その「管理監督者」、本当に認められますか?
社労士で採用定着士の西野です。
今回は、労働基準法に関わる
重要なテーマのひとつ、
「管理監督者の該当性」について
整理します。
管理監督者は、
残業代や労働時間の上限規制の
対象外とされるため、
ネット記事などでは、
・管理職に昇格したら残業代が出ず、
年収が下がった
・働かせ放題のポジション
といったネガティブな言われ方を
することも少なくありません。
最近の法改正議論では、
管理監督者の労働時間把握に
ついても改めて注目されていますが、
健康確保の観点からの
「労働時間把握」自体は、
すでに企業に義務づけられています。
そこで今回は、
そもそも「管理監督者として認め
られるのか?」
という点に絞って考えてみましょう。
■ 管理監督者は「何が対象外」
なのか
管理監督者は、
・時間外労働(残業)
・休日労働
・労働時間の上限規制
の適用を受けません。
※深夜労働(22時~5時)の割増は
対象外ではありません。
このように、
労働者にとって不利益になりやすい
扱いだからこそ、
管理監督者に該当するかどうかは
厳しく判断されます。
■ 「名ばかり管理職」とは何か
「名ばかり管理職」という言葉を
聞いたことがある方も多いと思います。
肩書は管理職でも、
実態として管理監督者とは言えない
ケースを指します。
管理監督者に該当するかどうかは、
一般的に次の3つの要素から判断
されます。
・経営への参画や、指揮監督権限
があるか
・出退勤や労働時間について、
本人に裁量があるか
・その地位と責任に見合った賃金
が支払われているか
この3点を、
総合的に見て判断されます。
■ 過去の裁判例が示すもの
有名な例として、
日本マクドナルドの直営店店長が
管理監督者に該当するかが争われた
裁判があります。
裁判所は、
店長の職務内容や権限、勤務実態
などから、
管理監督者には該当しない
と判断しました。
ポイントは、
「店長」という肩書ではなく、
実態で判断されたという点です。
■ 「管理職=管理監督者」ではない
実務では、
・課長以上=管理監督者
として扱っている会社も多く見られます。
しかし、
管理職と管理監督者はイコールでは
ありません。
同じ時間働いているのに、
管理職になった途端に残業代が
なくなり、
年収が下がる――
こうしたケースでは、
「地位と権限にふさわしい賃金が
支払われているのか?」
という点で、疑問が生じやすくなります。
■ 制度として使うなら「覚悟」と
「設計」が必要
管理監督者制度を、
・残業代を払いたくない
・計算が面倒
といった理由で採用するのは、
正直おすすめできません。
一方で、
・社長の右腕として
・大きな裁量と権限を与え
・経営的な役割を担ってもらいたい
という意図があるのであれば、
管理監督者制度は有効に機能します。
その場合は、
先ほどお伝えした3つの要件を
クリアできるように、
権限・働き方・賃金を
セットで設計すること
これがとても重要です。
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