場合は、

暦年課税の基礎控除枠(無税で贈与できる範囲)110万円が使えなかったのですが、

相続時精算課税を選択する場合でも、年間110万円までは無税で贈与できるということですね。

こちらも令和6年1月1日以降の贈与から適用となります。


若い世代への贈与を促す制度にと言えると思います。


子育て結婚教育資金贈与は、廃止の予定が一転して2年延長となっています。



2)NISAが拡充するって?


NISAとは、日本における株式や投資信託の投資金について、

売却益と配当への税率を一定の制限の元で非課税とする制度。

Nippon Individual Saving Accountなんですって。


株式や投資信託の運用について、

売却益や配当については、通常所得税がかかるのですが、

これを一定の枠のなかで、非課税とすることにより、投資を促そうという狙いのものでした。


積立期間については、制限がなくなり、

非課税となる限度額についても、大きく拡充することになりました。


・つみたて投資枠

従来のつみたてNISA(投資信託等)にあたるもの

→年間120万円まで(現行年間30万円までから大幅UP)


・成長投資枠

従来の一般NISA(上場株式も可)にあたるもの

→年間240万円まで(現行年間120万円までから大幅UP)


・上限金額

つみたて投資枠と成長投資枠の合計で最大元本1,800万円まで運用可能となります。

(そのうち成長投資枠は最大1,200万円まで)

旧つみたてNISAは令和5年12月31日まで、新NISAは令和6年1月1日より



もっと投資を身近なものにしてほしい、ということなのだと思います。

若いときから、コツコツつみたてNISAをして、

元本1,800万円までは非課税枠まで積立ができたら、

老後2,000万円問題もハードルは下がりますし、よい制度ではないかと思います。


「所得倍増」を岸田内閣は掲げており、その政策の一環ですが、

あくまで自力で、NISAやiDeCoを使ってやってくださいね、というメッセージとも受け取れます。



3)中小企業経営強化税制は2年延長の一方、固定資産税の特例は縮小


中小企業が設備投資をした場合に受けられる減税措置については、2年延長となりました。

167号でご紹介した経営力向上計画に盛り込んだ設備の減税措置も延長となりました。

第167号★補助金の加点や税額控除 認定を受けておくと得しかしない「経営力向上計画」とは?/
https://mail.os7.biz/b/JaJ8/1495436

一方で、対象設備にコインランドリー設備や、仮想通過のマイニング設備については、

その業務を他社に委託するものについては、名指しで除外されています。

(節税目的の投資が多かったのでしょうね)


一方で、固定資産税の減税措置が受けられる 先端設備導入計画に基づく設備投資については、

減免の割合が100%3年間 から 50%3年間(要件を満たせば4~5年もあり)

対象資産から事業用家屋や構築物ついては除外、

認定を受けるには、投資利益率が5%以上となる攻めた計画が必要となりました。



4)スタートアップ企業を後押し!オープンイノベーション税制やエンジェル税制拡充


投資家向けに、上場株式などを売却してそのお金を一定のスタートアップ企業に投資した場合、

売却益から、スタートアップ企業に投資した金額を差し引いて譲渡所得を計算できるという優遇措置。


また、その株式を譲渡する場合は、売却価額から、そのスタートアップ企業の株式の取得価額について、

20億円までは、差し引いて譲渡所得が計算できるという優遇も。

(エンジェル税制でも同じ優遇があります)


他にも、法人が、一定のスタートアップ企業に出資をした場合に、

出資金額の25%を所得から差し引く制度の拡充があったり、

出資の範囲に、既存株式の取得(要はM&A、スタートアップの出口として)も入るなど、

とにかくスタートアップ企業支援へ猛プッシュです。


数年前までは、事業承継一色でしたが、今回の税制改正の内容を見て感じるのは、

事業の新陳代謝をよくしていこう、そのために攻めた設備投資や、スタートアップ企業は支援しよう、

というメッセージです。



5)インボイス・電子帳簿の緩和策のまとめ


再度となりますが、ここをまとめておきましょう。


・免税事業者がインボイス発行事業者になる場合当初3年間の納税額を2%(消費税10%の2割)にできる

・1万円以下の返還インボイスは不要に(振込手数料の返還インボイスが不要)

・課税売上1億円以下の小規模事業者は、6年間1万円以下のインボイスは保存不要に

・小規模事業者(年商1億円以下)の電子データ保存要件を緩和

→電子保存は必要、だけど、検索をできるようにはしなくてよい。ダウンロードできればOK。



6)防衛費対応の増税予定

報道でもある通り、防衛費を確保するための措置が予定されています。


・法人税率が1%程度上がります。

ただし、法人の約2,000万円程度については、かからないとされています。


現在所得税と一緒に課されている復興特別所得税2.1%のうち、1%が防衛費に充てられ、

さらに、延長される予定です。


たばこ税について1本あたり3円の増税も盛り込まれています。


この辺りは、税制改正大綱の発表前に駆け込みで盛り込まれたように思います。

まだいつからなど決まっておらず、令和6年以降の適切な時期、とされています。

今後どのように議論されていくのか、しっかり注視しておきたいものです。


以上、少し長くなってしまいましたが、

今回の税制改正大綱のポイント 第2弾です。


細かなことは、これから国会で審議を経て、法律が作られていきます。

ここは押さえておきたい!ということがありましたら、

またメルマガでお知らせいたしますね。




2.現在公募中/これから公募の補助金/融資制度/おすすめ情報



・事業承継・引継ぎ補助金(次回第4次公募 2月上旬まで!)
https://jsh.go.jp/r3h/
2017年4月以降の事業承継者の新しい取り組み支援(経営革新支援)や、
M&Aにかかる費用の支援(専門家活用型)があります!


