昇給額を遡及支払いした時の社会保険の手続き
社労士で採用定着士の西野です。
前回、昇給時期の見直すことについて
お伝えしました。
従来4月昇給から7月に遅らせる
ことで、賃上げの市場動向を
見た上で昇給額を決めることが
できます。
また、4月昇給としながらも、
昇給額の決定は7月とし、
4~6月分は遡及して支払う
ことも選択肢の1つです。
昇給額を遡及して支払った場合、
社会保険料の手続きが少し複雑です。
例えば、
3月まで 20万円
4月~ 22万円
とします。
2万円の昇給です。
この昇給について、
7月に決定したので、
6月までは20万円の
支給でした。
7月は昇給後月額の22万円と
4月~6月の3か月分の遡及額
6万円(2万円×3カ月)の
合わせて28万円。
8月以降支給額は22万円です。
この場合、社会保険の手続きは、
どうなるのでしょうか?
なお、それまでの標準報酬月額は
20万円と
します。
まずは、本来の4月に昇給されたケース
で考えてみましょう。
4月昇給で22万円であれば、
固定的賃金が変動した4月から6月
の3カ月で2等級以上変動して
いれば月額変更となります。
4~6月の3カ月間の支給額平均は
22万円。
22万円にあたる報酬月額は22万円です。
従来の標準報酬月額は20万円なので
1等級の変動です。
月額変更にはなりません。
ですが、定時決定の22万円という
標準報酬月額が9月から適用されます。
一方、4月昇給分を7月に遡って
支給した場合で考えてみましょう。
定時決定(算定基礎)の算定期間
である4~6月の支給額は20万円の
ままです。
定時決定でも従来通りの20万円に
なります。
では、昇給分はどうなるのでしょうか?
実際に昇給後の22万円が支給された
7月~9月の3カ月間で判断します。
7月:22万円
※遡及支払いの6万円は計算に入れません。
8月:22万円
9月:22万円
結果、3か月間の平均は22万円。
22万円にあたる報酬月額は22万円
です。
従来が20万円なので、1等級の差。
月額変更には当たりません。
4月から新給与の22万円を
支給していたら、定時決定で
9月以降の標準報酬月額が
20万円から22万円に上がります。
ですが、新給与での支給が7月に遅れ
遡って支給した場合の標準報酬月額
は20万円のままです。
かなり複雑ですが、昇給額を遡って
支給することで、実務上の違いが
出てきます。
これ、毎年やったら社会保険料の削減
になるやん!と思われる方もおられる
ことでしょう。
遡及した場合の手続きは、あくまで
イレギュラー。
その年だけ、遅くなってしまった
というケースを想定している
でしょうから、毎年となっても通用
するのかは疑問です。
念のため、管轄の年金事業所に確認
された方がいいでしょう。
------------------------------------
西野社労士事務所・株式会社チーム力アップ
では、中小企業の人事・労務に関する問題に
幅広く取り組んでいます。
ご相談はこのメールにご返信または
お電話で承ります。
【初回相談 無料】
TEL: 090-7551-3570
【ホームページはこちらから】
https://nihino-sr.jp
【バックナンバーはこちらから】
https://mail.os7.biz/b/Sye0
記事一覧
社労士で採用定着士の西野です。 前回は、2026年のテーマとして 「労務管理」と「採用定着」に ついて、全体像をお伝えしました。 今回から、 労務管理のテーマで、特に対応が
2026年01月14日
社労士で採用定着士の西野です。 新年あけましておめでとうございます。 本年も「採用定着のヒント」を 通じて、採用から定着、そして 社員が活躍する組織づくりに 役立つ情報を、
2026年01月07日
社労士で採用定着士の西野です。 今日は、多くの中小企業で議論に なる 「採用面接は社長がすべきか?」 というテーマについてお伝えします。 ■ 私の基本的なスタンス 私は以前
2025年12月24日
エッセンシャルワーカーの“当たり・普通・ハズレ”の差はどれくらい?
社労士で採用定着士の西野です。 前回は営業職を例に、 「当たり・普通・ハズレ」で会社が 影響を受ける損益は、5年で数千万 円規模になるという話をしました。 では、介護・保育
2025年12月17日
社労士で採用定着士の西野です。 採用の現場でよく聞かれるのが、 「良い人材・普通の人材・イマイチ な人材で、会社の成果はどれくらい 変わるの?」 という質問です。 よく「採
2025年12月10日
社労士で採用定着士の西野です。 採用面接において、 社長からよくある質問が、 「給料などの雇用条件は、いつ説明 するのがいいか?」です。 ある会社では「最初に伝える」と言い
2025年12月03日
社労士で採用定着士の西野です。 前回は、人を見抜く採用面接のポイント として、次の3つをお伝えしました。 1.ものさしをつくる 2.「本当にそうか?」を確かめる 3.入社後
2025年11月26日
社労士で採用定着士の西野です。 このところ、採用選考の精度を高める 方法についてお伝えしています。 これまでお話ししてきたのは、 ・入社後の活躍と関係が深い 「GMAテ
2025年11月19日
社労士で採用定着士の西野です。 採用面接は 「会社の未来を左右する人と会う場」。 1人ひとりを丁寧に扱うことが大切 だとお伝えしました。 一方で、中小企業に応募してくる人
2025年11月12日
社労士で採用定着士の西野です。 前々回は、 「入社後に活躍する人材を選ぶ方法」 の1つ目、 GMAテストについて紹介しました。 私がAIを使って作成しました テストを、こち
2025年11月05日
社労士で採用定着士の西野です。 このところ、採用面接について取り 上げています。 ・入社後に期待外れだった… ・「ぜひ欲しい」と思った人材ほど辞退された… ・採用した人材が
2025年10月29日
社労士で採用定着士の西野です。 人件費が高騰する今後、 中小企業にとっては 「少しでも良い人材=活躍できる人材」 を正しく見極めて採用することが ますます重要になります。
2025年10月22日
社労士で採用定着士の西野です。 前回は、 一般的に行われている採用面接の 精度は、入社後の活躍を予測する力が わずか14% にとどまる、 ということをお伝えしました。 「こ
2025年10月15日
社労士で採用定着士の西野です。 御社では、どんな採用面接をしていますか? ・「弊社への志望動機は?」 ・「あなたの強みは?」 ・「過去の成功体験や挫折体験は?」 多くの会
2025年10月08日
社労士で採用定着士の西野です。 今年も最低賃金改定の時期になりま したが、今年は少し違います。 例年なら全国一律で「10月1日発効」 ですが、今年は都道府県によってバラ つ
2025年10月01日