「年収の壁」助成金の使い勝手は?
社労士で採用定着士の西野です。
今回もパート年収の壁を取り上げ
たいと思います。
パートさんに年収の壁を超えて
働いてもらった場合、パート1人
につき50万円の助成金を会社に
支給するという、キャリアアップ助成金
(社会保険適用時処遇改善コース)の
概略が厚生労働省から出ました。
私の顧問先の社長の中でも、関心を
もっておられる方がいますので、
この助成金の使い勝手を私なりに
解説します。
まず、対象となるのは特定適用事業所です。
特定適用事業所とは、フルタイムと
所定時間がフルタイムの4分の3以上
の従業員101名以上(2024年10月
以降は51名以上)の会社です。
社会保険の加入要件が週20時間、
月給88,000円(年間106万円)。
いわゆる106万円の壁の対象となる
会社です。
社会保険加入の対象になるか
ならないか、すれすれのところで
働いている人の賃金をアップして
社会保険加入を促進するのが目的です。
この時点で、このメールを読んで
いただいている方のほとんどが
対象から外れます。
ですが、100人以下でも任意特定適用
事業所とすることができます。
対象となり得るので、内容を理解して
いただいて損は無いかと思います。
パートさんが社会保険に加入する
ことで、保険料(本人負担分)が
収入の約15%かかります。
保険料に相当する額分の給料が
アップすれば、社会保険に入っても
手取りが変わらないので、社会保険
に入ってくれるだろう、ということです。
手取りが変わらないのであれば、
間違いなく本人にはプラスになりますから。
とはいえ、会社にも負担がかかるので
給料のアップ分は助成金でカバー
しましょうというものです。
支給額は1人につき50万円ですが、
3年間のトータルになります。
1年目:給料15%アップで助成金20万円。
2年目:給料15%アップ継続で助成金20万円。
3年目:給料18%アップで助成金10万円。
3年間で計50万円です。
例えば、現在時間当たり1,000円
だとしたら、
1年目 1,150円
2年目 1,150円
3年目 1,180円
になるということです。
なお、給料のアップは一時的な手当でも
OKとされているので、3年後助成金
が無くなれば、アップ分も外すことは
できそうです。
とはいえ、一度支給したものを外す
のは従業員の立場で考えると納得でき
ませんよね。
「そんなことだったら辞めます!」
と言われそうです。
かといって、アップした給料を
そのまま継続するのも会社としては
きついと思います。
社会保険に加入するメリットを
伝えた上で、働く時間を増やし、
その分収入もアップする、という
自然な流れが良いのかな?と
思っています。
ただし、最低賃金に近い給料で
やっている会社はアリです!
最低賃金が年5%アップすると
仮定して計算してみましょう。
現状(最低賃金)1,000円とした場合
以下のようになります。
※実際の最低賃金額ではなく
キリ良く1,000円としています。
1年目:1,050円
2年目:1,103円
3年目:1,159円
4年目:1,217円
1年目、2年目は助成金の
条件である15%と開きがありますが、
3年目は20円程度の差に収まります。
4年目以降は、逆に最低賃金に合わせて
アップしなければなりません。
そう考えると、最低賃金よりも多く
アップした分以上の助成金がもらえ、
一時的にでも労働条件を向上させる
ことができるので、人材募集にも
有利になります。
さらに、社会保険料の負担はありますが、
一旦社会保険料に加入すると、年収の壁
が無くなる分、これまで以上に働いて
もらうことも可能です。
御社の状況に合わせて要検討です。
なお、今のところ10月下旬頃に
正式発表され、10月1日に遡って
適用されることになっているようです。
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西野社労士事務所・株式会社チーム力アップ
では、中小企業の人事・労務に関する問題に
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