・IT導入補助金2022
ITツールと同時導入でパソコンやタブレットも対象に!(最終は第19次2月16日締切)
https://www.it-hojo.jp/schedule/


・事業再構築補助金(第8回2023年1月13日締切で最後)
https://jigyou-saikouchiku.jp/


・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(第14次公募 まもなく公開)
https://portal.monodukuri-hojo.jp/schedule.html


・小規模事業者持続化補助金(第11回公募 まもなく公開)
https://r3.jizokukahojokin.info/


・技術開発を支援するサイト(研究開発を支援する補助金など)
SBIR(Small Business Innovation Research )制度 特設サイト (smrj.go.jp)
https://sbir.smrj.go.jp/index.html


・支援情報ヘッドライン | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]
https://j-net21.smrj.go.jp/snavi/index.html




3.おすすめ書籍 現代の経営


現代の経営
P.F.ドラッカー先生
https://www.diamond.co.jp/book/9784478307007.html

(本の紹介より)
経営には、時代の流れとともに急激に変化していく部分と、時代がどう変わろうとも変化しようのない基本の部分がある。
本書は、その基本の部分を明らかにした不朽の名著である。
経営を学び身につけるために必ず読まなければならないとされる経営学の最高の古典であり、経営の原点、経営の常識である。


★手に取ったきっかけ


弁護士の坂口俊幸先生が主催してくださっているドラッカー勉強会で、
「現代の経営」を少しずつ読みながら、経営者の皆さまと一緒に学んでいます。


★おすすめポイント


一度「現代の経営」はおすすめ書籍に取り上げさせていただいたのですが、
読めば読むほどに、気づきが多く、またピックアップいたしました。

組織をどのように作っていくか、という、成長期にある企業がぶつかる課題にも、
しっかり答えるようにまとめられています。

ボトルネックはボトルのトップにある
→経営のトップほど、仕事を細心の注意をもって整理しなければならない。
 経営者には経営者の仕事があり、どこまで時間を使えているか。

組織づくりをしてCEOの仕事をチームとして行う必要性や、
経営管理者を育成することの重要性、
成果を上げるための組織とはいかにあるべきか。

1954年に出版された本ですが、
現代にも十分通じる普遍性を持っていて、
自分の立場を振り返りながら読めることに驚きです。

もっと早く出会っていたら・・・とも思います^^



4.セミナー情報/イベント情報


★大阪産業創造館様 主催セミナー



1月18日 14:00~16:30 部門別会計セミナー
【セミナー】課題を把握し、高収益に繋げる「部門別会計」
https://www.sansokan.jp/events/eve_detail.san?H_A_NO=38046

経営者が何を見たいか?見るべきか?を実現できる会計でないとね!

というお話をします。




★【ご一緒しませんか】100年企業の秘訣に迫る新春セミナー


ジャパン・コンサルティング・ファーム主催
新春セミナー~中小企業に勇気を!~
100年企業の秘訣に迫る!

100年企業の共通点を見える化した
「100年企業就業規則」でグッドデザイン賞を受賞された
日比野先生をお招きしての講演会&懇親会です。

詳細はこちらからどうぞ!
https://7ea1q.hp.peraichi.com/

神佐の紹介割引ができます!




5.活動日記 よいお年をお迎えくださいませ


本当は26日にお届けしたかったメルマガですが、本日になってしまいました。


毎年のことですが、年末感を感じることなく、

一方で、年越ししたくないお仕事もあり、

今日までは、と自分を追い込んでおります。


2022年は、世の中の変化のふり幅が、とても大きかったように思います。

そのなかで経営の舵取りをしていくのは、本当に大変なことです。

経営は、変化対応業であり、リスク対応業と言われますが、

この変化の中で、自社の立ち位置を見失わず、柔軟に対応していくことの難しさ。


自社に関わる変化を察知して、

問題から課題を導き出して、

振り返りをしながら軌道修正していくこと。

こういうことが、ますます求められてくるのではないか、と思います。


自社の目指すところに向かって、

それが着実に実践できるように、仕組みづくりが大切ですし、

私や私たちの事務所は、

そのための管理会計を担わせていただいていると感じています。

変化に対応していくための、新しい管理会計。

そして、思わぬところで足を取られないための、税務のサポート。

少しずつですが、自分の立ち位置も変化のなかで見いだせてきたような気がしています。

お仕事ってありがたいですね。


今年のお仕事を終えられた方も、

年末だからこそお仕事の方も、

2022年、本当にお疲れさまでした。


よいお正月を、そして、

ますます素晴らしい2023年をお迎えくださいませ。


本日も、そして、今年も最後までお読みいただき、

誠にありがとうございました。


2022年あと3日も、2023年も、たくさんいいことがありますように!

また、年明けにお便りいたしますね。


  神佐 真由美


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